2008年11月07日

イチロー、8年連続ゴールドグラブ賞

 MLB では2008年のゴールドグラブ賞が発表されました。前日のナショナルリーグに引き続き、今日アメリカンリーグの受賞者が明らかにされたわけですが、今季もまた外野手部門でイチローの名前がありました。これでデビュー以来8年連続となります。

 いつも言っていることですが、イチローが本当に凄いのはこの安定と継続だと思います。「イチローは過大評価されている」と言う人の大多数はおそらくこの点を完全に見落としています。8年もの間、常に200本以上のヒットを打ち、30以上の盗塁をし、ゴールドグラブ賞受賞という狭き門をくぐり抜け、オールスターにも出場し続ける……こんなプレイヤーはそうたくさんはいません。それを支える試合を欠場するような負傷をしない丈夫さ(しないように細心の注意を払っていること)も見逃せません。

 ため息ものですね。あっち風に言うと「ワオ!」ですか。

 さて、他の受賞の顔ぶれも少しだけ見てみましょうか。この部門のライバルとも言えるトリィ・ハンター (LAA) も同じく8年連続での受賞となりました。イチローが「見ていてワクワクする」という選手です。今回は初受賞や2回目の受賞といった選手がかなり多く、世代交代の波が押し寄せている感もありました。(まあ、初受賞のベテランもちらほらといる気もしますけどね。)でもそんな中、特にすごいのはナショナルリーグ投手部門で、通算18回目の受賞となったグレッグ・マダックスじゃないかなと思っています。
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広島の新球場の名称が「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム」に決定

 新球場の名称が決まりました。新球場はネーミングライツ(命名権)を売りに出していて、マツダが買うだろうという下馬評がありましたが、その通りになりましたね。マツダはもともと広島東洋カープとも、広島県や広島市とも縁が深い企業ですし、良かったのではないでしょうか。ちなみにもう1社の応募があったそうです。落選した方の企業名は正式には非公開なのですが、報道によるとスーパーの「イズミ」ではないかと言われています。

 でも「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム」という名前は今イチですね。球場のネーミングライツを行使する際に、広告を前面に出すと逆に引かれると思うんですが。CM などで利用される Zoom-Zoom という言葉を入れた段階で、ちょっと首をかしげてしまいます。こういうのは多少慎みがある方が好感度が高いと思いますよ。たとえば「広島 MAZDA ボールパーク」とか。(別にこれが一押しというわけではなく、単なる例としてですが。)

 まあかつての「Yahoo! BB スタジアム」よりはマシですかね。あれは史上最悪だと思いますもん。

 あと、21世紀にもなって新設球場に「スタジアム」はないでしょう。標準的な発音でステイディアムとするか、せめてスタディアム(こういう発音もあるらしいですね。直接は聞いたことないけど)じゃないですかね。昔の球場なら仕方がないですが。

 ……とまあ、名付けには文句もいくつかありますが、秋葉市長の言う「落ち着くべきところに落ち着き良い決定になった」というコメントに賛成ですね。MAZDA さんが買ってくれたこと自体は歓迎し、応援します。

 イズミだったら「ゆめタウンスタジアム」になってたのかな? なんて考えちゃいます。ほかにも、もし広島に多少なりとゆかりのある企業が買ってたらどうなっただろうと考えると、無駄に楽しいです。「カルビーサッポロポテト球場」とか「麒麟スタジアム」、「オタフクふくふくスタジアム」なんてね。
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2008年10月29日

サスペンディッド・ゲーム

 ただ今、ある意味でワールドシリーズ史上最長の試合が行われている最中です。どういうことかって? ゴメンナサイ。実はわざと、少し変な言い方をしています。

 今年のワールドシリーズは、アメリカンリーグ優勝チームのタンパベイ・レイズとナショナルリーグ優勝チームのフィラデルフィア・フィリーズが戦っています。私にとっては本当におもしろいシリーズになってうれしい限りなのですが、現在のところフィラデルフィアが3勝1敗とワールドチャンピオンに王手をかけているところです。

 そして迎えた第5戦は現地(米国東部)時間の10月27日午後8時(日本時間10月28日午前9時)に開始しました。が、天候に恵まれません。得点は2対2の同点、6回表が終了した段階で、試合が中断されました。天候の回復を待ったものの、空はそんなそぶりすら見せません。

 こういう場合、日本のプロ野球であれば試合終了です。5回を終えた段階で試合続行不可能な場合、その試合は成立したとみなされますから。引き分けです。

 MLB の場合も、中断によるコールド・ゲームは存在します。あちらの、野球をやっているような地域の大部分は日本に比べて雨があまり降らないので、天候不良による中止や中断は少ないのですが、それでも日本同様のルールはちゃんと存在します。

 が、このケースは同点。コールド・ゲームだと決着がつきません。そして、MLB には原則として(というか野球は本来)引き分けというものが存在しないのです。以前、「【MLB シアトル】バックアップ捕手が急造投手になるのは珍采配ではない」という記事で、同点なら延々と試合を続けるという話をしましたよね。実は、引き分け制度のある日本プロ野球の方が、邪道なのです。(とはいえ私はプロじゃない野球や、日米以外の野球に関してはまるっきり知識がありません。そういった現場での引き分けの扱いに関してはまったく知りません。もしかしたら「邪道」が主流だったりして。)

 そういうときどうなるのか。ここで「サスペンディッド・ゲーム」というルールが存在します。要は試合を中断して、後日その続きをそのままやるというわけです。今回だと、6回裏、フィラデルフィアの攻撃から再開です。打順等もそのままで、タンパベイの投手は2番手として投げていたグラント・バルフォー、フィラデルフィアの打者は次の打順である9番ピッチャーのコール・ハメルズからとなります。そのまま続きをやるということは、もちろんまだ出場していない選手に交代させても構いませんので、たとえば先発投手も務めたハメルズは代打を出される可能性があります。

 まるで、ファミコン初期のゲームにあった「ポーズボタン」が押された状態ですよね。もちろん、人間がやっていることなので、疲労の回復とかコンディションの変化など、いろんな要素が変わってきますけどね。

 ちなみにこの件、ちょっとした裏話があります。(マスコミで大々的に報道されている話を「裏話」というのも変ですかね?)実はこの試合、5回を終えた段階で2対1でフィラデルフィアがリードしていました。すでに雨脚がずいぶん強くなっていて、このまま中断したらその日の内の再開は難しいだろうという予測ができるほどの状況だったそうです。

 さて、ここでルールを愚直に適用したらどうなるでしょうか? フィラデルフィアがコールド・ゲームにより勝利し4勝目。つまり、そのままワールドシリーズを制覇してしまいます。やむを得ないとは言え、何だかもやっとした幕切れになることでしょう。特にタンパベイのファンはやりきれないでしょうね。

 MLB コミッショナーのバド・セリグ氏は、難しい決断を迫られます。結論は試合続行。そして6回表にタンパベイが同点に追いついたことで、晴れて(?)サスペンディッド・ゲームの宣言と相成ったのです。中断後のインタビューに答えて「ワールドシリーズがコールド・ゲームで終了するなんて許されない事態だ。」と語ったのだとか。賛否両論あるかもしれませんが、私は英断だと思いました。土壇場で同点に追いつくという運もありましたけどね。

 ちなみにワールドシリーズでサスペンディッド・ゲームとなったのは史上初なんだそうです。だから「ある意味でワールドシリーズ史上最長の試合」という言い方をしてみました。
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2008年10月16日

マーティ・ブラウン名将説

 さて、数字遊びをもう少し続けましょう。前回、X W-L ratio(期待勝率)というちょっとおもしろい数字を紹介しました。今回はこの数字を使って、もしかしたら広島東洋カープのマーティ・ブラウン監督は名将なのかもしれないという話です。

 と言うのも、この期待勝率を使うと監督の采配の上手さを測ることができると主張する人もいるのです。要は、「“本来の”実力である期待勝率よりも、実際の勝率が上回っていたら、それは采配が上手いからだ」という言い分です。この言い分をひとまずは信用するとして、就任以来3年間のマーティ・ブラウン監督の戦績を見てみましょう。
 年  勝率 期待勝率
2006  .440  .425
2007  .423  .415
2008  .496  .454
通算  .453  .431

 ご覧のように、すべてのシーズンで勝率が期待勝率を上回っています。特に今季は大きな差が出ていますよね。上記の説を信じるなら、ブラウン監督はチームの実力以上の勝ちを拾っていることになります。一部ファンの間では何かととやかく言われるブラウン采配ですが、実は名監督なのかもしれませんよ。

 この仮定、もちろんいろいろと無理があります。たとえば、偶然の要素を完全に見過ごしています。(当ブログでは、いろんな機会に触れて「人間は偶然の要素を過小評価しすぎている」という事実をお伝えしてきていますよね。)それに期待勝率自体、本来の実力であるという証拠は何もありません。また、仮に勝率と期待勝率との差で采配の能力が測れるとしても、どのくらいの差になったら素晴らしいと言えるのかの基準も不明確です。ですから、分析と言うにはかなり粗がある見方であり、本気で信用するようなものではないことはご理解ください。まあ、与太話です。
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2008年10月05日

X W-L ratio と今季のカープ

 さて、プロ野球セントラルリーグの決着がつきました。一応カープファンの端くれっポイ私としては、もしかしたら残念かもしれない結果に終わったような気もしないでもないです。広島東洋カープは、クライマックスシリーズ出場まであとわずかのところで敗れ去り、今季4位が確定しました。

 この9月、こちら広島はけっこう熱かったんですよ。市民球場ラストイヤーに重なったこともあるのですが、いつになく球場に足を運ぶ人が多かったですね。にわかファンを自称する人すらいました。地元だけではありません。遠方のカープファンが、その距離を感じさせないほどの熱のこもった応援している様子も随所で見て取れました。

 ですが実は私、それを少し醒めた目で見ていました。ひとつは私があまり熱心なファンでないからです。が、それ以上に大きかったのが、チームのそれまでの戦いを見ていて、あまり期待できないなと思っていたんです。よほどの幸運に恵まれないと、クライマックスシリーズ出場は難しいだろうと考えていました。

 ここまで読まれた方の中には、上の文章に矛盾を感じられた方もいらっしゃるでしょう。その通り。少し変ですよね。大してファンじゃない、つまりあまりきちんと試合を見ていないのに「チームのここまでの戦いを見ていて、あまり期待できないなと思っていた」ってのは、何だかおかしな話です。

 でも一応、私なりにちょっとした根拠(らしき物)があるのです。今回はその根拠、X W-L ratio(expected win-loss ratio、さしずめ「期待勝率」といったところでしょうか)について紹介したいと思います。

 要は、得失点から予想される勝率です。計算式は次の通り。
得点の1.82乗/(得点の1.82乗+失点の1.82乗)

 野球は点をたくさん取った方が勝つスポーツなので、非常に大ざっぱに見ると得点が多く、失点が少ないチームが強いはずです。そこで、そのチームの得点と失点を元にチームの実力を推測できると仮定します。(ずいぶん乱暴な仮定ですけどね。ただ、この数字を開発した人は、まったく無根拠にこの計算式を作ったわけではないようです。)このような観点で、得点と失点から「実力通りならどのくらいの勝率になるのか」を計算しようというわけです。

 自分から言い出しておいてなんですが、実は冷静に見れば、こんな数字は大してあてになりません。これによってはっきりわかることと言えば、そのシーズンで競り合いに勝てていたかどうかくらいです。(期待勝率より実際の勝率が高い場合、競り合いでよく勝ったということになる。)ただ、もし仮にこの数字の威力を少し強めに信じたとしたら、ある程度は今後の予測にも使えるというわけです。

 では、実際に計算してみましょう。9月28日(日)、広島市民球場での最後の試合に勝利したことにより、広島は67勝66敗の貯金1、3位につけていました。広島市民のボルテージは最高潮でした。この時の勝率は.504です。この段階での期待勝率を計算してみたところ、.464でした。実際の勝率が期待勝率より、なんと4分も高かったのです。

 そしてこの傾向、カープのクライマックスシリーズ出場が「あり得る」という風に見られ始めたころからずっとそうでした。勝率はそれなりに高い割に、期待勝率がやや低かったのです。だから思っていました。今の好調は実力以上(以外)のものが出た結果かもしれないと。ということは、今後どちらかというと、加速するより失速する可能性の方が高いのではないかと。

 では、3位以下の順位が確定した10月4日(土)の結果に基づき、セントラルリーグの勝率と期待勝率を見てみましょう。

順位 チーム  勝 敗 得点 失点 勝率 期待勝率
1  阪神   80 55  557  502 .593   .547
2  巨人   80 56  615  520 .588   .576
3  中日   71 65  533  532 .522   .501
4  広島   68 69  529  590 .496   .451
5  ヤクルト 62 71  549  549 .466   .500
6  横浜   44 91  527  679 .326   .387

 どうでしょうか。けっこうおもしろいでしょ? 今季の結果についてがっかりしたファンも多かったかもしれません。しかし、このような見方をすることで、落胆するよりもむしろ健闘をたたえるべきだという気になってきませんか?
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2008年09月19日

イチロー、8年連続200本安打達成

 今年のシアトルは本当に弱くって、このまま行くとシーズン100敗なんてことになりかねません。なので、野球を見るモティベーションが大きく下がっていたのですが、それでもこの記録にはずっと注目していました。

 イチロー選手が今年もシーズン200安打を放ちました。9月17日(現地時間)カンザスシティ・ロイヤルズ戦での出来事です。前日にあと3本と迫っていて、ここ最近はあまり爆発していなかったので、正直この日には期待していなかったんですけど、不意を打たれましたね。ちょくちょくこんな風に不意を打ってくるのはわかっているハズなのに、今回は油断していました。舞台はカウフマン・ステイディアム、相手のスターターは元同僚のギル・メッシュ。そのメッシュからの2本を含む3安打で、見事に200本に到達です。

 これでルーキーイヤーから連続で8年連続で200本を達成したことになります。彼自身が持つ MLB 記録を塗り替えました。「新人から」という言葉を取った場合、つまり「8年連続200本安打」となると、ウィリー・キーラーが1894〜1901年に達成した MLB 記録(ということは、おそらく世界記録と言っても良いでしょう)と並び、さらにウェイド・ボッグスが1983〜1989年に達成した7年連続のアメリカンリーグ記録を抜き去ったこととなります。

 松井秀喜選手や松坂大輔選手らのコメントもマスコミを通じて発表されていましたが、口を揃えて「当たり前のように思われているが、それを本当にできてしまうのがすごい」というような趣旨のことを言っていました。現役の選手が肌で感じた素直な印象なのでしょうね。まったくその通りだと思います。

 チームは負けてしまい、少しほろ苦い記録達成ではありました。そもそも数日前に同地区の優勝がロサンジェルス・エインジェルズに決まっていましたから、勝ち負けは割とどうでもいいっちゃあいいんですけどね。ただ、そんなモティベーションを高めるのが難しい状況の中、それでもとにかくコツコツと打ち続けることはやはりすごいと思います。

 こんな偉業を成し遂げて、しかもその難しさを素人なりにわかったつもりになっているにもかかわらず、ついつい「次」を期待してしまう私は悪いファンかもしれません。

 その「次」とは、まず張本勲の持つ日本での安打記録3085本に日米通算で並ぶこと。残り15本です。これはまあ、今季中に達成しなければ二度と達成できないというものでもないので、限りなく時間の問題に近いでしょう。そうは言っても、イチロー本人が今季中の達成を目指しているようですから、私もその気持ちの尻馬に乗りたいと思います。

 その先となると、次に待っているのはおそらく2つの大記録です。それは、もちろん今回の記録の更新に相当し、単独トップとなる9年連続200本安打です。この記録を達成すれば、「連続」という条件がつかない9シーズン200本安打も自動的に達成されます。これはあの“球聖”タイ・カッブに並ぶ歴代2位の記録です。今季の残り試合での安打数次第でもありますが、それを達成すればおそらくほぼ同時期に、MLB 通算2000本安打にも到達します。今季の200本目が、MLB 通算1792本目になるからです。

 で、最後には、「日米通算で良いから、ピート・ローズの4256本を抜き去ってほしい」と思っていたりもするのです。そうすれば、MLB 通算でも3000本安打を超えている計算になります。(途中で日本球界に戻らないと仮定して。)とても贅沢な話ですが。

2008年08月15日

さようならの思わぬおみやげ――広島−中日第18回戦

 今日は――厳密にはきのうですが――お別れを告げに行きました。初めて出会った5歳の頃から30年近い付き合いになる広島市民球場に。試合日程から判断するに、たぶんこの日の中日ドラゴンズ戦がラストチャンス。だから、時間を作って思い切って行ってきたのです。

 ちょっとセンチメンタリズムに浸りながら17時前に球場入り。席は SS 指定のオレンジシート(年間指定席の売れ残り。前売りや当日で販売している。)。少し早めに行って練習を見るところから、私の野球観戦は始まります。すでにドラゴンズの打撃練習がスタートしていました。

 かなり日本のプロ野球から離れていたんですよね。去年から今年にかけて、球場に観に行くことはありませんでした。それどころか、テレビ中継すらほとんど見ていません。ですので、選手名が今イチ把握できなくて少し困りました。発表されたドラゴンズの先発投手は川井。誰やねん? いや、俺が無知なだけなんだけど。

 ……などという感じで見ていたのですが、このお別れの日に思わぬ贈り物をもらうことができました。それもたくさんね。

 お盆休み中のナイトゲームということで、徐々に増えてきたお客さんは試合開始時にはほぼ満員です。いろいろと嫌な思いをするかなぁ……などと思っていたのですが、2年前と比べて応援マナーが格段に良くなっていてびっくりしました。たまたま今日だけだったのかもしれませんが、そうだとしてもそんな日があること自体に驚きです。

 まず、鳴り物の音量が控えめで、応援はほぼ声援です。満員で盛り上がる中でも、ちゃんとバットにボールが当たる音や、キャッチャーミットにボールが収まる音が聞こえるのです。やっぱり野球はこうじゃなくっちゃ。私は鳴り物応援が嫌いで、また、試合に集中できない応援スタイル(いわゆるスクワット、メガホンその他)も嫌いです。その辺がすべて外野に陣取っていて、内野席にはいません。落ち着いて観戦したい人は内野へ。騒ぎたい人は外野へ。見事な棲み分けがなされており、これなら妥協できる範囲内です。

 好き嫌い以前に迷惑(大きな旗を振るなど)という行為も、ひとつをのぞいてほとんど見られなくなっていました。唯一残っている大きな悪習は、試合開始前に相手チームのベンチ入りメンバーがアナウンスされる際に、コンバットマーチでそれを妨害する行為だけです。

 他にもいろいろありました。7回表開始時には相手チームの応援歌である『燃えよドラゴンズ』が流れました。かつてグリーンスタジアム神戸(現スカイマークスタジアム)に観戦に行ったとき、7回表に近鉄バファローズのテーマが流れたことを思い出しました。そのときにこれは良いなと思ったものでしたが、広島市民球場でもそれをやってくれていたのを知り、驚きと感動を覚えましたね。いや、大げさでなく。

 そして、試合のテンポがまた速くて良かったですね。元々、ブラウン監督が就任して以降のカープはテンポが速い試合が多くて好印象だったのですが、さらにリーグ全体で試合のスピードアップを標榜し、攻守交代の時にスコアボード横の大画面液晶にタイマーを表示するなどの明確な努力もなされています。日本のプロ野球はプロ以外や海外と比べて、かなりもたもたしていましたから、この動きは大歓迎です。

 そして何より、試合がおもしろかったのですよ。こう言っては失礼ながら、実はあんまりそちらを期待してはいなかったのです。ここ数年、なかなか結果を残せない広島東洋カープというチームに期待していなかったという要素もあり、緻密なデータ野球を標榜する割に非科学的な言論が横行する日本プロ野球の不可解さという要素もあり、「たかが選手が」などの発言に代表されるいわゆる偉い人の考え方が理解できないという要素もあり、自然と日本プロ野球から気持ちが離れていました。

 だけどこの日は好ゲームでした。そして野球の好ゲームはすべての要素をぶっ飛ばすくらいおもしろいに決まってます。

 カープの先発、大竹寛は立ち上がりから球が高めに浮いてマズいかなと思いきや、時には球威で押し切り、時には適度にコースを散らして、あれよあれよとアウトの山を築きます。かつての大竹にあった制球難のイメージはあまり見られず、1四球無失点、そしてわずか3安打の見事な完封勝利を飾りました。球が走ってましたねー。最初は久々にプロの球を生で見たからかと思っていましたが、どうやら原因はそれだけじゃないようです。ナイスピッチングでした。

 ドラゴンズ先発の川井進も巧みな投球術で途中までは見事にカープ打線を牛耳っていました。もちろん、まったく打てなくなったにもかかわらずドラゴンズの正捕手として君臨し続ける谷繁元信捕手のリードも大きかったのでしょう。カーブを巧みに使われ、なかなかヒットが出ません。両投手の力投により、試合は素早く、しかし重苦しく進んでいきます。(ちなみにこういう展開、たまらなく好きです。力、技、そして頭脳がフルに活用される場面ですからね!)

 その重い空気を切り裂いたのは広島の1・2番コンビでした。6回裏、東出輝裕が二塁手デラロサのグラブをはじくセンター前ヒットで出塁すると、続く赤松真人が川井の失投を見逃さず、持ち前のパンチ力でバックスクリーンすぐ左のスタンドに飛び込む大きな2ランホームランを放ち、先制します。そして、7回裏2アウトからも彼らに活躍の場面が訪れました。まずは東出が2本目となるヒットをライト前に放つと、ライトの井上一樹のファンブルを見て取って一気に2塁を陥れます。このチャンスに赤松はまたしても直球をねらい打ち。今度はセンターを越える鋭い当たりを放ち、快足を飛ばして一気に3塁まで到達します。もちろん東出は余裕を持って生還。これで勝負はほぼ決したと言っていい貴重な追加点でした。

 7回以降は勝敗という観点だけからすると一方的でしたが、ひとつひとつのプレイの中に楽しめる点が随所に見られました。たとえば内野守備。ドラゴンズの名ショート井端弘和はもちろんですが、ほんの少し前までザルと言われていたカープの内野陣もなかなか良い動きをしています。この日ショートとして出場した小窪哲也は、もしかしたらリーグ随一と評価されるほどの特別な選手ではないのかもしれませんが、本当に堅実で、送球も正確でした。守備範囲が広くは見えなかったサードのスコット・シーボルも、プレイ自体は丁寧でしたね。また、数年前は下手くその代名詞的な扱いだった東出も、去年辺りから守備の評価を急速に上げてきていましたが、見ていて確かに何の不安も感じませんでした。

 とまあ、そんなこんなで。とにかくひたすら楽しい野球観戦でした。寂しい気持ちを吹っ飛ばしてくれたたくさんのおみやげにも感謝しつつ、広島市民球場に笑顔でサヨナラを告げることにしましょう。それじゃね。

2008年07月09日

【MLB シアトル】バックアップ捕手が急造投手になるのは珍采配ではない

 えー、久々に野球記事です。長く間が開いた理由ですが、私がブログから離れていたのもさることながら、われらがシアトルのあまりの弱さにまるっきり書く気が起きなかったからでもあります。開幕当初から、そんなに強いチームではないと思っていましたが、不運も重なりダントツの最下位です。

 それはさておき、先日の試合(対デトロイト)で少し珍しいことが起こりました。控えキャッチャーのジェイミー・バークが急造投手として延長15回に投げたのです。その試合、当のバークによる1失点が原因となり、1−2で敗れてしまったのですが、そうは言っても急造投手。1点で済んだのであれば立派なものです。

 ところが、この采配に一部メディアが「珍采配」と疑問符を付けました。「他に投手が残っているのに捕手を投げさせて敗戦した。」という論調です。一般の方の中にもネットを通じて(記事のコメント欄やブログなどで)それに同調する方がたくさんいらっしゃいました。ちょっと早とちりさんが多いかなとも思ったので、今回は MLB における通例や最近のチーム状況などを踏まえ、この采配が実際には珍采配ではないというお話をしようかと思います。

 最初に。野手が急造投手を務めることは確かに少し珍しいですが、びっくりするほど珍しいと言うほどではありません。チーム誕生から約30年と、比較的歴史の浅いシアトル・マリナーズでも過去3回ほどあったそうです。

 と言うのもまず、MLB では日本のプロ野球よりも投手が不足しやすいのです。MLB では(と言うか本来の野球のルールでは)延長は無制限に行われます。イニングや時間による引き分けがないので、両チームの点が取れないと延々試合が続きます。

 この試合では(本来先発投手ではない)ローランドスミスが5回、その後はロウが1回、コーコランが2回、バティスタ先生が1回、グリーンが1回、そしてヒメネスが4回を投げています。残ったリリーフ投手は2名。ブランドン・モローとアーサー・ローズでした。

 チームの状況も不幸でした。モローはこの5試合で4試合を投げる登板過多、ローズは試合開始時点で肩の違和感により登板回避が決まっていました。とても投げさせられる状況ではありません。

 先発投手を使う手はどうでしょう? 実はこれも大変難しい状況でした。ここ最近は先発投手の故障による登板回避が多発しており、ローテーションを組むのもギリギリという状態です。(実際、普段はリリーフ起用のローランドスミスが先発をした訳ですし。)ここで先発投手を使うと、翌日以降の試合ができなくなってしまいかねません。

 後日のチームの異動で対処する手は? これは監督が口を出せる領域ではないのもありますが、何よりそのために誰かをチームから外さなければなりません。たとえば先発のシルヴァを急造リリーフに出して、この試合ですでに4イニングも投げたヒメネスをいったんマイナーに落とし、緊急先発のできる投手、たとえばフィエラベンドを上げるといった感じでしょうか。うーん、チーム状況がますますがたがたになりそうですね。

 こんな訳で、まずは「投手が残っていた」と言っても、非常に使いづらい状態だったのです。まあ実質的に残っていなかったと言っていいでしょう。

 さて、こんな時にはどうするのでしょうか? すでに「特別に珍しいと言うほどではない」と書いたことからわかるかと思いますが、こういう場合にも一応セオリーがあります。普通は捕手が急造投手を務めるのです。まずは単純に肩がいいからです。

 特に今回のケースでは、バックアップ捕手のバークがうってつけです。捕手であることに加え、もうひとつ理由があります。それは、野手による無調整の緊急登板で、ケガのリスクが高いことに関わってきます。

 肩の良さからいうとたとえばイチローやベルトレイといった選手の名前も挙がってきます。実際、彼らも名乗りを上げたそうです。しかし、彼らが負傷してしまってはどうでしょうか? チームとしては、恐くて投げさせたくないのではないでしょうか?

 この問いに対して城島健司はこう言っています。「じゃあバークだったらケガしてもいいんかい?」と。彼のこういう一本筋の通ったところは大好きです。しかし首脳陣が、高額年俸のレギュラーにケガをされるときと比べ、傷口が浅いと判断することは間違っていないでしょう。

 とまあこんな訳で「捕手が急造投手として緊急登板」というのは、別におかしくも何もないオーソドックスな采配なのです。早とちりをなさらないよう、お気を付けくださいませ。もちろん、以上を踏まえて、それでも批判するならば、これは個人の意見ですから構わないと思いますけどね。

2008年04月22日

【MLB シアトル】天敵 LAA に苦戦

 同地区の強豪、ロサンジェルス・エインジェルズ・オブ・アナハイムと3連戦です。今回はアウェーで、エインジェル・ステイディアム・オブ・アナハイムを舞台に戦うこととなります。

【第1戦】× SEA 4−5 LAA
  • セクソン爆発も、あと一歩およばず。


  • 【第2戦】× SEA 1−4 LAA
  • ベルトレイの一発のみであとは沈黙……。


  • 【第3戦】○ SEA 4−2 LAA
  • イチロー、今季初トリプルが決勝点に。


  • 〈イチローの結果〉
  • 4の1、4の0、5の2。計13打数3安打

  • 打率.259

  • 日米通算2892安打(3000本まであと108本)

  • 盗塁なし(今季通算3)


  • 〈今季チーム成績〉
  • 10勝10敗(首位 LAA、OAK とは2ゲーム差)


  • 〈その他〉
  • バベジ GM、TOR を DFA になったフランク・トーマスの獲得を狙っているらしい。

  • KC 野茂が DFA に。ラストチャンスと言われていただけに、引退危機か?
  • 2008年04月19日

    【MLB シアトル】たなぼた OAK を引きずり下ろせ

     また同地区対決となりました。LAA ともめてる間にいつの間にか首位に立った OAK を相手に、マカフィー・コロシアムで2連戦です。

    【第1戦】○ SEA 4−2 OAK
  • ヘルナンデス完投。エースの貫禄も。


  • 【第2戦】○ SEA 8−1 OAK
  • つないで打ち勝ち。


  • 〈イチローの結果〉
  • 5の1、4の0。計9打数1安打

  • 打率.264

  • 日米通算2889安打(3000本まであと111本)

  • 盗塁1(今季通算3)


  • 〈今季チーム成績〉
  • 9勝8敗(OAK と同率2位、首位 LAA とは1ゲーム差)


  • 〈その他〉
  • ブランドン・モロー昇格

  • ジマーソン、マイナー契約でチームに復帰

  • R. A. ディッキーを先発に回す予定
  • 2008年04月17日

    【MLB シアトル】いろいろてんこ盛りの KC 戦

     セーフコ・フィールドで、カンザスシティ・ロイヤルズを迎え撃つ2連戦です。去年、大活躍してくれたホセ・ギーエンの移籍先であり、またブルペンには野茂や藪田がいます。あと懐かしいところで言うと、2005年に前半戦だけ正捕手を務めたミゲール・オリーヴォもいます。

    【第1戦】× SEA 5−1 KC
  • 相手先発のグリンキーに打線が手も足も出せず。


  • 【第2戦】× SEA 11−6 KC
  • ジョン・ベイル(元広島)、野茂、藪田が登場

  • 城島、日米通算1500本安打達成


  • 〈イチローの結果〉
  • 4の2、4の2。計8打数4安打

  • 打率.286

  • 日米通算2888安打(3000本まであと112本)

  • 盗塁1(今季通算2)


  • 〈今季チーム成績〉
  • 7勝8敗(3位、首位 OAK、LAA とは2ゲーム差)


  • 〈その他〉
  • ナックルボーラーの R. A. ディッキー、ベテラン左腕(元“三銃士”)アーサー・ローズが昇格

  • 代わりにエリック・オフラハティが AA 落ち(不調)、マイク・モースが15日故障者リスト入り(左肩脱臼)。

  • エースのエリック・ベダード、結局15日故障者リスト入り(臀部左の炎症)。
  • 2008年04月16日

    【MLB シアトル】早くもライバル対決

     地元セーフコ・フィールドに戻って、西地区のライバルにして優勝候補筆頭である、ロサンジェルス・エインジェルズ・オブ・アナハイムと対戦です。

    【第1戦】○ SEA 8−5 LAA
  • 見事乱戦を制す。ヘルナンデス、今季最悪の結果ながら初勝利。


  • 【第2戦】○ SEA 8−3 LAA
  • シルヴァ快投、セクソン勝ち越しホームラン。


  • 【第3戦】× SEA 5−10 LAA
  • ベダード、また登板回避。


  • 〈イチローの結果〉
  • 5の1、5の1、3の0。計13打数2安打

  • 打率.255

  • 日米通算2884安打(3000本まであと116本)

  • 今季初盗塁を決める


  • 〈今季チーム成績〉
  • 6勝7敗(3位、首位 OAK とは2ゲーム差)


  • 〈その他〉
  • グレッグ・ノートンが昇格。35歳のベテランスイッチヒッター。

  • 代わりにチャールトン・ジマーソンが Designate for assignment(事実上の解雇通告)に。
  • 2008年04月11日

    【MLB シアトル】光線 vs. 水夫

     対タンパベイ・レイズ@トロピカーナ・フィールドです。去年まではデヴィルレイズと名乗っていたチームですね。

    【第1戦】○ SEA 6−5 TB
  • ロペス、セクソン、ウィルカーソンといったあまり期待されていない選手が活躍。


  • 【第2戦】○ SEA 7−1 TB
  • 序盤は接戦も徐々に突き放し2本の本塁打でトドメ。

  • ちなみにだめ押しとなった3ランは、バーク(過去通算1本塁打)が打った。


  • 【第3戦】× SEA 0−7 TB
  • 一方的にボコられておしまい。


  • 〈イチローの結果〉
  • 5の3、5の1、3の0。計13打数4安打

  • 打率.279

  • 日米通算2882安打(3000本まであと118本)


  • 〈今季チーム成績〉
  • 4勝6敗(最下位、首位 LAA とは2ゲーム差)


  • 〈その他〉
  • プッツ、順調に回復。
  • 2008年04月10日

    【MLB シアトル】最悪の4連敗

     対ボルティモア・オリオールズ@カムデンヤーズ、4連戦です。結果も内容も最悪でした。

    【第1戦】× SEA 4−7 BAL
  • ウォシュバーン以下、投手陣総崩れ。

  • 去年まで味方だったシェリルが活躍するのはうれしいけど複雑……。


  • 【第2戦】× SEA 4−6 BAL
  • ミスの連発でヒドい試合。


  • 【第3戦】× SEA 2−3 BAL
  • ベダード登板回避

  • 3、4番の打点と右のエースの快投で快勝目前だったが……

  • 若いブルペンが9回に捕まりサヨナラ負け。今季はブルペンが期待できないかも。


  • 【第4戦】× SEA 4−5 BAL
  • 競り合いながら終盤の一発に力尽きる


  • 〈イチローの結果〉
  • 4の0、4の1、4の1、5の2。計17打数4安打

  • 打率.276

  • 日米通算2878安打(3000本まであと122本)

  • MLB 通算1600安打達成


  • 〈今季チーム成績〉
  • 2勝5敗(一気に最下位転落)


  • 〈その他〉
  • モース初スタメン、ウィルカーソンとトゥープラトーン起用も?

  • ベダード登板回避も軽症の模様で火曜日に復帰。

  • LAD 黒田デビュー戦で好投。KC 野茂昇格、中継ぎ起用を想定。
  • 2008年04月04日

    【MLB シアトル】開幕!

     今季は全試合の戦評はしません。代わりに、シリーズごとにちょっとしたメモを残すに留めます。

     開幕シリーズ、対テキサス・レインジャーズ@セーフコフィールドです。

    【第1戦】○ SEA 5−2 TEX
  • ベダードのデビュー戦はあっぷあっぷながら結果を残す。

    【第2戦】× SEA 4−5 TEX
  • プッツ打たれる。しかも DL 入りが発表され、泣きっ面に蜂。

    【第3戦】○ SEA 4−1 TEX
  • シルヴァ好投、バティスタ先生が緊急クローザーに。

    〈イチローの結果〉
  • 3の0、5の3、4の1。計12打数4安打
  • 打率.333
  • 日米通算2874安打(3000本まであと126本)

    〈今季チーム成績〉
  • 2勝1敗(LAA と並び首位)

    〈その他〉
  • 守護神J. J. プッツが右脇腹の炎症により故障者リスト入り。ただし軽症の模様。
  • 代わりに上がってきたのはロイ・コーコラン投手。招待選手からマイナー契約していた右腕。
  • 2008年04月02日

    【MLB シアトル】シアトル・マリナーズ ミニ選手名鑑(2008年開幕編)

     今年も(主に自分の備忘用に)ミニ選手名鑑を書きます。メンバーは、開幕ロスター入りを果たした25人です。オーダーは開幕戦を基準にしました。あと、今回はどのくらいの数字を残すのか、期待たっぷりに(若干、無理めに)書いています。

    【野手レギュラー編】
    ◆1番センター イチロー(鈴木一朗)/左
     日米通算3000本安打達成が期待される、生きる伝説。
     期待:打率 .365 ホームラン10 250安打 首位打者ほか
    ◆2番セカンド ホゼ・ロペス/右
     攻守に才能見せるが、精神面に課題も。
     期待:打率 .280 ホームラン15
    ◆3番レフト ラウル・イバニェス/左
     人望ある物静かな左の主砲。チャンスに強い。
     期待:打率 .300 ホームラン30
    ◆4番ファースト リッチー・セクソン/右
     今季に復帰を賭ける大砲。気は優しくて力持ちを地でいく巨漢。
     期待:打率 .270 ホームラン40
    ◆5番サード エイドリアン・ベルトレイ/右
     高い潜在能力を持ち、走攻守に渡り活躍。
     期待:打率 .280 ホームラン30 ゴールドグラヴ
    ◆6番ライト ブラド・ウィルカーソン/左 〈移籍〉
     新加入のパワーヒッター。果たしてセーフコに順応できるか?
     期待:打率 .260 ホームラン20
    ◆7番指名打者 ホセ・ヴィドロ/両
     しぶとい巧打者。めったに三振しないスイッチヒッター。
     期待:打率 .320 ホームラン5
    ◆8番キャッチャー 城島健司/右
     昨年はついに日本での活躍と変わらない好守を見せた。今季は打撃も日本並みに!
     期待:打率 .300 ホームラン20 ゴールドグラヴ
    ◆9番ショート ユニエスキー・ベタンコート/右
     守備範囲に定評があり、近年は打撃も成長してきた。送球と選球眼が課題。
     期待:打率 .300 ホームラン15 ゴールドグラヴ

    【野手控え編】
    ◆控えキャッチャー ジェイミー・バーク/右
     頼れるベテランバックアップ捕手。動きは鈍いが攻守ともそつがない。
     期待:打率 .280 ホームラン2
    ◆右の代打/ユーティリティ マイク・モース/右
     春のキャンプで猛アピールし、開幕ロスター入りを果たす。高打率が期待できそう。
     期待:打率 .295 ホームラン5
    ◆右の代打/代走/外野手 チャールトン・ジマーソン/右 〈新人〉
     当たればでかいパワーヒッター。そして俊足。打率と守備はあまり期待できなさそう。
     期待:打率 .260 ホームラン4
    ◆代走/ユーティリティ ウィリー・ブルームクィスト/右
     人気者のユーティリティ。安倍晋三元首相に顔が似てると思うのは俺だけ?
     期待:打率 .260 ホームラン1
    ◆代走/ユーティリティ ミゲール・カイロ/右 〈移籍〉
     7球団(のべ10球団)を渡り歩いた便利屋。
     期待:してない

    【先発投手編】
    ◆エース エリック・ベダード/左 〈移籍〉
     新加入の左腕エース。優勝請負人となるか?
     16勝8敗 防御率3.15
    ◆2番手 フィリックス・ヘルナンデス/右
     将来性抜群、未来の大投手。今季はついに花開くか。
     19勝7敗 防御率2.88 サイ・ヤング賞 奪三振王
    ◆3番手 カルロス・シルヴァ/右 〈移籍〉
     新加入。ストライクゾーンにガンガン投げ込む強気の投球が信条のシンカーボーラー。
     12勝10敗 防御率4.00
    ◆4番手 ジャロッド・ウォシュバーン/左
     趣味は鹿狩り! ジャ・ロッ・ド! 特技は釣り! ジャ・ロッ・ド!
     10勝12敗 防御率3.80
    ◆5番手 ミゲール・バティスタ/右
     趣味はソプラノサックス! ミ・ゲ・ル! 特技はムーヴィング・ファストボール! ミ・ゲ・ル!
     15勝9敗 防御率4.20

    【リリーフ投手編】
    ◆ロングリリーフ/モップアップ 白チャソン/右
     松坂世代の技巧派右腕。かつては松坂以上の逸材と言われていたらしいが……。
     5勝5敗 防御率4.90
    ◆ミドルリリーフ/モップアップ ライアン・ローランドスミス/左
     ファストボールとカーブの組み合わせで三振の山を築く、昔風の本格派。
     8勝3敗 防御率2.80
    ◆ミドルリリーフ/シチュエーショナル・レフティ エリック・オフラハティ/左
     ナスティ(巧い)ピッチングで大崩れしない投球が魅力。まだ若いのにベテランのよう。
     3勝0敗 防御率3.40
    ◆ミドルリリーフ/セットアップ ショーン・グリーン/右
     打たれそうで打たれない不思議な投手。実はけん制が巧い。
     4勝1敗2S 防御率3.25
    ◆セットアップ マーク・ロウ/右
     球の威力はおととし証明済み。故障さえなければ頼れるセットアップに。
     3勝2敗5S 防御率2.30
    ◆クローザー J. J. プッツ/右
     昨季の最強クローザーとも称される守護神。ファストボールとスプリッターとのコンビネーションが冴える。
     5勝0敗45S 防御率0.72

    2008年04月01日

    騙された?

     ……いえ、単に勘違いしただけです。

     MLB がいち早く日本は東京ドームで開幕し、われらがシアトル・マリナーズの開幕戦も心待ちにしておりました。公式サイトによると、4月1日開幕だとか。じゃあ、日本時間で2日の午前中だねと思っておりました。

     でも、10時にふとネットを見てみると、明日のハズの試合が今日始まっているじゃないですか。しかも7回裏、2−1でリードしなおもチャンスの場面で打席はイチローです! 急いで映像を見ましたが、まあその打席には間に合いませんでしたね。とりあえずはその後も比較的無難な展開で、初戦を白星で飾れました。

     で、なんでカレンダーがずれていたかというと、もしかしたら日付の部分だけはこちらのパソコンの設定を読み込んで表示するのかもしれません。時刻の表示の方は現地時間(西部時間)なので、違和感バリバリです。せめてどっちかに統一してほしいものですが。

     あ、戦評だとか今季のチーム編制については気が向いたら今晩にでも。

    2008年02月09日

    【MLB シアトル】左腕エース、エリック・ベダード獲得

     1時間ほど前に出た速報です。かねてから噂になっていたトレードが実現しました。シアトル・マリナーズがボルティモア・オリオールズの左腕エース、エリック・ベダード投手をトレードによって獲得しました。かなり長い間交渉を続けていて、みんなやきもきしていたと思いますが、ようやく正式決定です。

     交換相手も予定通りです。まずはシアトルのトッププロスペクト(有望な若手)アダム・ジョーンズ外野手、そして昨年セットアップマンとして、あるいはシチュエーショナル・レフティとして大活躍したジョージ・シェリル、さらに才能あふれるマイナーの若手3投手を放出します。犠牲も大きいですが、先発ローテーションの柱を獲得するとなるとこのくらいの出血は当然でしょう。大きな動きとなりました。

     ベダードの特徴は緩急と言っていいと思います。2シーム・ファストボールは90マイル前半とそこまで剛速球ではないですが、それと70マイル台の緩いカーブとの組み合わせが絶品です。コントロールも素晴らしく、安定感があり、ポストシーズンで戦える投手と言えるでしょう。

     これにより先発ローテーションが非常に強力になりました。なんせ昨年の4番手・5番手であるジェフ・ウィーバー、ホラシオ・ラミレスの代わりに、エースもしくは2番手を務められるエリック・ベダードと、2番手・3番手を務められるカルロス・シルヴァを獲得したわけですから。スプリング・トレーニング次第ですが、昨年の2・3番手であるジャロッド・ウォシュバーン、ミゲール・バティスタといった比較的安定感のある投手ですら4・5番手として起用される可能性もあります。

     ちなみに今季アダム・ジョーンズが守ると思われていたライトのポジションには、先日獲得したブラッド・ウィルカーソンがつく可能性が高いと思われます。ある程度長打が期待できるものの、確実性は今イチの打者なので、今のところあんまり期待していませんけどね。ただ、外部からの補強となるとこのくらいの数字を残している選手くらいしか取れそうにないので、やむを得ないかと思いますが。

    2008年01月22日

    大差時の盗塁が野手選択になる訳(その5)

     さて、最後の難問(?)が残っています。それは「ディフェンシヴ・インディファレンス状況で盗塁記録がつかないのは良いとして、それがなぜ今回のルール改正で“大差がついているとき”になっているんだろう?」という疑問です。

     これ、私にもわかりません。が、ちょっとした推測(穿った見方とも言う)はできます。今回の決定は「大差時の盗塁行為は守備側への侮辱行為であるという暗黙の了解」と「ディフェンシヴ・インディファレンス状況での盗塁行為は盗塁数に加算しないという記録についてのルール」とが混同された結果なんじゃないかということです。

     この推測が仮に当たっているとして、まあ大差時においては往々にしてディフェンシヴ・インディファレンスがよく見られますから、まるっきり的外れな決定ってわけでもないですけどね。ただ、ちょっとずれているのは否めません。

     というわけで今回の件、私の個人的な結論としては「ある種の勘違い」です。いちゃもんみたいになってたらゴメンナサイだけど。

     さて、これで話はおしまいですが、余談として MLB における盗塁に関するアンリトゥン・ルールについて触れておきましょう。「大差時には盗塁するな」というこの暗黙の了解、実はあちらでも金科玉条として全員に徹底されているわけではないようです。たとえば、日本の福本豊(元阪急ブレーブス)の記録を破って世界の盗塁王となったリッキー・ヘンダーソンは、そんなの関係ねぇ! とばかりに走りまくったと聞いています。たぶん、最初はかなりの報復(投手による危険球などで)を受けたでしょうね。

     だから別に、何か変だなと思うこと自体は間違っていないのです。ただ、意見の相違であり、その原因が文化差なのですから、相手が間違っていると決めつけることは間違いですけどね。特に、こんな風に文化の違いがわかっていることについては、「郷にいれば郷に従う」か、リッキー・ヘンダーソンのようにツッパって見せて、それでも認められるだけの実績を作るかのどちらかを選ぶべきでしょう。単に「何か不満」ってのがいちばん中途半端でストレスがたまりますし、端から見てもかっこ悪いですからね。

    2008年01月21日

    大差時の盗塁が野手選択になる訳(その4)

     さて、次は野球のルールについてちょっと整理したいと思います。他のスポーツについてあまり詳しくないのですが、私の知る範囲内で言えば、野球は他のスポーツに比べて極端に記録にこだわっていると思います。スポーツのルールといえば、普通は試合をするため、勝負を決するための決まりという要素が強いものです。しかし、野球のルールはそういう普通のルールに加え、記録の付け方まで事細かにルール化されています。つまり、野球のルールは大別して「勝敗や試合進行のために決められた、本来の意味でのルール」と「記録をつけるためのルール」の2種類があるという訳です。

     「記録をつけるためのルール」とはどういうことでしょうか? 単純な例を出しましょう。2アウトランナーなしの状況から、打者が1塁に出塁しました。これ、勝ち負けや試合進行の観点から言えば、出塁の理由が別にシングルヒットだろうが、エラーだろうが、四死球だろうが、どうでもいいじゃないですか。でも、それを記録のために、出塁理由を分類しルール化しているのが野球です。チームスポーツの球技の割には、選手個人個人にスポットライトが確実に、多めに当たる競技だからでしょうか。

     もう少し複雑な例も出しましょう。たとえば、1アウト3塁のケースで打者が外野フライを打ち上げました。3塁走者がタグアップ(いわゆるタッチアップ)で本塁生還を狙いますが、好返球によって阻まれてしまい、アウトになってしまいました。この場合、守備側には「併殺」の記録がつきますが、打者側には「併殺打」の記録はつきません。それは次のような理由です。守備側については、一度に2つのアウトをもぎ取ったというナイスプレイだったので、それを記録しようというということです。一方、タグアップのランナーがアウトになったのは、打者の責任とは言いがたいものがあります。したがって、不名誉な記録である併殺打を打者につけるのはおかしいと考えるわけです。

     こんな風に野球の記録には、個人が見せたプレイの結果を事細かに、できる範囲内で描き出していくという要素があります。例を挙げればきりがありません。チームのためにあえてアウトになるという行為「バント」が打数に数えられないだとか、エラーのせいと見なされる失点は投手の自責点とみなさないだとか……。

     したがって、ディフェンシヴ・インディファレンス状況での盗塁行為は、「実質的に“盗”塁になっていないから」盗塁の記録をつけないわけです。

     ここで、記録がつかないというのを「良くないから」と解釈するべきではないと思います。(まあ私もその1・その2で下手にアンリトゥン・ルールについて触れてしまったため、「大差時の盗塁が悪いことである」かのようにミスリードしてしまった訳で、その辺はゴメンナサイなんですけどね。これについては別の形で、また触れます。)成功すれば勝ちに近づくプレイな訳ですから、ディフェンシヴ・インディファレンスであろうと盗塁行為はしても良いんです。ルール上、ダメとは書いていませんから。ただ、そのプレイ内容を見てみると、「別に塁を盗んでいないよね、だから盗塁の記録はつけなくていいよね」というだけです。つまり、「上で触れた“2種類のルール”は分けて考えるべき」ということですね。

     記録に関するルールの話が出たので、この話に関係なくもない余談も入れましょう。フィールダーズ・チョイス=野手選択という記録用語ですが、よく使われる意味とは別に、もっと広い意味があります。よく使われる方の意味は「1塁に投げればアウトになっていたはずなのに、別の塁に投げたからセーフになってしまった」というミスプレイを指しますよね。これは狭義の野手選択でして、広義の野手選択というものもあるのです。

     広義の野手選択は、ミスでなくても記録されます。たとえば内野ゴロで、1塁走者を2塁でフォースアウトにした場合も野手選択です。大ざっぱに言って、守備側野手が送球に関して普通とは違う選択をあえてすること全般を野手選択と呼ぶわけです。だから、盗塁行為に対し(単純に考えたら)2塁や3塁に投げるべきなのに投げないのも、野手選択と扱うということですね。

     余談の余談ですが、よくフィルダース・チョイスと表記されますが、公認野球規則ではフィルダース・チョイスと書かれているそうです。もっとも、私としては標準的な英語の発音に準じてフィールダー・チョイスと表記してほしいところですが。

     一見、結論が出たようですが、まだこの話は続きます。

    2008年01月20日

    大差時の盗塁が野手選択になる訳(その3)

     というわけで、MLB においてランナーが盗塁行為を試みても、盗塁記録にならないときの話です。これは「ディフェンシヴ・インディファレンス」つまり「守備側の無関心」と呼ばれる場合です。具体的には、キャッチャーが送球動作を試みなかった場合です。

     イチロー曰く「野球という競技は、たとえば塁間の距離など絶妙に調整されているすごく良くできた物」です。その意味において、相手の警戒をかいくぐって盗塁をするのは実にダイナミックなプレイといえます。身体能力だけではなく駆け引きの要素も強く、心理戦、頭脳戦の様相もあります。

     しかし、守備側がまるっきり無警戒の場合はどうでしょうか? 単に守備側が油断していたのであれば、それは心理戦の勝利という意味でおもしろいプレイかもしれません。しかし、作戦的な観点から、ランナーに対して無警戒になった方が得であると思われるケースも存在します。1点を取られてでも目の前のアウトを取った方が良い場合です。

     具体的には、たとえば3点差で迎えた9回裏2アウト1塁のケースでは、打者に集中した方が勝つ確率が高いです。そのため、たとえばファーストはけん制球に備えずに定位置で守ることが多くなり、ランナーも大きなリードが取れます。ピッチャーの投球モーションもあまりランナーを警戒したものよりは、自分の力を存分に出せるものの方が良いでしょう。その状況で実際にランナーが盗塁行為を行ったら、たいていの場合ほぼノーリスクで成功します。キャッチャーも送球することはあまりありません。これがディフェンシヴ・インディファレンスです。

     要は守備を行わないことを選択したのだから、野手選択=フィールダーズ・チョイスであるということなのです。見ている側からしても、あまりエキサイティングなプレイだとは言えませんしね。そして何より、塁を“盗んだ”というより、“タダでもらった”と表現する方が適切な状況です。

     いかがでしょうか? まだすっきりしない人も多いかもしれません。それはおそらく、もう2つほど問題が残っているからではないかと思います。ひとつは「でも、どんな状況であっても盗塁行為は勝ちを指向したプレイなのだから、責めるべきではないのでは?」という問題と、「なぜ大差という状況に限定するの?」という問題です。次はそれについて触れていきたいと思います。

     ……しかし、まさかこのくらいのことを書くのに連載記事になるとは思っても見なかったデスよ。素人ブログだから許されるテキトー主義のたまものですね。(続く)

    2008年01月19日

    大差時の盗塁が野手選択になる訳(その2)

     とまあ、大差での盗塁が得策ではないという話をしてきたわけですが、これが統計的に明確に示されたのは私の知る限り20世紀の中頃になります。しかしおそらく、それ以前にも感覚的に、あるいは感情的に大差時の盗塁は「セコい」「こざかしい」という感覚があったのではないでしょうか。アメリカの野球に古くから伝わっているアンリトゥン・ルール、つまり暗黙の了解のひとつに「大差時の盗塁は守備側への侮辱行為である」というものがあります。

     知らない人にとっては理解しがたいでしょう。しかし、勝負がおおむね決している状況で、ちょろちょろと大して効果もない動きを見せるのは、小馬鹿にしていると見る人がいてもおかしくはありません。そして、そういう認識があちらでは広まっているということ自体は、理解できようができまいが、事実として存在するわけです。

     ……と、ここまで書いてきたところで、実はアンリトゥン・ルールを根拠にするのがちょっと違うように思えてきました。というか、そもそも MLB において盗塁行為が記録としての盗塁数に数えられず、フィールダーズ・チョイスとされる状況というのは、別に大差時に限ったことじゃないことを思い出しました。

     というわけで、いきなり趣旨を変えて、次回は MLB で盗塁の記録がつかないのはどんなときなのかを紹介します。(続く)

    2008年01月12日

    大差時の盗塁が野手選択になる訳(その1)

     先日のニュースによると、日本の野球(プロアマとも)で盗塁記録の扱いが変わったそうです。変わったと言っても、国際的な基準に合わせただけなのですが。具体的には、大差がついた状況では盗塁行為を行っても、盗塁の記録がつかず、野手選択(フィールダーズ・チョイス)として扱うとしたのです。

     個人的な感想としては、国際基準に合わせるのは良いことだと思います。が、それと同時に、何を今さらという思いと、なら他のところもいろいろ直すところがあるんじゃないのという思いもあります。まあ、ルール上変なところを直す動きの一環としては、歓迎しないでもないです。

     さて、この件について、「どうも合点がいかない、どうしてなのか」と聞かれたので、せっかくなのでその回答を記事にしたいと思います。ただし、私も十分に理解していないかもしれませんので、あくまで私の知る範囲内での話です。ここ以降は、すべて「私の見解では」というのが隠れているものとして、1文ごとにそれを脳内補完してください。

     野球は点を取り合うゲームです。野球の作戦行動の中で、盗塁やバントというのは「1点を取りにいく」ためのものです。野球は「取れるだけたくさんの点を取りにいく」のが基本です。が、相手投手の力があまりに勝っていて、たくさんの点を取りにいくのが無理な場合、1点を確実に取りにいくことにより勝機を見いだそうとする作戦が考えられます。他にも、1点がほしいという場面というのはいろいろありますよね。そんなときに使われる盗塁やバントは、チームの勝利に貢献するプレイであり、胸を張って行われるべきものと言えます。

     これらの作戦はもちろん悪い点もあります。バントは比較的確実性の高い作戦ですが、ほとんどの場合1アウトをただで与えてしまいます。盗塁は成功すればいいですが、失敗すればチャンスが潰れてしまいます。また、いずれにせよ塁がたくさん埋まるわけではないので、2点以上を狙った作戦とは言えません。そんな、良い点と悪い点のある「賭け」の作戦です。

     大差で勝っている場面では、勝負の観点からすると二重の意味でこのような賭けをする意味がありません。1点の価値が低いからです。もっと細かく言うと、1点では勝負の趨勢を大きく左右しないため、1点を取りにいく必要がないという消極的理由と、もし全力で勝ちに行くなら1点ではなく大量点を狙うべきだという積極的理由からです。

     そんなわけで、大量点で勝っている状況での盗塁やバントは良い作戦とは言えないのです。

     さて、長々と書いておいて何ですが、この話はこれからの話の前提条件です。ここから、今回新しく制定されたルールの話になります……が、それは次回ということで。

    2008年01月02日

    1塁へのヘッドスライディング……

     ちょっと前の話題になりますが、福岡ソフトバンクホークスの川崎選手がイチローと合同自主トレで出会ったときに、「説教」されたそうですね。北京オリンピック予選の韓国戦で、川崎が1回に内野ゴロを打った際に行ったヘッドスライディングに対してのことだとか。

     イチローと川崎ともなると、この程度のことでニュースになるのかとスルーしていたのですが、なぜかこれに賛否両論が湧いたそうですね。びっくりしました。だって、どこをどう考えてもこれはイチローが正しいですもん。

     ヘッドスライディングなんてしたら、塁間到達が遅くなっちゃうじゃないですか。駆け抜けることが許される1塁にわざわざスピードを落として到達する理由はありません。それに、ケガのリスクが高くなります。もしメリットがあるなら、普段からもうちょっと多くヘッドスライディングが見られるはずです。

     2塁以降であれば、ヘッドスライディングをする理由もあります。止まらなければならないという理由と、タッチをかいくぐらなければならないという理由が。状況によっては手がうまく伸ばせることもメリットになり得ます。1塁にはそれがありません。

     なんか報道によると「かっこ悪いから」という言い方になっているようですね。確かに、勝負の世界でわざわざ不利になるようなプレイをするのはかっこ悪いですね。全力疾走しないのと同じようなもんでしょう。私も1塁へのヘッドスライディングを見る度に眉をひそめています。

     んーでも、報道を見る限りイチローの視点は、上で私が書いたのと少し違っている気がするなぁ。「アマチュアじゃないんだから」「初回からするなんて」というようなことも言っているし、9回裏2アウトのケースならアリだと思ってるのかなぁ……。

    ※1月20日追記
     ……と、上記のように思っていたのですが、どうやらよく言われている「駆け抜ける方がスライディングより速い」という見解は俗説のようです。(Tz さんご指摘 Thx!)むしろ理論的には(理想状態では)ヘッドスライディングの方が速くなることが知られているようです。

     コメント欄で Tz さんから指摘を受けていろいろと調べてみましたが、私の調べた限りでは、実験的に(高い精度で明確に)結論を出した論文を見つけることはできませんでした。もしこれは! という論文をご存じなら、ぜひお知らせください。(英語論文であれば専門外の分野でも読めますので)

     ただ、故障のリスクの大きさを考えると、やはり得策とは思えません。ヘッドスライディングの方がわずかに速いという実験結果もありましたが、その差が果たして人間(塁審)の目に区別できるのかもわかりませんしね。

    2007年12月14日

    【MLB】ミッチェル・レポート

     MLB のドーピング問題を取り上げた "Report to the commissioner of baseball of an independent investigation into the illegal use of steroids and other performance enhancing substances by players in major league baseball" (メイジャーリーグベースボール選手によるステロイド等身体強化物質の違法使用に関するベースボールコミッショナーへの独立調査報告)、通称「ミッチェル・レポート」が公表されました。ジョージ・ミッチェル元上院議員が手がけた資料で、本文だけで300ページを越える分量があります。

     まだ原典には当たっていません。冒頭に37ページの要約がついていて、せめてそれだけでも読んでみようかと思っています。が、内容を紹介した報道を見る限り大変ショッキングな内容のようです。

     現役の、あるいは現役を引退したばかりの大物の名前がずらりと並びます。以前から言われていたバリー・ボンズ、ケヴィン・ブラウン、ホセ・カンセコ、マーク・マグワイア、ジェイソン・ジオンビー、ゲイリー・シェフィールド、ラフィエル・パルメイロ、サミー・ソーサ、そして故ケン・カミニティに加え、新たにロジャー・クレメンス、アンディ・ペティット、ミゲール・テハダ、エリック・ガニエ、ポール・ロデューカといった名前も挙がっています。もちろんここに挙げられた選手の中には使用を否定している人もいますが、その反面、名前が出ているのはごく一部の有名選手であり、本当に氷山の一角でもあるようです。

     衝撃的ではありますが、これには目を背けるわけにいかんなぁ……。何か特筆すべきことが見つかれば、また報告したいと思います。たぶん、新聞等で日本に伝わる報道では不満な人も多いでしょうから。

    2007年12月04日

    【野球北京五輪】日本、北京五輪に出場決定

     あまり関心がなかった北京オリンピックの予選ですが、まあどうのこうの言って試合をやっていたら観たくなってしまうものです。正直、国別対抗ってどうしても嫌な空気が漂うので好きじゃないんですが、それでも野球は野球です。ナカナカこれがビミョーなところでして、ドリームチームが結成されるのは嫌いじゃないんですよね。(だから、他で言うとオールスターとかも嫌いじゃないです。)

     オリンピックの予選という言い方がされていますが、実際にはアジア野球選手権2007という国際大会に北京五輪の予選の役割も持たせているそうですね。この選手権には一次予選もあり、タイ、パキスタン、香港、それにフィリピンが参加しています。この予選を勝ち上がったフィリピンと、アジアの3強でありシード国の日本、韓国、台湾がリーグ戦を行います。優勝国のみが北京五輪出場を決めることになります。(ただし優勝できなくても2位・3位チームは世界最終予選に出場でき、8国中3国が五輪出場となります。)

     すでに多くの方が報道を通じてご存じかと思いますが、日本はこの選手権で見事3戦全勝により優勝し、北京五輪への切符を手に入れました。まずはおめでとうございます。

     正直言って、戦力的には行けて当然だと思います。しかし、野球は元々が番狂わせの多いスポーツですし、また短期決戦でしかも国際大会となるとさらに不測の事態が起きやすいものです。したがって、実力を実力通り発揮するのは案外難しいものです。星野ジャパンの素晴らしかった点は、何と言ってもそのような不測の事態ができるだけ起きないようにさまざまな配慮をしつつ、それでも何かが起きたときには動じない心構えを徹底していた点にあると思います。

     その根底には、星野仙一監督が闘将と呼ばれるゆえんである、勝利への揺るぎない信念と、それを表に出す表現力があるのでしょうが、その辺は誰にでも言えることですから言いません。それよりもむしろ、その信念を理論的、合理的な形に変えて、チーム作りをしたことが大きかったと思います。ホットなハートをクールなマインドで形にしていました。

     ただ、その点において唯一の例外が発生した韓国戦には不満が残ります。いちばん勝ちに近づく、いちばん確率の高い戦い方をしなければいけないにもかかわらず、韓国のペースでの試合を許してしまいました。韓国は勝てる可能性を高める努力を最大限行い、そして日本はなぜかそれにお付き合いしていたのです。その韓国の“努力”の内容は紳士協定を破った土壇場でのメンバーチェンジや、死球狙いで打者が自ら投球に当たりに行くなど、とてもほめられるようなものではないものも含まれますが、それ以外の野球としての戦い方は巧かったです。WBC での戦い方にかなり近く、要は力の差を感じさせない接戦持ち込み作戦です。

     それに対して日本の攻撃は「つなぎの野球」と称して、おなじみのスモールボールです。こちらも WBC で2度も敗れたときと同じような野球をしてしまっています。つなぎを意識するのは別に悪くはないのですが、つなぐんだったらバントよりもヒットでつなぐのが効率的です。バントを多用するから取れる得点が少なく、取れる得点が少ないから投手に頼った僅差のゲームになるんです……って、これは何度か触れていますから、当ブログの読者様にはおなじみですね。

     ともあれ、相手をナメるのはいけませんが、相手を呑んでかかるべきでした。ちょうど、フィリピンや台湾との戦いのようにね。要は2年近く前に WBC アジアラウンド開始時にイチローが言った「向こう30年は日本に手を出せないなと思わせるような戦いをしたい」が正解です。たぶんきっと。

     それでも勝てたのは、運とか精神論とかいろいろありますが、いちばんの原因は実力、特に投手力だと思いますけどね。クローザーに上原浩治というのは、いざ出てみると思った以上に迫力があります。

     北京での本戦は開催国の中国に加え、アメリカ大陸代表のアメリカ合衆国、キューバ、ヨーロッパ代表のオランダがすでに決まっており、そこにアジア代表の日本が加わりました。残り3枠をカナダ、メキシコ、イギリス、スペイン、韓国、台湾、オーストラリア、そしてアフリカの代表(未定)で争うことになります。やはりどうのこうの言って MLB の選手が出ないので今イチ私的盛り上がりに欠けるのですが、それなりに楽しめれば楽しみたいところです。

    2007年11月20日

    カープ再生への提言(酔っぱらい的コラム)

     ご存じのように、プロ野球広島東洋カープがヤバいです。このまま行くとエースと4番がチームを退団することになり、大幅な戦力ダウンが予想されます。カープはまたしても球界のお荷物に成り下がってしまうのでしょうか。乏しい資金と現状の成績では、優れた選手もなかなか集まりにくく、このままでは悪循環から逃れることもできそうにないように思えます。

     しかし、ちょっと私ひらめいちゃいました。もちろん今から書くことは素人の思いつきです。まあ、話半分で聞いてください。

     マネーボールすればよくね? と思ったわけです。要は「実は貢献度が高いのに古典的な基準では過小評価されがちな、リーズナブルな選手を集める」ということです。以前にも紹介しましたが、この手法で MLB オークランド・アスレティックスはかなりの成果を上げています。そこに見習うべきお手本があるんじゃないでしょうか。

     ただし、MLB で使われているデータ解析法そのまんまを流用はできません。日米で野球の質が違うからです。たとえば MLB に比べて、日本の方が若干バントの効果が高い可能性があります。全般的に日本の打者の方がバントが巧く、反面 MLB の内野手の方が強肩なので、バントの成功率が違うからです。また、もしかしたら MLB の方が盗塁狙いの効果が高いかもしれません。日本人投手の方がクイック投法が巧いからです。今挙げた2つの例はいずれも私の当てずっぽうです。しかし、MLB 流データ解析を鵜呑みにできず、改めて独自の解析をしなければならないことを指摘するには十分でしょう。

     まあたぶん流用可能な部分も多くあると思いますけどね。たとえば「選球眼は才能」と言われていますが、きっとこれは世界共通だと思います。また、打点というデータは結果を褒め称えるのに使うのはアリでも、選手の能力を測るのにはノイズが大きすぎて役に立たないってのも、まず間違いなく言えることでしょう。その選手の攻撃力を測るために使われる RC(Runs Created、さしずめ「得点力」といったところ)なども、日本のデータに合わせて公式(係数部分)を少しだけ修正するだけで利用できそうです。いずれにせよ、使えるかどうか再検討はしておきたいところですが。

     つまり、日本流マネーボールを作り上げるってことです。そのために、オープンマインドな統計解析の専門家を雇うべきというわけなのです。そうですねー、たとえば私辺り、雇ってみませんか? ……などと売り込めるほどまで統計に通じていないのが少し残念ですけどね。

    2007年11月16日

    【MLB】2007年ワールドシリーズ顛末 (3) @クアーズ・フィールド

     舞台をコロラド州デンバーのクアーズ・フィールドに移して、ワールドシリーズは続きます。こちらもフェンウェイ・パークに負けず劣らずの曲者球場です。広いのですが、高地にあり(なんせコロラド・ロッキーズの「ロッキー」はロッキー山脈のロッキーですから)、そのため気圧の関係でボールがよく飛ぶのです。また、その対策として、通常より湿気を含んだ“飛ばないボール”を使用しています。普通とは少し違う環境というわけです。

     2敗した COL が BOS につけいる部分はいくつかあると思いますが、その中で環境への対応をつくというのが有効かなと思いました。実際、第3戦の先発の松坂大輔投手は、チームから離れて試合前日に現地にやってきましたが、この特殊ボールの練習を許可されませんでした。野球は競技場の形が一定でないという少し変わったスポーツですが、特に MLB はそれを駆け引きの一部に使用することを是とする風潮があります。松坂は前哨戦でしてやられました。他にも中継ぎ陣の不調が伝えられましたが、ボールに一因があったのかもしれません。

     また、ナショナル・リーグ側がホームになるので、指名打者が使えません。そのため、BOS は2番で大活躍しているケヴィン・ユーキリスを外し、普段指名打者を務めるデイヴィッド・オルティーズをファーストに回さなければなりません。ユーキリスは好守ともに活躍している選手ですから、これもかなりの痛手だと思います。

     この辺りをきっかけに攻めれば、一方的になったシリーズの流れを変えられるかも……と思ったのですが、結果は以下の通りでした。

    【第3戦】× COL 5−10 BOS ○

     第3戦は松坂大輔とジョシュ・フォッグの投げ合いでスタートしました。松坂があの第1回 WBC のときのように見事アジャストして力投するのか、はたまたドラゴンスレイヤーが東洋の龍を狩るのか――そんな風に見ていました。

     で、結果ですが、ドラゴンスレイヤーがついに倒されてしまいました。BOS 打線は不調のエルズバリーをなぜか1番に起用し、好調のペドロイアを2番に据えるという、一見すると不可解な形を取ります。しかしこれが見事に当たり、2人で10打数7安打4打点とその起用に応えます。新人2人がこれだけノリノリではもう、手がつけられません。3回表に一気に爆発します。エルズバリーのダブルをきっかけに、打者一巡の猛攻で6点を奪います。松坂に2ランシングルが飛び出したことがニュースにもなりましたね。

     一方の松坂ですが、苦しみながら何とか結果を出したといったところでしょうか。6回途中2失点でした。やっぱりボールには苦慮していたんでしょうかね? その辺はわかりませんが、制球がやや定まらず、球数が多くなってしまいました。まあそんな状況でありながら、四球数は3つとそんなに多すぎるわけじゃないですから、要所は締めていたと言えるでしょう。この辺はさすがです。ただし長い回を投げられなかったことが、楽勝だったはずの展開に影を差します。

     松坂の2失点は、実際には残したランナーを後続のハヴィアー・ロペスが還したものでした。その後はマイク・ティムリンが抑えるものの、そのティムリンが7回裏に2安打を喫して岡島にマウンドを譲ります。直後、岡島秀樹が3番ホリデーに起死回生の3ランホームランを浴びてしまい、6−5の1点差にまで詰め寄られました。BOS の中継ぎ陣はやはりズタボロのようです。さらに4番ヘルトンがシングルでつないだときには、岡島もさすがに危ないかと思いました。

     が、ここから立て直したのはすごいの一言です。もちろん本人にはそんなことを考える余裕はなかったでしょうが、1点差だろうが勝てばいいのです。そこから集中力を切らさなかった岡島、その後を抑えきりリードを守ります。フランコーナ監督、ある程度の失点は覚悟の上で、それでも勝てる継投を意識したのかもしれません。現状ではそうせざるを得ないでしょうから。

     8回表、そんな緊迫感を逆方向に破る一撃が出ました。またしても新人1・2番コンビです。1・2塁のチャンスからエルズバリーとペドロイアが連続でダブルを放ち、3点を奪います。これでほぼ勝負ありです。ちなみにエルズバリーの打点で7−5になったことにより、統計的には BOS の勝利確率は81%から93%に上昇しています。ほぼ、とどめとなりました。さらに9回表にもヴァリテックの犠牲フライで10−5と突き放し、COL の望みを絶ちます。

     最後は8回途中から投げていたクローザーのパペルボンがまたしても登場し、ゲームを締めています。そろそろ壊れるのが心配になってきました。

     COL は後がなくなりました。中継ぎ陣の不調につけ込んで反撃したはいいが、こちらも同じようにやられては意味がありません。

    【第4戦】× COL 3−4 BOS ○

     この日はある種の感動が球場を包んだ日でもありました。普段の野球の試合で味わえるものとはまた別種の感動です。第4戦の先発投手は BOS がジョン・レスター、COL がアーロン・クックです。レスターは昨年きら星のように現れた新人で、夏までにいきなり7勝を挙げるなど活躍した後、8月下旬に突然リンパ腫の宣告を受け戦線離脱。そのまま抗癌剤の治療を受けてがんを克服し、今季途中から見事な復帰を果たしています。一方のアーロン・クックも、2004年に肺に血栓ができて生死をさまよった経験があります。大病を克服した両者の投げ合い、独特の重みが感じられます。さらに BOS の5番、マイク・ローウェルも精巣がんを克服した経験があります。

     良い試合でした。私がそういう目で見ていたからというのもあるかもしれませんが、良い試合だったと思います。レスターは若さもあってファストボールとスライダーとのコンビネーションのみで必死に抑えます。少ない球種と、良いとは言いがたい制球に、捕手ヴァリテックもリード面で相当苦労したものと思いますが、バッテリーはとにかく気迫で押し切ります。対照的にクック、トレアルバのバッテリーは老かいに打たせて取る投球を心がけ、失投も多少あるものの低めに決まるシンカーを決め球にアウトの山を築きます。

     そして6回を終わって2−0と BOS がリードを奪います。好対照だったのが、BOS 側がレスターを6回途中無失点でマウンドから降ろしたのに対し、COL はクックを続投させました。両チームとも大変難しい決断だったでしょうが、結果としてはここが勝負の明暗を分けたようにも思えます。

     7回表、この回のリードオフはマイク・ローウェルでした。クックの決め球のシンカーをねらい澄ましたようにはじき返し、打球はレフトスタンドへ。3−0とリードを広げました。これで、BOS 側からすれば、残り3イニングを2点以内で抑えればいい計算になります。うち1イニングはパペルボンがいるので盤石として、残り2イニングをいかに切り抜けるかがポイントとなるでしょう。

     7回裏、デルカーメンからブラド・ホープがソロホームランを放ち2点差とします。反撃開始です。しかし8回表に COL は痛い失点をしてしまいます。クローザーの経験もあるブライアン・フエンテスが前日に続き打たれました。しかも、ここまで出番らしい出番もなかった代打ボビー・ケルティからの一発です。4−1です。

     そうなると、8回裏はもちろんセットアップマンの岡島が起用されます。しかし岡島も前日と同じことをしてしまいました。1アウト後、ランナーを1塁においてアトキンスに痛恨の2ランホームランを打たれたのです。これでついに1点差です。岡島、クアーズ・フィールドでは散々でした。

     BOS のベンチはあわてて(……いや、実はこれも想定していたようですが)守護神パペルボンにマウンドを託します。3連投、しかも8回1アウトからの1点差ゲームでの投入です。ちょっと無茶な気がしました。実際、少し危ない打球も飛びました。しかし、その危なげごとむりやり力で押し切ってしまうような投球でしたね。結果は5人の打者をパーフェクトに抑えています。最後は代打のスミスを高めのいわゆるクソボールで空振り三振に切って取り、ボストン・レッドソックスに3年ぶりのワールドチャンピオンをもたらしました。

     勝ち投手は無失点のジョン・レスター、そして試合終了後にワールドシリーズ MVP に選ばれたのはマイク・ローウェルでした。2人のがんサバイバーが世界一をたぐり寄せたのです。今季最後の MLB の試合は、とても美しいものでした。

     さて、ワールドシリーズが終わりました。日本のプロ野球は日本選手権シリーズ、そしてアジアシリーズが終わってこちらも終了。六大学野球も秋季リーグが終了し(うちとこにも優勝のチャンスがあったんだけどなぁ……)、今年の野球もほぼ終わりです。マスターズリーグは今季なぜか広島に来ないみたいだし。また来年の球春を楽しみに、しばし休眠しましょう。(あ、ちなみにオリンピックにはあんまり興味ないです。そっち方面の記事を期待していた人には申し訳なし。)

    2007年11月14日

    【MLB】2007年ワールドシリーズ顛末 (2) @フェンウェイ・パーク

     初戦と第2戦はボストンのフェンウェイ・パークでの開催となりました。ご存じの方も多いかと思いますが、とても個性的な球場です。レフト側がとても狭い代わりに、フェンスが極端に高いのです。このレフトスタンドにそびえ立つフェンスは“グリーン・モンスター”と呼ばれています。

    【第1戦】○ BOS 13−1 COL ×

     BOS の先発はエースのジョシュ・ベケット。リーグ・チャンピオンシップの MVP にも選ばれた勝負強い投手です。今季、MLB で唯一20勝を獲得した投手です。サイ・ヤング賞の投票では接戦の末惜しくも2位となりましたが、その辺りからも今季のめざましい活躍に対する高い評価が伺えます。

     一方の COL の先発はジェフ・フランシス。大学で宇宙物理学を専攻し、本来の志望は研究者だったという変わり種の投手です。変化球が曲がる理由を物理学の観点から説明してくれるような人物ですが、このチームでは17勝を上げた若きエースでもあります。

     一般にポストシーズンのような短期決戦はできるだけ初戦にエースを持っていって勝ちを狙いますよね。1戦1戦の価値が違うからというのもありますが、何と言っても初戦を勝つことでの勢いを無視できないからという理由が大きいでしょう。その点において、この試合は大事な試合でした。シリーズのすべてを物語っていたと言って過言でないかもしれません。

     ベケットの方は完璧に近い投球でした。まず1回表を3者連続三振に切って取ると、そのまま7回をわずか1失点、そして9奪三振に抑え込みます。内容も迫力があり、奪った三振のうち6つは外の低めに決まった4シーム・ファストボールでした。本格派の投球で見るものを魅了する、素晴らしい投球です。力もさることながら、技も兼ね備えていました。2回に2本のダブルで1点を失いましたが、この2本はいずれも他の球場ならスタンドに入っているであろうという打球をグリーン・モンスターが阻んでいます。この辺も明らかに計算ずくでした。ここまでやられると、COL 打線はどうしようもないですね。

     BOS は打線も止まりません。初回、先頭打者のダスティン・ペドロイアが放った打球はいきなりのグリーン・モンスター越え。このプレッシャーの中、大した新人ですね。ワールドシリーズの初戦、第1打席にホームランを放つだけでもすごいですが、実は彼、この時点で左手の有鉤骨という骨の骨折を押して出場していたのです。(もちろん選手生命に関わりかねない無茶ですが、幸いにしてシリーズ終了後に手術を行って成功し、今後の影響はなさそうだとのことです。)

     こうなるともう BOS の独壇場です。さらに連打でこの回3点を奪うと、次々と得点を重ねフランシスから4回6得点を奪い、降板させます。5回には大量7点を奪ってあっという間に試合を決してしまいました。

     こうなると、勢いに乗ってここまでやって来た COL は逆に厳しいですね。もともと下馬評でも BOS 有利と出ていて、その実力差をまざまざと見せつけられた感じになったからです。この試合で、COL は焦りが出たことでしょう。私もこの試合で、シリーズの趨勢はほぼ見えたなと感じました。

    【第2戦】○ BOS 2−1 COL ×

     BOS はベテランのカート・シリングをマウンドに上げました。勤続19年、通算216勝を誇る40歳の大投手です。今季は故障の影響で登板数がやや少なく、24試合に登板し9勝8敗、防御率3.87という成績でした。それでも、こういう大舞台にはめっぽう強く、かつてアリゾナ・ダイアモンドバックスでプレイしていた頃、ワールドシリーズ制覇の際にランディ・ジョンソンと並んで MVP をダブル受賞したこともありました。こういうピッチャーって、なんかすごい投球をするか逆に打ち込まれるかのどっちかって印象ありません? 偏見かもしれませんが、私はそう思います。

     対する COL は対照的で、ウバルドー・ヒメネス23歳がマウンドに上がります。名前をちょろっと聞いたことがあるだけの選手だったので調べてみたところ、7月途中に MLB に昇格し先発ローテーションに入ったばかりで、ほぼ新人と言っても良いようなキャリアの投手でした。今季は15試合に登板し4勝4敗、防御率4.28となります。ちょっと選手層の差が出ている感がありますね。とは言え、100マイル(約160キロ)の速球と、かなり切れるスライダーを投げる才能ある投手でもあります。

     蓋を開けてみると、ロースコアゲームでした。先に点を取られたのはシリングの方です。死球で出したランナーを内野ゴロで還すという地味な1点で、COL が先制します。しかしシリングはそこから崩れません。この辺はさすがです。往年の剛速球には衰えが指摘されますが、それをものともせずに要所を締めます。

     一方のヒメネスも序盤からなかなかの投球で負けていなかったのですが、少しコントロールに難がありましたね。四球を連発しピンチも作りました。ただ、BOS 打線もきのうほどは打てません。4回にキャプテンのジェイソン・ヴァリテックが犠牲フライで1点を奪いますが、後が続きません。5回には1・2塁のチャンスからマイク・ローウェルがダブルを放ち勝ち越しに成功します。が、それもそこまで。そのまま僅差の試合となります。

     そしてそのまま両リリーフが得点を許しません。COL はアッフェルト、ハージェス、フエンテス、そしてコーパスとつぎ込み無失点。一方の BOS も勝ちパターンの起用です。普段からするとかなり早いですが6回途中から岡島を、そして同じく早いですが8回途中からクローザーのパペルボンをつぎ込みます。

     この競り合いに勝ったのは BOS でした。8回表、パペルボンは出したランナーをけん制でアウトにして回を終わらせると、9回表も三振2つを含む完璧なピッチングでそのままゲームを締めます。このポストシーズンでパペルボンはものすごい酷使をされていますが、まったくその影響を感じさせません。

     これで2連敗の COL は苦しくなりました。

    2007年11月10日

    イチロー、2回目のシルバースラッガー賞受賞

     イチローがキャリア2度目のシルバースラッガー賞を受賞しました。シルバースラッガー賞とは、各ポジションごとに打撃の優れた選手に贈られる賞です。名前に「スラッガー」とつくことからわかるように、どちらかというと長距離砲に有利な賞ですから、完全に予想外でした。外野手はもちろん長距離砲が多いですし、特にアメリカンリーグの外野手は層が厚いですからね。なんせ、イチローが2004年にシーズン最多安打の大記録を達成したときすら、選ばれなかったのですから。

     今回の受賞は幸運もあります。今季のアメリカンリーグはやや投高打低気味で、特に一部の突出した選手をのぞいてホームランが少なめでした。それも外野手では30本以上打った選手がいません。その結果、.320を越える高打率でホームランを20本台後半打った選手が2人に絞られます。イチローをしのいで首位打者を獲得した好打者マグリオ・オルドニェス (DET) と、城島が「どこに投げても打たれる」と評する強打者ヴラディミール・ゲレーロ (LAA) です。

     残った1人に誰を選ぶのか。打率.300、ホームラン20本前後の選手がゴロゴロいるのです。それこそシアトルの両翼、ラウル・イバニェスとホセ・ギーエンとかね。あるいはホームラン20本台後半の選手については、打率が物足りないのです。これは選びようがないということで、長打は物足りないものの突出した打率のイチローに票が集まったのではないかと思います。

     しかしどんな事情があったとしても、イチローのような巧打者タイプが、しかも強打者のひしめく外野手の部門でシルバースラッガー賞を取れるというのは偉大なことだと思います。

     この7年間では3年に1度ビッグイヤーが来ています。そんな変なジンクスを破って、来年はぜひとも今季のような傑出した成績を収めてほしいものです。

    2007年11月09日

    【MLB】2007年ワールドシリーズ顛末 (1) 承前

     終わってだいぶ経っちゃいましたが、リクエストがあったので今季のワールドシリーズについても触れましょう。試合そのものもそうですが、今回は周辺事情も含めて見るのも楽しいシリーズでした。

     まずは各リーグの優勝チームから紹介していきましょう。アメリカンリーグを制覇したのはボストン・レッドソックス。投打とも高い水準にある強豪チームです。今季は松坂大輔投手の入団、そして岡島秀樹投手の予想以上の活躍により、日本でも注目を集めました。その松坂が先発3番手であり、岡島がクローザーではないと言えば、層の厚さがわかりやすいでしょうか。打線の方も左右の2枚の大砲、デイヴィッド・オルティーズとマニー・ラミレスを中心とした重量打線です。

     リーグチャンピオンシップ(リーグ優勝決定戦)では、1勝3敗の劣勢から3連勝し、見事な大逆転優勝を果たし、勢いにも乗っています。5〜7戦目は後がないにも関わらず強豪チームらしい落ち着いた戦いぶりですべての試合を圧勝しています。

     一方のナショナルリーグはコロラド・ロッキーズが勝ち上がってきました。実は私自身があまりナショナルリーグをチェックできていないこともあり、ものすごく驚きました。以前から私はにわかファンだと言っていますが、30球団もある MLB、把握しきれないのです。ただ、その中で強豪とは言い難いと思っていたチームが上がってきたので、びっくりしたのです。

     9月は怒濤の勢いでした。11連勝を含む20勝8敗というとんでもないペースで勝ちを重ね、シーズン最終戦の勝利でサンディエゴ・パドレズとワイルドカード首位に並びました。そして運命の10月1日、ワンデイ・プレイオフが行われ、延長13回という大熱戦の末サンディエゴを下しています。その後ポストシーズンではこの勢いに乗ってフィラデルフィア・フィリーズ、アリゾナ・ダイアモンドバックスをいずれも3連勝で退け、ワールドシリーズの舞台に立つことになりました。

     日本では松井稼頭央が復活した球団というイメージが強いと思いますが、なかなか味のある選手もたくさんいます。3番を打つマット・ホリデイはシーズン終盤には観客から「MVP、MVP」とかけ声が上がる活躍を見せてくれていますし、その後を打つ4番トッド・ヘルトンは、イチローらを抑えて現役最高打率を長年キープしています。元シアトルで半シーズンほど正捕手を務めたヨルヴィット・トレアルバもがんばっていますね。

     投手では何と言ってもジョシュ・フォッグの名前を挙げたいと思います。実は成績自体は10勝9敗、防御率4.94と特別傑出しているわけじゃないのですが、9月以降、2日ブラントン・ウェブ (ARI)、9日クリス・ヤング (SD)、14日ドントレル・ウィリス (FLA)、19日ブラド・ペニー (LAD)、26日デレク・ロウ (LAD)、そして10月1日のワンデイプレイオフでのジェイク・ピーヴィ (SD) と、各チームのエース級の、要は格上のピッチャーに次々と投げ勝っているのです。(ただし14日のみ試合は敗戦。)そしてついたニックネームが「ドラゴンスレイヤー」。チームの勢いの象徴的存在と言っていいでしょう。

     そんな両チームの対決でした。下馬評ではボストン有利が伝えられています。私もそう思いました。が、短期決戦は番狂わせも起こりやすいもの。勢いに乗るコロラドが金星をあげるかもしれません。そんなことを考えながら、楽しみに見ていました。(続く)

    2007年11月07日

    イチロー、7年連続ゴールドグラブ賞

     今季、初めてセンターのポジションで1シーズンを過ごしたイチローですが、コンバートの影響もなく順当にゴールドグラブ賞を受賞しました。広い守備範囲とミスの少なさ、判断力、早くて正確な送球など、総合力での受賞だったと思います。同じくアメリカンリーグで受賞したのが、トリー・ハンター (MIN) とグレイディ・サイズモア (CLE) の2人のセンターですが、彼らはどちらかというと派手なプレイが評価されている印象ですね。(まあエラーも少ないんですが。)イチローはハンターと並んで7年連続の受賞となります。

     実は、年を追うごとに受賞が危ういのではないかという心配が増しています。アメリカンリーグの外野手が年を追うごとに層が厚くなっているからです。カーティス・グランダーソンのような活きのいい選手も出てきていますし、まったく油断ならない中、それでも当たり前のように受賞するすごさは、やはりただごとではないと思います。今後も、高いレベルの中で競い合って、その中で受賞を勝ち取ってもらいたいものです。

     シアトルからはエイドリアン・ベルトレイも選ばれました。昨年まで6年連続受賞だったエリック・シャベスが今季は不調であまり試合に出られなかったこともあり、確実視されていたのですが、下馬評通りの受賞となりました。今季は今までよりももっと良い動きを見せてくれていたと思います。

     実は密かに受賞を期待していた城島は残念ながら選ばれませんでした。ベテランのイヴァン・ロドリゲスが13回目の受賞を果たしています。昨年は慣れない環境で捕球もおぼつかない状態だったのに、今季は大変身して(本来の姿に戻って?)堅守を見せてくれていたんですけどね。それに、キャッチングの向上もさることながら、リーグトップの盗塁阻止率も光っていました。

    2007年10月07日

    【MLB】2007ディヴィジョン・シリーズ

     現在 MLB では今季のワールドチャンピオンを決めるべく、ポストシーズンを戦っています。その最初の戦いはディヴィジョン・シリーズと呼ばれ、4チームの中からリーグ優勝決定戦にコマを進める2チームを決める戦いです。3勝勝ち抜きのトーナメント方式なんですが、現状すべての組み合わせで片方のチームが2勝0敗で王手をかけるという極端な結果になっています。

     アメリカン・リーグの組み合わせは、ボストン・レッドソックス (BOS) 対ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA)、クリーヴランド・インディアンズ (CLE) 対ニューヨーク・ヤンキーズ (NYY) となっています。BOS と CLE が2勝して、アメリカン・リーグ優勝決定戦に王手をかけています。このままマジウザい2チームが消えてくれれば大変うれしいです。

     ナショナル・リーグの方はアリゾナ・ダイアモンドバックス (ARI) 対シカゴ・カブズ (CHC)、コロラド・ロッキーズ (COR) 対フィラデルフィア・フィリーズ (PHI) という組み合わせですね。ナショナル・リーグはポストシーズン争いが最後の最後までもつれて非常におもしろかったのですが、その熱気をそのまま持ち込んだような感があります。ただ、結果の方はこちらも一方的です。ARI と COR がそれぞれ王手をかけています。しかもこれを書いている段階で、すでに ARI は第3試合が始まっており、いきなりリードを奪っているという状況なのです。一番乗りはガラガラヘビくんかな?

     その D−バックスに苦戦しているカブズというチームはいわゆる古豪なのですが、かなり長い間……えーっと、いつ以来かな。おっと1908年以来ですね。ワールドチャンピオンから遠ざかっています。1908年というと、指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンが生まれた年なんだそうで。99年前ですか。長いですね。

     これは、ヤギの呪い(ビリー・ゴートの呪い)のせいだなどと言われています。昔々、ヤギを連れて野球を見に来ていた常連の観客を追い返したら、それ以来ワールドシリーズで勝てなくなっちゃったという、そういうお話しです。

     最近まで似たような“呪い”がもうひとつ語られていました。以前も紹介したかと思いますが、「バンビーノの呪い」というヤツですね。レッドソックスが有名なベーブ・ルースをヤンキーズにトレードに出したら、それ以来勝てなくなったっていう話です。この呪いは2004年に解けましたが。

     それになぞらえて、冗談半分にヤンキーズには「ソリアーノの呪い」がかかっているなんてことを言う人もいるようですね。ソリアーノってのは、元ドミニカカープアカデミーから広島東洋カープを経て、MLB で大活躍しているアルフォンゾ・ソリアーノのことです。ヤンキーズが A-Rod 獲得のために彼をテキサス・レインジャーズにトレードに出したんですが、確かにそれ以来ヤンキーズはワールドシリーズを制覇していないですねぇ。とは言え、今フツーに活躍している人に対し“呪い”扱いはヒドい話です。そんな言い方が許されるんだったら、松井さん加入以来ヤンキーズはポストシーズンの成績を徐々に落としているのですから、「ナベツネの呪い」とかの方がまだしっくり来るんじゃないかと。

     あ、ちなみにソリアーノですが、今はカブズにいます。なので呪いをかけるために奔走しているわけではなく、試合でがんばっています。

     ちなみに私の今季ですが、まずはシーズン中にひいきチームの SEA を応援するのは当然として、優勝争いから脱落したとなると次には姉妹チームのような扱いのサンディエゴ・パドレズ (SD) を応援していました。最悪でもワイルドカードでポストシーズンには出てくるだろうと思ったんですけどね。そしたら最終戦でロッキーズに追いつかれちゃいました。そして1試合のプレイオフで敗れ、脱落となったのです。しかも、今季サイ・ヤング賞候補筆頭とも言われるエースのジェイク・ピーヴィと、通算500セーブを誇る偉大なクローザー、トレヴァー・ホフマンがそろって打たれるという信じがたい展開で。

     今は、フィリーズを応援しています。そこそこ縁があるんです。前 SEA の GM を務めていたパット・ギリックが GM をやっていて、その関係で元 SEA の選手がちょくちょくいるんです。大ベテラン左腕のジェイミー・モイヤーとか。あと、かつて日本のヤクルトスワローズや近鉄バファローズで活躍したチャーリー・マニエルが監督をやっていますしね。でも、ここまで0勝2敗とかなりの劣勢。

     応援しているチームが次々と脱落していく今季に限って言うと、「オレの呪い」もナカナカ強力そうです。トホホ……。

    2007年10月01日

    【MLB シアトル】 有終の美

     さあ! 今季のレギュラーシーズン最後のシリーズとなりました。最後の3連戦は、同地区のテキサス・レインジャーズが相手です。優勝争いをしていた時期に思わぬ煮え湯を飲まされた相手ですから、きっちりと復讐してほしいものです。対戦成績もここまで8勝8敗のタイですし、勝ち越して来年につなげたいところでしたが、結果はどうなったでしょうか? それでは見ていきましょう。

    【第1戦】○ SEA 6−4 TEX
     抜きつ抜かれつのおもしろい試合でした。先発はジェフ・ウィーバー(背中にファスナーつき)で、相変わらず素晴らしい球を投げていましたが、この日は珍しく少し打ち込まれました。まずは3回表、マイケル・ヤングに2ランシングルを浴びます。ヤングはさすがですね。4月には打率1割台と絶不調でしたが、すぐに取り戻し先日5年連続200本安打を達成しました。これにはイチローも「敵だけど」と前置きしつつライバルの活躍に喜んでいました。本当に良いライバル関係です。

     対するこちらの打線、しばらくはなかなか打てませんでしたが、それでも負けていません。6回裏に満塁のチャンスを作ると、6番城島が2ランダブルを放って同点とします。最近は城島、守備ばかりが目立ち、攻撃面では打っても勝ちにつながらなかったり、チャンスに打てなかったりでしたから、久々の目立つ活躍となりました。さらにここ最近打撃でアピールし、この日7番に入ったマイク・モースが続いて、もう1点を奪います。これで逆転し3−2。

     しかし相手も食い下がります。7回表、シアトル戦になぜかよく打つ9番トラヴィス・メトカーフがウィーバー(背中にファスナーつき)から2ランホームランを放って3−4と再逆転です。なかなか将来性を感じさせてくれる打者ですね。お見事でした。結局これでウィーバー(背中にファスナーつき)は4失点です。ただし、8回までしっかりと投げきったのはさすがです。1年契約なのが惜しいですね。ウィーバー(本物)だけ切ってウィーバー(背中にファスナーつき)だけと再契約するなんて美味しい話はないんでしょうか。

     試合に話を戻しますと、こちらもまだまだ負けていません。8回裏に今度は代打ヴィドロの1ランシングルが飛び出し同点に追いつきます。これで4−4。目が離せません。ここでイチローにまわってきたのですが、この場面ではセカンドゴロに打ち取られ、この回を終えます。イチローはこの試合、2度の好機に倒れています。今季の打点が68で自己タイですし、もう1本が見たかったのですが。

     9回表はまたしても同点なのに J. J. プッツの登板です。夏頃までは0勝だった J. J.、このパターンですでに5勝を稼いでいます。この日はランナーを2塁に置くピンチを招くものの、それをものともせず仁王立ちし無失点に抑えました。

     9回裏は2番ベルトレイからです。ここで見事にシングルを放ち、期待できる打順につなげます。が、3番イバニェスはレフトフライ、4番ギーエンはサードゴロと、続けません。2アウト2塁となり、打順は5番――とはいえ新人の――ジェフ・クレメントが左打席に立ちます。このセプテンバー・コールアップで初昇格し、マイナーを含めても2年目の若者にはかなりタフな状況のはずですが、ドラフト1巡目ルーキーの強心臓は違いますね。4球目を打ち返すと、広いセーフコフィールドのいちばん深いところ、日本の球場でたとえるとバックスクリーンがある辺りに大きな放物線を描きます。ウォークオフ(サヨナラ)ホームランです。あっと驚く幕切れとなりました。6−4でゲームセットです。2日前の同点ホームランと言い、良いところで仕事をしますねぇ。楽しい試合でした。

     イチローは5の2です。.350となりました。なんかオルドニェスはフル出場して打ちまくったようで、.360です。スゲーな。こうなるとさすがに追いつけませんね。

    【第2戦】○ SEA 5−1 TEX
     先発の両ベテランがよく投げ合った好ゲームでした。こちらはバティスタ先生が登板し、今季一二を争うような素晴らしい快投を見せてくれました。先生は今季後半に大活躍してくれましたが、それでもだいたいは四球などでピンチを作りながらそれに耐えて粘投するパターンが多かったんですよね。でもこの試合はそうではなく、ほとんど隙がありませんでした。

     ピンチらしいピンチは2回表ぐらいでしょうか。ソーサがシングルで出塁した後、暴投で2塁に進めてしまうと、直後にクルーズに1ランダブルを許し1点を先制されます。例によってこの調子で厳しい戦いを強いられるかと思いきや、危ないのはホントにここだけでした。後続を切って取ったかと思うと、あとはあれよあれよとイニング・イーティング(回を食いつぶしていく)していきます。結局この1失点のみで、3安打2死球5三振で8回までを投げきってしまいます。大先生モードでした。

     一方のミルウッドも、さすがにベテランらしい投球で試合を壊しません。実際にはシアトル打線は彼から7回で11安打も打っているのですが、見ていた感じだとそんなに打てたという印象がないんですよね。かなり要所要所を締められた感があります。バティスタ先生に大先生モードのスイッチが入っていなかったら負けていたかもしれません。

     追いついたのは2回裏です。ノーアウト1・3塁から城島がサードゴロダブルプレイで1点を奪います。(このケースで打点が記録されなかったんですが、ルールってそれで合ってましたっけ? だとすれば私、長いことルールを誤解していました。)これで1−1。点は取りましたが、追加点の芽は摘まれてしまいました。

     3回裏も見事です。2アウトからイチロー、ベルトレイに出塁を許し、イバニェスが1ランシングルを放って1点を奪います。さらにギーエンも内野安打で続きますが、そこからクレメントを打ち取り、ここも最少得点。こんな具合で、打たれても大量失点を許しません。実に巧いです。

     が、6回裏に力尽きました。1アウト満塁で打席には7番マイク・モース。見事にチャンスをものにしました。ライト前に2ランシングルを放ってほぼ試合を決しました。その後7回裏にもイバニェスのソロホームランで突き放し、9回表をショーン・グリーンが3人で締めてゲームセットです。ナイスゲームでした。

     イチローは4の2でした。打率は.351です。珍しくマトモに盗塁死を記録しています。(誤審やヒットエンドラン失敗による盗塁死がほとんどなのですよ。)相手捕手のライアードの機敏な送球が功を奏した形となりました。

    【第3戦】○ SEA 4−2 TEX
     今季最終戦は現地時間では日曜日のデーゲームです。ぜひとも良い試合を見せるという形でサーヴィスしておきたい地元ファンの前で、エースのフィリックス・ヘルナンデスがびしっと決めてくれました。

     ただし、最初は例によって心配な立ち上がりでした。1回表、2番のキンスラーに死球を与えてしまい、さらに直後3番マーフィーにダブルを放たれ1点を失います。それでも、このシーン以降はほとんど危なげなく投げていましたね。相変わらず冴えわたる98マイルの直球と、切れの良い変化球とのコンビネーションは、決まっているときには手がつけられません。この日の自責点はこの1回の1点だけでした。

     しかしあちらの先発、新人のマーレイもなかなかやります。チーム打率ではアメリカンリーグ2位のシアトル打線に、結局6回を投げて5安打しか許していませんから。こちらはこちらで、点を取るのに苦労しました。しかしそれでも、こちらが一枚上手です。

     まずは2回裏。同点打は意外な人の一発でした。ベテラン捕手ジェイミー・バークは以前も紹介したように大変な苦労人ですが、今季花開き、ご存じのように城島のバックアップを十分すぎるほどに勤め上げました。しかし彼は、キャリアでまだ一度もホームランを打ったことがなかったのです。その MLB 初のホームランがこの最終戦で飛び出しました。真ん中やや外よりの球だったでしょうか。良いところで同点に追いつきました。

     さらにブルームクィストを2塁に置いて、イチローがファースト内野安打を放ちます。イチローの足にあわてたファーストのサルタラマキア、悪送球でブルームクィストを生還させてしまいました。記録上はもちろん打点ではありませんが、イチローが奪った点と言って過言ではないでしょう。これで2−1となり、勝ち越しです。

     バークはさらに活躍します。1アウト後、アダム・ジョーンズがライトの深いところ、あと少しでスタンドに入りそうな強烈な打球のトリプルを放つと、カウント1-1から見事なスーサイド・スクイーズを決めます。3−1と突き放しました。この投手戦、これでほぼ勝負が決しました。

     5回表にはロペスのエラーをきっかけに1点を失いますが、ヘルナンデスはあわてることも臆することもなく簡単に後続を打ち取り、安定感を見せます。すると6回裏にはロペスが先ほどのミスを取り戻す、だめ押しのソロホームランを放ちました。4−2です。

     こうなるともうヘルナンデスの独壇場です。この2点差を守りきったまま、8三振を奪い完投目前の9回表までやって来ました。ここで監督、いったんは選手を守備につかせますが、その直後にイチローとギーエンをベンチに下げています。要は、観客に向けて挨拶をさせる時間を取るというファンサーヴィスなんですが、粋な計らいですね。

     さて、そんなこんなで、ヘルナンデスは9回表2アウトランナーなしまで難なくこぎ着けます。まあ普通なら完投するところですが、ここは監督からもうひとつの粋な計らいです。やはり最後はチームを支えてくれた大クローザーに締めてもらいましょう。J. J. プッツの登場です。そして、この降板でヘルナンデスにも挨拶の機会が与えられました。もちろん、会場はスタンディング・オベーションで迎え入れました。

     そのプッツですが、いつも通りに決めてくれました。打席には6番のサルタラマキア。カウント2−2から、高めの直球を釣り球として投げます。いわゆるくそボールなんですが、球威があると「ボールだとわかっていてもつい手が出てしまう」というヤツです。ねらい通り見事な空振り三振を奪い、この試合を、そして今季を素晴らしい形で締めくくりました。

     イチローは3の1で、最終的に.351でシーズンを終えました。今季は3年に1度の当たり年でしたから首位打者を取ってほしかったのですが、結果として2位に終わりました。最終的な安打数は238で、こちらの方はもちろんトップです。

     最後は華々しく地元でスイープを決めてくれました。気持ちよかったですね。シーズンを通してみても、全般的には良かったんじゃないでしょうか。久々に最下位を脱出できたのみならず、9月までポストシーズン争いをしていましたし。(88勝ならワイルドカードで出場できていてもそんなにおかしな数字でもないですしね。)

     今年はとても楽しかったです。でも全試合紹介なんてアホなこと、二度とやらねーぞ。マジ疲れたー。

     気が向けば今季の総括と来年の展望とか、あるいはポストシーズンのこととかも書いていきますね。あくまで気が向けば、だけど。

    2007年09月29日

    【MLB シアトル】 部族のみなさん、お気の毒様

     さて、シーズン終了が近づいてきました。このシリーズですが、トライブ(部族)の異名を持つクリーヴランド・インディアンズ (CLE) との3連戦です。ただし、中止順延になった試合も1つ開催されますので、実質4連戦ですね。われらが SEA も4月に中止になった4連戦の穴埋めのせいで、過酷な日程となりエラい目に遭わされました。

     ところで、最近「野球記事、前より手を抜いてるね」と指摘されてしまいましたが、少し間違ってます。抜いているのは「手」と言うより「気」です。お間違えのなきよう……。

    【第1戦】× SEA 3−4 CLE
     先発のフィリックス・ヘルナンデスが初回、いきなり相手4番のヴィクター・マルティネスから3ランホームランを打たれて3点を取られると、それがそのまま重くのしかかることとなってしまいました。結果からすると7回3失点と十分な活躍のようですが、初回にいきなりやられるとやはりどうしても選手のモティベーションの面でキツいものがあります。まあその辺は見てる側も同じですが。

     8回まではとにかく打線のつながらない日でした。ホントに全然ダメ。取った1点も城島のダブルプレイによるものでしたしね。だから9回裏、3−1で負けている状況ではあまり期待はしていなかったのですが、クローザーのボロウスキーからベルトレイが2ランを打って同点に追いついた時にはチト驚きました。

     その後、白熱した接戦が12回まで続いたんですが……最後にやられました。11回を完璧に抑えたモローを続投させ、ランナーを出すとローランドスミスに交代です。中途半端ですね。そのまま任せるか、回の頭から交代させるかのどっちかしかないと思うんですが、相変わらずチャベス投手コーチの継投は変です。おかげでローランドスミスがけん制悪送球でランナーを3塁に進めて、そのまま還しちゃいました。

     12回裏はイチローから始まりますので期待されたんですが……残念ながら三者凡退です。抑えたのはラフィエル・ベタンコートでした。もしかして聞き覚えがありませんか? 1年だけ横浜ベイスターズにいた投手です。その当時は大した成績は残せませんでしたが、その後成長し今季はクローザーのボロウスキーを上回る好成績を残しています。変われば変わるものですね。

     イチローは6の2です。.350です。

    【第4戦】× SEA 4−12 CLE
    ※この試合は4月に行われるはずだったシリーズの第4戦ですので、あえて正式な表記を取っています。実際には第1戦の翌日、第2戦と同日の昼に試合が行われています。

     んまあ、始まる前からいわゆる捨てゲームに近いニュアンスだったんでしょうか。先発はフィエラベンド。ラミレスもダメでしたが、このフィエラベンドも全然結果を残していません。しいて言うなら若さが違うのですが、現段階の力では経験を積ませてもそれが生きるかどうかも少し疑問ですね。まだカンピーヨや白チャソンといった他の先発投手に任せた方が実りがありそうですが。んで、そのフィエラベンドが3回裏に6失点、後を継いだカンピーヨが2失点と、一挙に8点取られておしまいです。初回から(いつも通りの)荒れ模様だったので、難しいかなと思っていましたが、やはりです。ダブルヘッダーで投手を使いたくないでしょうに、この先発起用はちょっと謎です。

     それにしても相手の連打は見事でしたよー。途中から笑えてきましたもん。ダブル、シングル、ダブル、シングル、トリプル、シングルの6連打です。

     対するこちらの打線は先発のカルモナにほとんどなすすべなしでした。初回こそギーエンが2ランホームランを放っていますが、その後はほとんどチャンスをもらえませんでした。ただ、試合が実質的に決した終盤に若手が投入されてからは、バレンティンが初ホームラン、ロブ・ジョンソンとジェフ・クレメントにも初ヒットが生まれ、ちょっと未来への希望も感じさせてくれました。もっとも、この中でチームに残るのは一部でしょうけどね。

     イチローは3の0で途中交代しています。ヒットがほしそうなスイングで、調子は今イチに見えました。.349です。

    【第2戦】○ SEA 3−2 CLE
     とても閉塞感のある試合で、前日の第1戦にそっくりでした。こちらの先発のウォシュバーンはまあまあ良かったのですが、2本のソロホームランで2点のリードを許し、6回でマウンドを降りています。んまあ、全体として見たら一応はナイスピッチングと言っていいでしょう。

     ただ、打線が今イチつながらなかったんですよね。そんな中、やっと1点を奪ったのは8回でした。イチローがこの日3本目のヒットをレフト前に転がすと、代打ブルサードが続き1・3塁。ここでギーエンが犠牲フライを放って1点です。ただしそこからがつながらずに、厳しい展開でしたけどね。それでもショーン・ホワイトが珍しく崩れることなく3イニングを抑えてくれたことと共に、勝利へ希望をつなぎます。

     そして9回裏2アウト、万事休すかと思われたところで今日も同点に追いつきました。昼に MLB 初ヒットを放ったジェフ・クレメントが代打で登場し、右中間スタンド中段に突き刺す大きなソロホームランを放ち、大器の片鱗を見せます。打たれたのはまたしてもクローザーのボロウスキー。よく思うのですが、この防御率5点台の投手がなぜクローザーなんでしょうかね。セーブは40を超えていてトップじゃああるんですが、何かちょっと不思議です。これで2−2。

     10回表はプッツが登場し、1・2塁のピンチを作ります。前日もそうでしたが、この日も少し良くなかったですね。でも、強気の投球で事なきを得ます。3番・4番を連続三振に切って取ったときは痺れました。

     前日との違いは10回裏でしょうか。最後の最後に良い攻撃を見せてくれました。イチローがヒットのほしいスイングでセカンドゴロに倒れた後、ブルサード、ギーエンの連打で1・2塁とします。ここで捕手ながらなかなかの足を持つロブ・ジョンソンが2塁代走に起用されました。続くベルトレイはライト方向にシチュエーショナル・バッティングです。惜しい当たりですが、ライトフライに倒れます。ジョンソンは判断よく3塁に走りました。……でも、足は評判ほど速くないなぁ。これで2アウト1・3塁となり、続くはこの試合で5番に抜擢されているマイク・モースです。ここまで4の2と当たっています。打球はショートのほぼ正面をつき3アウトかと思いきや、突如イレギュラーします。ラッキーなセンター前のウォークオフ(サヨナラ)シングルとなり、この試合を制しました。こんな場面で打球がイレギュラーするとは、恐ろしい競技です。野球ってのは。

     イチローは昼の試合同様、あまり良いスイングをしていないのですが、なぜか5の3と結果を出しています。不思議というか、さすがというか。.350となりました。ただ、凡打や三振の時があまりに無様なので、ちょっと見ていて痛々しい感じもありますけどね。

    【第3戦】○ SEA 4−2 CLE
     全体的には好ゲームでした。まあ、細かくはいろいろと不満もありますが、そこは目をつぶって、あるいはここで少しグチりながら解消していきましょう。

     先発は久々に白チャソンです。久々に見ましたが、相変わらずなのに少し笑っちゃいました。良いときは良いけど突然崩れる不安定な投手ですね。元々は結構な剛球投手だったらしいですが、最近では低めに制球するのが持ち味になっています。その制球が甘くなったときにはやはり痛打されてしまいますね。

     ただ、結果論ですがこの日は味方守備が冴えわたり、また運も味方して1失点で済みました。白が勝てるパターンと言えばこれしかありません。ちょっとおぼつかないですね。そろそろ伸びしろもなくなってきているようにも見えますし、今が売り時のような気がします。それでもこの日の試合では6回を投げ、ゲームを作りました。一応はナイスピッチングと言っておきましょう。

     相手はポール・バードが先発です。変則的なフォームからくり出す球は打者よりもむしろ球審を幻惑するようで、誤審を連発していたように思います。1回裏のリードオフ、イチローは見逃しの三振に倒れたのですが、その最後の球は外にボール4つ分は外れていましたもん。あと、ボークっぽいフォームで投げているときも見られました。もうちょっと厳しく見てほしいですね。せめて注意ぐらいはしないと。

     で、打者の方も今イチ捉えきれませんが、それでも良いタイミングでラッキーパンチが出て、試合を優位に進めます。まずは1回裏、ランナー1塁からギーエンがセンター方向のいちばん深いところに2ランホームラン。さらに4回にはロペスにも2ランホームランが飛び出します。4回を終えて、4−1。

     その後は少し試合が膠着します。白もピンチを作りますが何とか抑えきり、一方のバードは連打を許さずなかなかチャンスを作らせてくれません。終盤の継投では7〜8回をグリーンが抑えます。かなり危なかったですけどね。

     そして9回表。プッツは連投していますから温存です。モローがマウンドに上がります。そのモロー、最初は力のある球を放っていて良かったのですが、途中から球が甘く入り始めます。2者連続でダブルを打たれ、1点を返されてしまいます。打順は1番に戻ってグレイディ・サイズモア。他チームならクリンナップを打てるだろう恐い打者です。左打者ということでジョージ・シェリルにスイッチします。しかし内側にすっぽ抜け、死球を出してしまいます。これで2アウト1・2塁。同点のランナーを出してしまい、試合がわからなくなってきました。

     ヤバいかも……と思ってみていた矢先、試合は意外な形の結末を迎えました。1ボール2ストライクで迎えた4球目、外角に少し大きく外れた94マイルの直球を捕球した城島がそのまま1塁にけん制球を投げ、サイズモアを刺します。長駆生還による同点を狙いリードの大きかったサイズモア、戻りきれません。ゲーム終了です。この時のシーンは Major.jp の丹羽さんのコラム『イチローも認めるファインプレー 城島が「目力」発揮』に詳しいので、ぜひご覧ください。(普段はよその記事は読まずに、あるいは読んでもあえて参考にせずに自分の記事を書くようにするのですが、今回のは克明に書かれていてとてもおもしろいので、採り上げてみました。オススメです。まあ普段から丹羽さんの記事はおもしろいですけどね。)

     イチローは4の1です。久々にらしいショートへの内野安打を見ることができました。.350です。あと3試合ですし、ライバルのオルドニェスは打率を下げないよう休み休み様子を見ながら出場している状況なので、首位打者は絶望的ですね。翌日から15連続安打すれば打率.364となり抜けますが、そのくらいの離れ業じゃないと無理です。



     CLE との実質4連戦を2勝2敗で切り抜けました。中地区優勝チーム相手に上々です。が、今季よりポストシーズン出場チームの中で勝率トップのチームが日程を選べるというルールが加わっています。その点、あちらにとってはそこそこ重要な意味を持つ試合だったのに、部族のみなさんお気の毒様です。

     では日程です。次が今季最終シリーズとなります。セーフコ・フィールドを舞台に同地区のテキサス・レインジャーズ (TEX) との3連戦を迎えます。大事な時期にまさかのスイープを喫した相手です。今さらながらですが、ちょっとリベンジしてもらいたい気持ちはありますね。先発は初戦がジェフ・ウィーバーとエディンソン・ヴォルケス、第2戦がミゲール・バティスタとケヴィン・ミルウッド、そして最終戦がフィリックス・ヘルナンデス(TEX は未定)の予定です。

    2007年09月25日

    【MLB シアトル】 アメリカンリーグ西地区2位確定

     まあ、ほぼ時間の問題ではありましたが、アメリカンリーグ西地区はロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) が制覇しました。これでシアトルは2位確定です。エリミネーション・ナンバーが3の状況で4連戦でしたから、2敗したらおしまいです。そしてちょうど2敗しちゃいました。終戦ですね。では、その終戦をどんな風に迎えたか振り返ってみたいと思います。

    【第1戦】× SEA 5−9 LAA
     先発はこちらが久々に若手フィエラベンドで、あちらがジェレッド・ウィーバーです。このプレッシャーのかかるマウンドにフィエラベンドはキツいだろうと思っていましたが、やはり彼には荷が重すぎましたね。1、2回こそ抑えるものの、2点の援護をもらった直後の3回裏に一挙5点を取られて、わずか65球でマウンドを降りています。

     4回からはカンピーヨが後を継ぎますが、これまたピリッとしません。4回裏に主砲ゲレーロに2ランを浴びるなどし4点を奪われると、6回裏にはそのゲレーロに危険球を投げて乱闘寸前となり、結局監督と共に退場になってしまいました。どうもそれ以前の段階ですでに警告試合となっていたらしく、その兼ね合いでカンピーヨが退場になるのはわかるのですか、なぜ監督まで巻き添えになったのかは映像ではよくわかりませんでした。それにしてもマクラーレン監督は退場が多すぎますね。

     こちらもイバニェスの2ランホームランで追撃し4点を取りますが、5点差はいかんともしがたいものがあります。カンピーヨの後を継いだ白チャソンはきちっとゼロを並べましたが、結局打線の方が奮起しきれません。9回表、イチローの意地の一撃が出て1点を還すものの、反撃もそこまで。試合が決しました。これでマジック1。万事休す。

     イチローは5の1です。.353となりました。

    【第2戦】○ SEA 6−0 LAA
     「意地を見せる」という言葉があります。「勝てないとわかっていても最後まで相手を苦しめる」という意味の野球用語です。崖っぷちで意地を見せてくれました。

     先発は後半戦、期待を裏切り続けたウォシュバーンでした。しかし最後の最後になってようやく期待に応えてくれます。ここまで「勝負弱い」「スタミナがない」とあまり評価してきませんでしたが、この日は試合展開の関係でその弱点を露呈することなく済んだからでもありますが。

     序盤は投手戦の様相を見せます。相手先発のソーンダースもなかなかの出来で、むしろウォシュバーンの方が少し危ういかなというところでした。しかし、4回表にギーエン、ベルトレイの連打で1点を奪い先制すると、6回表には見事な集中打でさらに4点を奪います。ロペスから始まり、イバニェス、ギーエン、ベルトレイ、それにバークとすべてヒットでつないでいく気持ちいい展開でした。8回表にもギーエンのソロホームランが飛び出し、だめ押しです。

     ここで7回95球、5安打無失点のウォシュバーンを交代させたのは見事でした。確かに今までの実績を考えると、次の回ヤバいでしょうからね。8回裏からはモローが登板します。この日のモローは久々にずばっ、ずばっと良いところにボールが行き、つけいる隙がありません。結局2イニングをパーフェクトに抑えてゲームセットです。

     イチローは封じ込められて5の0です。.350に打率を落としました。

    【第3戦】○ SEA 3−2 LAA
     そろそろ危ないかなぁと思って見ていました。先発はこちらがバティスタ先生。あちらは元サイヤング賞投手ながら、故障の影響で不本意な投球が続くコロン。こういうパターンで、相手の大復活劇を演出してしまうのがわれらがシアトル・マリナーズの定番です。

     まあ相手にそれに近い投球をされてしまったのはしまったのですが、守りでは先生以下7人の投手を投入して2失点で封じ込め、打つ方ではイチローが先制のきっかけとなるダブルと、決勝点となる1ランシングルを放って前日の逆襲を見せてくれるなどして、何とか勝ちを得ることができました。

     危なかったですけどね。バティスタ先生は6回途中6安打5四球と、再三ピンチを作りましたし、終盤8回にもシェリルがボークでピンチを作って早々にプッツを投入する羽目になりました。プッツも不運な内野安打をきっかけにランナーを3塁まで進められ、1点を奪われています。対するコロンは8回3安打と、負けはしたもののしっかりとゲームを作ります。あちらの先発は負けてもきちっとゲームを作る場合が多く、リリーフをそんなに出さなくていい形が作り上げられています。これが順位の差になって現れているのだと思います。ここまで、勢いだけで善戦していましたが、チーム力の差は歴然としていますね。

     でも勝ちは勝ちです。連勝でこの日も意地を見せました。

     イチローは4の2でした。.351です。

    【第4戦】× SEA 4−7 LAA
     ついに力尽きました。昨年、見事セントルイス・カーディナルズをワールドシリーズ制覇に導いた優勝請負人ジェフ・ウィーバーが、今年は見事に古巣である相手チームの優勝に大きく貢献しました。トホホ……。

     まずは2回裏にいきなりコッチマンとイズトゥリスから2本のホームランで3点を奪われます。どちらかというと一発の少ない打線の、しかもそんなに多くは打っていない選手から打たれるのは大変痛いです。6回裏にも満塁のピンチを作って降板すると、後続のグリーンがそのうちの2人を還してしまい5失点。こうなるとダメですね。ローランドスミス、モロー、オフラハティとつなぎましたが、ランナーを出す、還すの繰り返しになってしまい、最終的には7点を奪われてしまいました。

     こちらも5・6回に1点ずつを取り、追い上げるのですが相手先発のラッキーを前にそれが精一杯です。そのラッキーがマウンドを降りてから、相手のセットアップマン、シールズを攻め立てて2点を奪って意地を見せますが、それでも追いつきません。3点差で迎えた9回表、マウンドにはクローザーの K-Rod が上がります。打順は7番ロペスからでしたが、そのロペス、8番代打ベタンコート、9番代打リードと打ち取られ、ジ・エンドです。

     イチローは初回のレフト前シングルのみの4の1です。打率は.350となっています。首位打者はちょっと厳しいかなという数字ですね。



     アメリカンリーグ西地区で2位が確定しました。ワイルドカード争いの方はかろうじて可能性が残ってはいます。エリミネーション・ナンバーは1です。つまり首位のニューヨーク・ヤンキーズが1勝でもするか、シアトルが1敗でもしたらそれでおしまいです。

     さて、今季は残り7試合です。まずはすでに中地区優勝を決めたクリーブランド・インディアンズとの対戦があります。3連戦プラス、4月の雪ですべての試合が中止順延となったシリーズの最終戦、計4試合が行われます。この試合は本来アウェーなのですが、日程の都合上どうしても開催できなかったので、2日目の昼にダブルヘッダーの形を取ってセーフコ・フィールドで行われることになりました。たぶん、球場はセーフコ・フィールドでも、攻撃の裏表はアウェーの扱いになるんでしょう。そしてその後に控える今季最終シリーズは同地区のテキサス・レインジャーズとの3連戦です。

    2007年09月21日

    【MLB シアトル】 マカフィー・コロシアム今季最終戦

     残り試合もあと14となりました。そのうちの3つが同地区のオークランド・アスレティックス (OAK) とのシリーズとなります。宿敵との今季最後の対戦となります。とは言え、OAK の今季はすでに終戦しており、若手起用に切り替えていますので、あまりぴりぴりしたムードではありませんけどね。

     さて、マカフィー・コロシアムでの戦いを見ていきましょう。

    【第1戦】○ SEA 4−0 OAK
     初戦の先発はこちらがバティスタ先生、そしてあちらがサイ・ヤング賞候補のエース、ダン・ヘイレンです。またしてもヘイレン相手ですか、ついてないですねー……と言いたいところですが、前回もそうだったように、SEA 打線は不思議とヘイレンにそんなに弱くありません。

     と言っても、別に大崩れするわけではありません。6回までで見るとわずか4安打1失点という堂々のピッチングです。5回表、内野安打とエラーで城島を2塁において、ベタンコートが打ったシングルでなんとか1点をもぎ取れただけです。

     ただ、心底意外だったのは、先生が久々の大先生モードでして、好投のヘイレンに投げ勝っちゃったことです。この、中盤に1点差で勝っているケースは、ここ最近だとこっちの先発が6〜7回くらいに大崩して逆転される典型的なパターンなのに。初回いきなり1・2塁のピンチを作るものの、そこをゼロで切り抜けると要所を締め6回まで3安打無失点と好投します。

     そうすると意外なところでゲームが動きました。ヘイレンが徐々に崩れ始めたのです。ここまで手のつけようがなかったヘイレンですが、ヴィドロ、城島の連打で1・2塁のチャンスを作ると、後半戦不振のホゼ・ロペスが久々に大きな一発を放ちます。思わぬタイミングで飛び出した第9号3ランホームランで突き放します。結果として、これで勝負ありでした。

     まあもちろん、試合中は「勝負あり」なんて油断はできないですけどね。7回には続投した先生が1アウトから連打で1・2塁のピンチを作って、いつものパターンを演出してしまいます。この場面でベンチはずばっと継投に切り替えました。無失点でも危ういと見たら替えたこの采配、高く評価したいと思います。(単に球数が多かったから替えただけという説も……。)ロングリリーフで結果を出しているローランドスミスが登場し、ピンチの芽を摘むと、8回裏もゼロで抑えます。ここを無失点で抑えられたのは大きいですね。これで9割方は勝てると安心できましたから。

     9回はセーブ・シチュエーションではないし、先日3連投もあったのでクローザーの J. J. は登板せず。代わりにブランドン・モローが登場します。まあいつも通りというか、ランナーを出しながら抑えるいつものパターンで最後を締めました。試合終了時にマウンドで城島に怒鳴られていましたね。

     イチローは5の2で、打率を.353としています。オルドニェスも5の2で、.357です。両者一歩もゆずらずってか、打ちすぎ。どんだけー。

    【第2戦】○ SEA 8−7 OAK
     危なかったです。序盤の大量リードをあと少しで追いつかれるところでした。先発はジェフ・ウィーバーです。今回はどっちのウィーバーだったかといいますと、まず初回がウィーバー(本物)でした。あっぷあっぷだったんですが、味方の守備に助けられ、というより主に味方の守備のおかげで1点でしのぎます。そうしたら、2回以降、いつの間にかウィーバー(背中にファスナーつき)に入れ替わっていて、あれよあれよという間にアウトを重ねていきます。

     その間打線が爆発します。1回表のイチローのダブルを皮切りに、まずは2点。2回にも1点。そして4回にはイバニェスのグランドスラムなどで5点を奪い、計8得点となります。以前良い投球をされた(負けなかったけど)相手先発のゴダーンに、見事逆襲しました。これでかなり勝算が増したハズなのですが、そう楽には勝たせてくれません。

     7回裏、少し目を離した隙にウィーバーの中身が(本物)に替わっていました。結局、この回に2点を取られ、マウンドを降りています。全体としては7回3失点ですから十分ですが、誰かちゃんと途中で入れ替わらないように監視しておいてください。

     8回裏、その後を継いだオフラハティが大乱調です。3四死球でピンチを作ると、後続も次々打たれて4点を取られてしまいました。何とかモローが鎮火してくれたものの、一気にわからなくなってしまいました。

     とは言え9回は J. J. が……って出てこないんですけどー。どうやら3連投で少し肩に張りがあったようです。ここで代役となったのはジョージ・シェリルでした。シェリルはここで素晴らしい投球を見せてくれ、流れを止めました。9回裏を3者連続三振でまったくつけいる隙を与えなかったのです。お見事でした。

     イチローは3の1で、打率を.352としています。

    【第3戦】○ SEA 9−5 OAK
     この日も序盤から打線が爆発しました。初回、まずはイチローが四球を選んだことをきっかけに2点。2回にもバーク、ベタンコートの連続安打で1点ずつ、それにイチローが犠牲フライで続いて3点を奪い、優位に立ちます。

     しかしこちらの先発ヘルナンデスもピリッとしません。3回から5回までにエラーがらみだったりソロホームランを浴びたり、さまざまな形で点を取られ、4点を返されます。

     それでもこの日は打線の方が押し切りました。6回表からさらに攻め立て、9回までに4点の追加点を奪います。8回表のみ得点にはつながりませんでしたが、それでも2・3塁のチャンスを作るなど、終始攻め立てていました。特にこの日目立ったのはバックアップキャッチャーのジェイミー・バークです。2安打と1押し出し四球を選び2打点を稼いでいます。しかし特に印象的だったのが、遅い足を押して激走し、完全にアウトのタイミングの本塁突入を2度も行いながらいずれも生還したその走塁でした。ガッツあふれるプレイでしたね。

     8回裏にグリーンがピンチを招いて1点を奪われましたが、シェリルにつないで見事に断ち切ります。9回表に点が入ったことからセーブ・シチュエーションではなくなりましたが、9回裏には前日休んだ J. J. が元気に登板します。最後の打者を三振で切って取り、いつも通り試合を締めました。

     イチローは3の2で、打率を.354としました。オルドニェスが.353に後退したことで、首位打者争いで再度トップに立ちました。まあ、まだまだわからないですけどね。



     今さらながらですが、スイープを決めました。これで一応、3位以上と勝率5割以上を確定させました。2位マジックは1です。ちょっと虚しい数字じゃあありますが。

     スイープは決めたものの、ライバル(……ともはや呼んでいいかどうか)チームも実に順調に勝ち進んでいます。西地区でのエリミネーション・ナンバーは3、ワイルドカード争いでは5です。まあ東地区はほぼ決まりでしょう。BOS か NYY が東地区で優勝し、優勝できなかった方がワイルドカードで進出。中地区が CLE で西地区が LAA になりますね。ここに来てボストンも腐れヤンキーに負けまくって、独走ペースから一気に接戦に持ち込まれていますし、そんな状況ですら「優勝できなくてもいいから、プレイオフに向けて岡島を温存しよう」だとか、そんなむかつくことを言い始めています。頭来るので、ワールドシリーズでは東地区のチームは応援しないぞ。今回のプレイオフはサンディエゴを応援します。

     さて、こんな時期にエインジェルズ・ステイディアムに行って LAA と4連戦ですよ。この4試合のうち、2回負けたら目の前で優勝を決められることになります。せっかくなんで、スイープして嫌がらせしてやってほしいものですが、無理だろうナァ……。初戦の先発は、ラミレス失格に伴って久々にフィエラベンドがマウンドに上がります。対するはジェフ・ウィーバーの実弟にして、実はウィーバー(背中にファスナーつき)の正体とも噂されるジェレッド・ウィーバーです。今さらケガだけは勘弁な。

    2007年09月18日

    【MLB シアトル】 水夫くんとエイくんのショートコント

     連戦はまだまだ続きます。今度はタンパベイ・デヴィルレイズ (TB) との戦いです。以前の対戦時でも紹介したかと思いますが、若く才能にあふれた選手の多いチームですね。たとえば4・5番を打つ B. J. アップトンやデルモン・ヤングはまだ22〜23歳です。また、元東京ヤクルトスワローズの岩村明憲が1番打者としてそこそこの活躍を見せています。

     一方のわれらが SEA も、特にブルペンを中心に若い力が台頭したチームです。若さと若さのぶつかり合いとなりました……が、若さという言葉のイメージとは裏腹に、少しおかしな4連戦となりました。それでは戦評の方、どうぞ。

    【第1戦】○ SEA 8−7 TB
     連夜の劇的勝利となりました。前日の OAK 戦はいわゆるクロス・ゲーム(接戦)でしたが、この日は最終スコアこそ1点差であるものの、接戦と言うよりも大逆転劇と言った方がいいでしょう。スゴいゲームでした。

     先発はウィーバー(本物)でした。いつも通りです。2回途中で5点を失ってマウンドを降りています。こりゃダメだなと思っていました。序盤で点差をつけられたのもありますが、相手先発のハメルが良かったのです。この人もいわゆる“将来を期待された”投手で、要は今のところ結果が出せていない選手なんですが、最近はその手の選手からことごとく当たりを引いてしまいます。やれやれ。

     実際、イチローの第1打席もまるっきり合っていませんでした。そんなに大した変化球だとは思えなかったのですが、バットがくるりと回って三振。こりゃ厳しいなと思って見ていました。その後イチロー自体は見事に修正していますが、結局6回を投げて1失点と好投されます。(イチローが彼から唯一打点を奪ったのです。)

     で、こちら側はウィーバーの後を継いだショーン・ホワイトも6回表に2ランホームランを浴びてしまいます。得点は1−7。4.1回を投げて2失点ですから、十分合格点と言えなくもないです。が、本来なら勝負を決する一打と言っていいでしょうから、打たれちゃいけませんでしたね。

     その、中盤まではつまらん試合を我慢して見ていたら、終盤に意外な展開が待っていました。前日同様、強かった頃のシアトルが急に返ってきたのです。7回裏、相手投手がバルフォーに替わると2つの四球でヴィドロ、ブルームクィストが塁に出ます。ここでバッターは前日のヒーロー、ユニエスキー・ベタンコートです。またも期待に応えてくれました。ライト方向奥深くにに流し打つと、ワンバウンドしてスタンドイン。グラウンドルール・ダブルで1点を奪い、さらに1アウト2・3塁のチャンスです。2−7となりました。

     さあ、イチローです。あなたがタンパベイの監督だったとしたらどうしますか? 敬遠しますか? おもしろい場面でしょう。私の見解は次の通りです。「もし、勝ちにこだわるなら敬遠だ。しかし、地区最下位の TB はここで敬遠すべきではない。勝てる可能性は十分ある上に、負けてもそんなには痛くない。緊迫した場面でイチローと自軍投手が対戦する経験は、今の状況の1勝よりも価値がある。」そして、シアトル側から見たら、ここで敬遠されたら、おそらくほぼジ・エンドでした。

     ジョー・マドン監督が同じ考えだったかどうかまではわかりませんが、結論は勝負。良い決断だと思います。まあ裏目に出ましたけど。イチローの打球はショートストップの頭上をふわり。そしてレフト前にポトリと落とします。他の選手ならラッキーなヒットといった打球ですが、もちろん狙って打っていました。あのコースをヒットにするのに一番可能性の高い打ち方ですもん。ブルームクィストが還って3−7です。この回は続くベルトレイがダブルプレイに倒れ、回が終了しますが、望みをつなぎました。そして6回途中から投げている3番手ローランドスミスが8回表を3者連続三振で簡単に切ってリズムを作ります。

     そして8回裏ビッグ・タイムが訪れます。2つの四球とシングルでいきなりノーアウト満塁のチャンスです。ここから「もしかして」という機運がチームに生まれてきます。まあおそらく、イチローや城島といったクレバーな選手は最初から想定していたでしょうけど。打席にはヴィドロ。しかしここで痛恨のダブルプレイ。1点は返したものの、2アウト3塁です。ただし4−7と、点差が詰まってきました。

     チームはぐいぐいノってきます。打席には城島。この場面では一気に決めに行くのではなく、つなぐことを選びました。まあそりゃそうですね。ホームランでもまだ1点差ですから、つないで1点を取る方が上手い戦い方と言えるでしょう。教科書通りのセンター前シングルでもう1点をとり、5−7。この時の城島は冷静でした。そして代打、ジェレミー・リードがヒットでつなぎます。(ゴメン、ちょっと意外と思ってしまった。)2アウト1・2塁で打席に立つのはベタンコート。またしてもベタンコートです。

     またしてもやってくれました。今度はレフト方向に2ランダブルを放ちます。1塁ランナー、リードの気迫あふれるスライディングもあり、ついに、同点です。そして2アウト2塁の場面でイチローに打席がまわってきました!

     ああ、さすがにこの場面は敬遠ですけどね。でも、先ほどゲッツーを打ったベルトレイがリベンジしてくれました。勝ち越しのレフト前シングルです。ついに8点目。8−7となり、6点差をひっくり返してしまいました。

     ベンチもわかっていましたね。この雰囲気。実は城島が打席に立っている辺りから、J. J. がブルペンで用意していました。9回表はもちろん“ビッグ・ガイ”J. J. プッツ登場です。相手打線は1番からの好打順でした。が、物ともせず。最後は恐い3番カルロス・ペーニャを三振に打ち取り、ゲームセット。J. J. の雄叫びが球場に響きました。

     惜しむらくはこんな試合を優勝争いの中で……いやいや、もう言いますまい。奇跡は別に信じちゃいませんが、可能性はゼロじゃないことも把握しています。ソー・ソーで見ていきましょう。

     イチローは素晴らしい活躍で4の3と1敬遠四球でした。ただ、もともとの打数が多すぎて打率は.351にしか上がりません。しかし2打点で大逆転勝利に貢献しています。ライバルのオルドニェスは試合がありませんでした。.358です。

    【第2戦】○ SEA 2−1 TB
     思わず息を呑むような緊迫した投手戦でした。連夜のビッグ・ゲームですね。ただ、私の目にはどちらかというと少し不思議な試合に映りました。こう言うと、実際に試合をご覧になった方は意外に思うかもしれません。でも、そう見えました。

     先発はこちらが“キング”フィリックス・ヘルナンデス。そして相手がジェイムズ・シールズです。今季の成績はほぼ互角、やや相手の方が上といったところです。才能あふれる両者の投げ合いで、ものすごい投手戦になりました。

     ……と、言いたいところですが、見ているとどうもそう思えません。両者とも、何で打ち崩せないんだろう?? という印象でした。相手のシールズはしいて言えばチェンジアップが冴えわたっていましたが、配球はワンパターンに思えましたし、2廻り目くらいには打てるんじゃないかと思ったんですけど、結局ほとんど打てませんでしたね。8回をわずか4安打1失点に抑え込まれています。

     その、1点も地味な取り方でした。5回裏、先頭の6番ヴィドロがライト方向へのダブルを放つと、7番城島はバントを試みます。(私のシールズに対する見立てが間違っているんですかね? ここでのバントは、要はシールズから得点を奪うチャンスはほとんどないという意味が込められているのですから。そして、結果はそれで正解でした。)実はチーム一バントが上手い(らしいです)城島、三塁線に見事に転がします。転がった打球は本当に線上を転がってフェアになりました。捕球したときには時すでに遅し。ヒットとなり、1・3塁のチャンスとなりました。で、次打者のブルームクィストがセカンドゴロダブルプレイの間にヴィドロが生還したのです。

     試合は膠着したまま淡々と進みます。ヘルナンデスも、数字上は素晴らしいピッチングでした。7.2回を投げて6安打1失点、8奪三振ですからね。ただし、あんまりいつもと変わらないなぁという印象でした。「キング、ついに覚醒か?」と思ったのは今季、開幕戦くらいで、それ以外では好投したとしても味方の守備に助けられた面が大きいんですよね。この日もベルトレイ、ベタンコートらの好守、それに何と言っても城島による2度の盗塁刺が大きく影響していました。とは言え、7回までは結果を出していましたから良しとしましょう。

     しかし8回表に捕まります。シールズと比べてここまで球数の多かったヘルナンデス、この回にランナーを2塁に置くピンチを迎えます。それでも2アウトまでこぎ着けましたが、最後には9番ヴェランディアに同点となるダブルを打たれてしまいました。なんというか、微妙に勝負弱いんですよね。そこが少し不満です。さらに続くピンチに打順は1番に戻って岩村明憲です。左打者ですし、すでに113球も投げていたこともあり交代が告げられました。球場はスタンディング・オベーションでしたが、やはり本人がいちばん不満だったんでしょうね。わずかに帽子こそ上げましたが、うつむき加減でダグアウトに戻ってきました。

     ここで出てくるのはもちろんジョージ・シェリル。ここまで打率.280台、ホームランも7本と、おそらく本人にとってはやや不本意な成績とは言え、実力からすると恐い岩村に対し真っ向勝負です。正直、この打席がいちばん見応えがありました。シェリルの直球とスライダーのコンビネーションは「勝負してる」って感じで好きなんですよね。見事に三振を奪い、追撃の芽を摘みます。

     ただし、嫌な形で同点に追いつかれました。だって、ベンチの見方は「シールズは打てない」なんでしょう? 8回裏開始時点で投球は80球そこそこ。まだまだ球数にも余裕があります。このまま完投されそうで、実に厳しいです。

     打席には7番城島。この日の影のヒーローは城島だと思っています。5回のバントヒット、2回の盗塁刺も好プレイでしたが、この打席が何と言っても非常に大きかったです。ホームランでも打ったのかって? いえいえ、違います。単に四球を選んだだけです。それも、結果として得点にはつながりませんでした。しかし、シールズ相手に粘りに粘って、10球以上の球数を投げさせたのです。確か、この打席で球数が95球に届いたでしょうか。こうなると相手ベンチも継投を選ばざるを得なくなります。そして、それが勝負のアヤとなりました。

     この回は上にも書いたように得点にはつながりませんでした。代走ジマーソンが、1アウト2塁のケースで痛烈なレフトライナーに飛び出し、戻りきれずアウトになってしまったのです。レフトのゴメスの送球も良かったですが、若いジマーソンには焦りがありましたね。これも勉強でしょう。

     同点ですが、9回表には J. J. プッツが登板しました。今季2度目の3連投になります。この日は2番からの好打順です。……が、まったくものともしません。2番ノートンをキャッチャーフライ、3番ペーニャを前日に続いて三振に打ち取ると、今季急成長した若き4番 B. J. アップトンも三振に切って取ります。さあ、後は反撃を待つのみです。

     さて、城島のせいで継投を選ばざるを得なくなった TB ですが、2番手にはグラヴァー(元読売の投手で登録名はグローバーでした)が登場します。裏の攻撃なのでクローザーが出しづらいのもわかりますが、あれ? もうちょっとマシなピッチャーを出した方が良いのでは? と思いました。(真相は、「このチームにはマシなピッチャーがいない」だったようですけどね。)さすがにシールズとは全然違いますね。

     先頭のイチローはここまでヒットがありません。しかし、やはり格の違いを見せつけます。初球を簡単にセンター前にはじき返し、塁に出ました。ここで勝ちを確信した人も多いんじゃないでしょうかね。塁に出て無言のプレッシャーを与えるイチロー。フルカウントからグラヴァーが投じた球はやや高めのボール球だったでしょうか。走るイチロー、そして打席に立つベルトレイは半ば強引に、しかし不思議な巧さで一二塁間を抜きます。見事なヒット・エンド・ランが決まり、ノーアウト1・3塁。打席には主砲ラウル・イバニェスを迎えます。この、派手さはないが寡黙な仕事師は、ある意味らしい打球を放ちます。ショートへの緩やかなゴロ。イチローの生還を狙った打球です。ただし打球方向を見たイチローは、ノーアウトであることも踏まえて冒険を避けます。3塁に留まりました。結果は、投げるところなし。内野安打です。

     満塁で4番にまわってきました。ホセ・ギーエンです。フリー・スインガーと称されますが、今季の優勝争いの中で意外とシチュエーショナル・バッティングも見せてくれているように思えます。この打席も、じっくり見てフルカウントに持ち込みました。押し出しでも、内野ゴロの生還でも、外野フライでも構いません。とにかく、1点取ればいいのです。ギーエン、ねらい澄ましていましたね。アッパースイングでの打球はライトの定位置よりも少しだけ深めに飛びます。ライトのデルモン・ヤングが捕球のために足を止めましたが、勝負ありです。世界中のどんなライト・フィールダーであっても、この位置からイチローを刺すことなんてできっこないのですから。終盤での競り合いに終止符が打たれました。

     どんなチームスポーツにも流れというものがあります。人間がやっているのだから、当たり前ですよね。各人は常に全力を出そうとはしているはずですが、そこには流れに乗ったり、飲まれたりということがプロですらどうしてもあります。スポーツの中でも野球は、その流れの変わるきっかけが本当に微妙だったりします。必ずしもホームランや連打、三振ショーばかりとも限りません。また、テレビの解説者が言うようなバントの成否やエラーばかりでもありません。

     この日の流れは9回をのぞいて、ごく緩やかにいったり来たりを繰り返していた感がありました。これが、私がこの試合を不思議と称する理由です。普通、こういうスコアの投手戦だと、両チームの投手がまるで流れの綱引きをしているかのようにピンと張った感じに見えるものですが、この試合ではだらんとした綱が見えたような気がしたのです。そのゆるんだ綱を、城島が隙を見て何度かピッと引っ張ったのが、勝ちにつながったんじゃないでしょうか。プライベートでは釣り人の彼、いいフィッシングっぷりでした。

     イチローは最終打席のシングルのみで4の1です。打率は.351ですね。オルドニェスは.357です。

    【第3戦】× SEA 2−6 TB
     先発投手のマッチアップを見た瞬間に、負け確定かなって試合でした。まあ何と言いますか、予想を裏切らないというか予定通りというか。あちらがエースのスコット・キャズミアーで、こちらが炎上王のホラシオ・ラミレスですもん。

     ラミレスは1回表、いきなりの4失点でワンアウトも取れずに降板しました。まあ失点の一部は後続が還したランナーじゃああるんですが、そもそもここまでのふがいない成績の上に4者連続出塁を許したら、ここで降板を指示されてもやむを得ないですし、そうなるとブルペンでの準備も当然十分な時間はないでしょう。これは純粋にラミレスの責任と言って構わないかと思います。ちなみに2番手のカンピーヨがブルペンで準備を始めたのは、3番ペーニャの打席が始まったときのようです。

     で、相手投手がキャズミアーですから、さすがに2日前の再来とは行きませんでした。3安打1失点11三振に抑え込まれてしまいます。ただし、6回で降板しています。その後に出てくる大したことない投手陣を打ち崩せなかったのは残念です。

     ちなみに城島はこの日も盗塁を2つ刺しています。阻止率.446はリーグダントツトップです。あまり他チームの試合を見ないのでもしかしたら的外れかもしれませんが、実は密かにゴールドグラブ賞を取れるかもしれませんね。守備イニング数1027.2回、捕逸5個、守備率.997はそれぞれリーグ2位、3位、1位です。試合を見ていても、去年のような捕球がおぼつかないという様子は見られなくなり、荒れた球が暴投になるのもよく防いでいます。イチロー、ベルトレイと共に期待したいですね。

     まあ、見どころの少ない試合でした。とは言え、ようやくホラシオ・ラミレスに先発失格の烙印が押されました。もっと早ければ……って感はありますけどね。

     イチローは4の1です。打率は.350となりました。オルドニェスは.356ですね。両者とも、本当によく打ち続けます。

    【第4戦】× SEA 2−9 TB
     酷い凡戦となりました。序盤のウォシュバーンは最高に近い出来だったんですが、回を追うごとにだんだん今イチになってきて、5回途中でマウンドを降りています。やっぱりスタミナに難がありますね。先発がゲームを作れないようでは、なかなか試合に勝てるものではありません。それこそ、第1戦みたいなことは年に1度くらいしかないものです。

     後続のヒューバー、オフラハティ、グリーン、パリッシュも点を取られ、結局9回を投げたホワイトのみが無失点というぐずぐずのゲームでした。このチームのブルペンが強力ってのは、幻想だったんだなぁと今となっては思いますね。早起きしてまで見て損しました。

     相手先発のソナンスタインは将来性豊か(中略)またしても当たりを引いてしまいました。というか、このレベルの投手に対して、同じような余裕のなさで打席に立つ選手が多すぎる気がしますね。仮にもビッグ・リーグの先輩なのですから、相手を呑んでかかっていくべきでしょう。ベン・ブルサードとか、どっちが新人なんだかわからないような打席の立ち方でした。

     イチローは3打席ほどまわってきて、2打数2安打となりました。全打席出塁したものの、珍しいことにピッチドアウトに引っかかっています。ここ最近見せる「らしくないプレイ」が今日も見られ、精神的にも限界なのかなと思わされます。まあ打率が.352となったのは良しとしましょう。しかしオルドニェスも4の2で.357と打率を上げています。レベル高いなー。




     エリミネーション・ナンバーが着実に減っていますね。西地区が6、ワイルドカードが8です。まぁ念のため。

     日程です。同地区対決が7試合ほどロードで行われます。まずはマカフィー・コロシアムでオークランド・アスレティックス (OAK) と3試合を、それからエインジェル・ステイディアムを舞台にロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) と4試合を戦います。順当に行くと、つい1ヶ月前まで優勝争いをしていた LAA に見事に地元優勝を献上してしまう計算になります。

    2007年09月14日

    【MLB シアトル】 シアトルの秋風……

     死に体のシアトルです。非常にしんどい戦いが続きます。選手らのモティベーションの低下は手に取るようにわかりますが、そこではるかに引き離していたはずの3位オークランドとの対戦が待ちかまえています。このまま下手をすると3位転落、勝率5割も怪しい状況になってしまいました。

     どうなっちゃうの? 心配ですが、それでも戦いは続きます。

    【第1戦】× SEA 3−9 OAK
     2回表にホラシオ・ラミレスが5点を取られて、一気に試合を決められてしまいました。これが調子良い時期だったら5点くらいひっくり返しちゃう勢いもあったのですが、今だと「点を取ってもまた取り返される」という雰囲気がチームを覆っているのか、あまり元気がありません。せっかくフィエラベンドが2回途中から素晴らしいリリーフで7回までゼロを並べたのですが。

     ようやく3点を取って追撃ムードかと思いきや、今度はリリーフ陣が打たれてしまいました。モローが2アウト満塁のピンチを作ると、代わったローランドスミスが6番ダン・ジョンソンにホームランを打たれてしまいます。一時期は共に2点台を誇っていた2人の防御率は、ついに4点台に突入してしまいました。彼らに限りませんが、無理が祟って、あるいはモティベーションの低下も相まって、ブルペンは完全に崩壊しています。

     イチローは5の2です。.351です。とはいえ三振やダブルプレイなどもあり、乗り切れていない日になりました。ライバルのオルドニェスは2打席だけの出場で、1の0、.359です。

    【第2戦】× SEA 4−7 OAK
     ジャロッド兄さんはついてないなぁ……などと言われますが、単純に勝負弱いだけだと思います。要は、本当に点を取られてほしくないところで点を取られることが多いので、結果として好投が報われないかのような数字になるのです。この日も、4−4で迎えた6回に2点を取られ、14敗目を喫しています。ここまで9勝14敗、防御率4.49とは、見事に例年並みの数字ですね。ある意味、安定感があります。

     この試合は、それがすべてかな。それでもカンピーヨが7〜9回を無安打無死四球で完璧に抑えて、未来を見せてくれています。メキシコから来た苦労人、来季は花開いてほしいものです。

     イチローは5の1で、.350です。オルドニェスは4の1で.358です。

    【第3戦】○ SEA 6−5 OAK
     ここ最近は「このまま一気にずぶずぶ行って最下位か?」とすら思っていました。なんせ良くも悪くも勢いに左右されるチームですから、優勝戦線から突如脱落して泥沼になってしまった現状を考えると、十分考えられますよね。それだけは避けてほしいと思って見ていましたが、なんとか踏ん張りました。しかもいい勝ち方でしたから、ここから調子を上げて来年につなげてほしいものです。

     バティスタ先生と、相手エースのダン・ヘイレンが投げ合いました。3連戦中、いちばん勝てそうにない試合だと思っていたんですが、先生がまあまあの出来、そしてヘイレンが意外とそこそこ打ててしまって、3−3の同点。その同点で迎えた6回裏にイチローがセンターに1ランシングルで勝ち越し、中盤までに4−3とリードを奪います。

     しかし、この日は7回に代わったオフラハティが2失点でした。これで、ここまで精一杯支えてくれていた新人リリーフのうち3人が防御率4点台に突入してしまいました。全員、一時期は2点台だった投手です。踏ん張っていたことを知っているだけに、後世に残される記録が良い物ではないという結果は悲しいですね。4−5と逆転を許します。

     ただし、ここ最近では珍しく春から夏にかけての強かった頃のシアトルが帰ってきました。8回裏に代打アダム・ジョーンズが起死回生の同点ソロ・ホームランを放ちます。9回表はすっかり登板機会が減ってしまった J. J. プッツが登場します。休養十分なのか、ボールは切れ切れで、その代わりちょっと制球がばらつく中、OAK 打線は当てるのが精一杯といった感じ。簡単に3人で終わらせてしまっています。

     そして9回裏、1アウトからギーエンがレフト前にシングルを放つと、ブルサードがセカンドへ進塁打を放って2アウトながら2塁のチャンスを迎えます。打席は6番ヴィドロ。イチローをのぞいてはチーム内で唯一3割を放っている好打者です。相手側はここで敬遠を選択します。

     実はちょっとにやりとしてしまいました。次の打者は7番ベタンコート。終盤のこういった場面にめっぽう強い選手です。普段は9番を打つことが多く、こういった終盤の競った場面でよく「イチローに回してくれ」という期待を良い意味で裏切ってくれます。「イチローに回さなくても勝てたね」という風に。私は「チャンスに強い」という物言いをあまり過度には信じないのですが、そうだとしてもベタンコートは今季.290そこそこを打っていて、それだけでも単純に期待できます。

     ベタンコート、期待に応えてくれます。ややライトよりのセンター前にフライボールを落とし、見事なシングルです。2アウトだったこともあり、2塁ランナーとして代走に出ていたジマーソンも迷いなくホームへ走り込みます。打った瞬間にサヨナラとわかる打球でした。

     このチーム状況でも、サヨナラ勝ちというのはうれしいものです。この勢いで、せめて地区2位くらいは死守してほしいものです。

     イチローは5の1でした。勝ち越しの打点を挙げていますが、ヒットのペースは不調とまでは言えないにしろ、今イチですねぇ。打率.349です。一方、オルドニェスは3の1で、.358です。敵ながら素晴らしい活躍ぶりですね。元からいい選手でしたが、今季のようなずば抜けた成績を残すことは想像していませんでした。MVP は A-Rod と彼の2人に絞られたと言ってもいいでしょう。実は SEA がポストシーズンに進出したらイチローにもチャンスがあると思っていたんですけどね。



     ここ最近、1勝2敗ペースです。上にも書きましたが、むしろ西地区の順位を気にした方がいいかもしれません。ちなみに OAK に6.5ゲーム差です。今季、また対戦があるので油断できませんね。

     念のため、エリミネーション・ナンバー(日本で言う優勝マジックのことです)も書いておきましょう。10ゲーム差もついていますが、西地区ではまだ9残っています。意外ですね。こっから LAA 4連戦まで12連勝したら、まだわからないじゃないですか。ワイルドカード争いの方は NYY が2位 DET に13をつけています。対 SEA だと12ですね。だからヤンキーはウザいって言ったんだよ……。

     日程です。地元セーフコ・フィールドでタンパベイ・デヴィルレイズ (TB) との4連戦です。ここまであまりにハードなゲームが組まれていたので、なんか親善試合みたいに見えてきますが、一応ちゃんと公式戦です。

    2007年09月10日

    【MLB シアトル】 実質終戦

     ニューヨーク・ヤンキーズ (NYY) との3連戦を1勝2敗で迎え、苦しい立場となったシアトルですが、ここでさらに苦しい戦いを強いられます。次の相手はワイルドカード争い同率2位に並ばれているデトロイト・タイガーズ (DET) です。

     んまあ実は、すでにあきらめているファンも多いです。私もそのひとりなんですが、ここ最近の結果もさることながら、試合内容の悪さはそう思わざるを得ないですね。というわけで、今後はやる気ない感じでの戦評となるでしょう。

     どちらかというと、イチローの3年ぶり3度目の首位打者争いの方に目が行ってしまいます。特に、相手にはライバルのマグリオ・オルドニェスがいますしね。

    【第1戦】× SEA 1−6 DET
     んまあ、小説家の先生に先発ローテーションが務まると思っていた私がバカでした。調子の良かった時期は本当に限られていましたね。6点取られておしまいです。相手先発のヴァーランダーも良かったですし。

     イチローは押さえ込まれました。4の0で.349です。オルドニェスは3の2で.354です。いきなり突き放されてしまいました。

    【第2戦】× SEA 6−12 DET
     ウィーバー(本物)登場です。こちらも久々に気持ちよく打って、5回まで毎回得点を挙げたのですが、それを上回る7点をプレゼントです。ちなみにウィーバー、1年単位で見たら投手ではチーム2位の高額年俸です。実はウィーバー(背中にファスナーつき)と合わせて2人分の年俸だったんでしょうね。

     ついでにグリーンとローランドスミスの2人も打たれました。もう、ブルペンは登板過多でボロボロです。ふがいない先発陣はともかく、ここまで浅い経験を若さと勢いでカバーし、チームを支えてくれていたブルペンを責めることなどとてもできません。チームもきっとあきらめムードでしょうね。こうなると脆いものです。あ、AAA タコマでエースをやっていたカンピーヨがようやく上がってきました。何で昇格しないのかなと不思議に思っていましたが、ようやくです。ただ、ソロホームランを打たれましたが。

     イチローは5の1で.348です。オルドニェスは3の1で.354です。オルドニェスは妙に SEA 戦に強く、逆にイチローは DET 戦に今イチ弱いですね。彼らの実力差というより、互いの相手投手の実力差のように思いますが。

    【第3戦】○ SEA 14−7 DET
     乱打戦になりました。相手先発のボンダーマンが予想外の不調で、2回途中でマウンドを降りると、後続もピリッとせず4回までで13点を奪う猛攻を見せてくれました。しかしこちらのエースも決して好調とは言えません。フィリックス・ヘルナンデスも初回の4点を含む7点を奪われます。いつもの「良い球を放るのに、詰めが甘い」という感じではなく、「ストライクは甘く入り、ボールははっきりとわかるくらい外れる」というどうしようもない内容でした。

     これだけ点差がついたのに、もしかしたら勝てるかもと思い始めるまで、5イニングを要しました。ただし、もちろん確信は持てませんでしたけどね。ちょうど去年もこの時期はブルペンが崩壊していました。その去年と最近の試合っぷりが妙にかぶるんですよね。なので、全然油断ならないと思ってみていました。

     だけど何とかグリーン、オフラハティで8回まで抑えきりました。ちなみにグリーンはきのうも打たれたのに連投させられていますが、かなり意味がわからない登板ですね。打線の方は序盤に比べて少し大人しくなりましたが、それでも追加の1点も奪っています。

     そして9回はプッツの久々の登場です。そのプッツがヒットを1本許すものの、比較的危なげない投球で投げきり、ゲームセットです。久々の勝利となりました。

     イチローは6打席ほどまわってきて、4の3でした。四球も2つ選んでいますので、出塁で見ると6の5ということになります。貴重な追加点となる1ランシングルも放っており、この日は久々に胸がすっとするような活躍ぶりです。打率は.351です。オルドニェスも4の2と相変わらずよく打っていて、.355です。



     もう順位はいいですよね? まだまだ続く過酷な日程だけはチェックしておきましょう。明日からは地元に戻り、同地区対決となります。オークランド・アスレティックスをセーフコ・フィールドで迎え討ちです。これが3連戦となったあと、引き続きホームでタンパベイ・デヴィルレイズと4連戦、そこからロードに出てまたオークランドと3連戦。そして、大事な試合になるはずだったロサンジェルス・エインジェルズと4連戦ですね。

     久々にやや長いことシーズンが楽しめました。なので恨み言は言いません。(最初から一貫して言っているビル・バベジ GM のチーム作りと、ラフィエル・チャベス投手コーチの継投は別です。)今シーズンの残りはケガもなく、来季につながるような戦いを見せてくれればそれで十分です。あ、イチローさんは首位打者もお願いしたいところです。

    2007年09月06日

    【MLB シアトル】 ニューヨークに散る

     さて、ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) にスイープされるなどして9連敗して西地区優勝争いからほぼ脱落してしまったシアトルですが、まだワイルドカード争いには望みがあります。数字的には首位のニューヨーク・ヤンキーズ (NYY) に2ゲーム差ですから、十分に可能性があると言っていいのですが、百戦錬磨のヤンキーども、この時期に本当に強いです。数字ほどの期待はできません。

     が、この時期にそんなことは言っていられません。実績も原因も内容も関係なしです。とにかく勝つしかないのです。

    【第1戦】○ SEA 7−1 NYY
     “キング”フィリックス・ヘルナンデスと“ロケット”ロジャー・クレメンスという新旧エース対決となりました。とはいえ、まだまだポテンシャルを発揮し切れていないキングと、さすがに衰えたのか並の成績になってしまったロケットじゃあるんですけどね。でも、やっぱりビッグネーム同士の対決ですからワクワクします。

     ヤンキーの何がウザいかって、まずは打線です。1番から9番までずらりと並ぶ強力打線は、全員が3割15本をクリアしてもおかしくない構成です。ほんの少し隙を見せると、袈裟にかかって襲いかかり一気に大量点を奪われてしまいます。また、案外足技を使える選手も多いのも嫌ですね。

     なので、初回に2番ジーターが出塁しすぐに盗塁を決めたときは嫌な予感がしました。案の定、4番 A-Rod に簡単に先制のセンター前シングルを打たれてしまいます。さらにその A-Rod が盗塁を決めるなど、嫌らしい野球を仕掛けてきます。9連敗中なだけに、たった1点とはいえ初回に奪われると厳しいものがあります。

     が、2回表。ランナー1・3塁からラッキーな得点を得ます。ロペスが放った、というかバットにかすっただけの打球はまるで技ありのセーフティ・スクイーズかのよう。同点に追いつきます。さらには3回表にイチローのソロ・ホームランが飛び出して、2−1で勝ち越します。既報ですが、これが今季の200安打目になりました。たぶん、狙ってましたね。

     これで俄然チームは盛り上がります。しかし肝心のキングがピリッとしません。毎回のようにランナーを出し、リズムを作れずにいます。心配しながら見ていましたが、この日は勝利の女神が(やっと)微笑んでくれました。ランナーはベタンコート、ロペスの二遊間“ダブルプレイ・トゥインズ”が潰し、難しい当たりもサードのベルトレイがきっちりと処理、そのまま強肩で刺しまくります。これら内野ゴロは難しい送球も多かったのですが、それを捕球し続けたファーストのブルサードも良い動きを連発していました。普段は守備を評価されないレフトのイバニェスも、この日は密かに好判断を再三見せてくれています。守備陣がキングをもり立て、結局7回1失点という結果を残してマウンドを降りました。

     打線の方も久々に綺麗につながりました。勢いがつきさえすれば、こんな物です。連打連打でクレメンスを4回で引きずり下ろし、ムシーナ、ブリトン、ファーンズワースと継投した NYY 投手陣から合計16安打7得点を奪っています。今季の良いときの典型的な展開でした。

     あとは8回をグリーンとシェリルが、そして点差は離れていましたが9回には J. J. プッツが出てきておしまい。久々に勝利の美酒に酔える日がやって来ました。

     イチローは5の3です。ライト前への痛烈なラインドライブのシングル、右中間スタンドへのソロホームラン、レフトへの技ありの流し打ちと、いろんなヒットが見られて楽しかったです。

    【第2戦】× SEA 3−12 NYY
     開始前から、ファンも含め悲壮感が漂う試合でした。これまで、大きな連敗のあとにはそれを補う快進撃が続いていたものですから、単なる偶然だとわかっていてもそれに期待する気持ち。しかし、逆にそれくらいしか期待できるものが残っていないということでもあります。

     先発はこちらが結果の残せないホラシオ・ラミレス。あちらがエース級の活躍を見せる王建民(ワン・チェンミン)。冷静に見て、勝ち目は薄い試合でした。それでも、一縷の、しかも根拠のない望みを持って試合が始まったわけですが……。

     やはり奇跡はそうそう起きないみたいですね。アクシデントもあり、さほど調子の良くなかった王から全然チャンスを作れません。いや、多少は作ったのですがことごとく潰してしまいます。逆にラミレスはじわじわと点を奪われていきます。4−0。6回途中でマウンドを降りています。その6回裏をなんとかオフラハティがしのぎ、7回表にベルトレイがソロホームランで追撃したときには、まだ希望があったんですけどね。

     その希望にかけて、敢えて勝ちパターンの投手で臨んだ7回裏、試合が壊れます。モローが3失点、ローランドスミスが3失点で試合を決められてしまいました。その後に出てきたパリッシュも1点ずつ奪われています。ついでですけど。

     11−1になってしまいました。試合は捨てて、別の方向に楽しみを見いだしましょう。8回表は打順が8番のロペスからでした。休養と若手起用とを兼ねて、ここから代打攻勢が始まります。セプテンバー・コールアップで昇格した選手のうち、野手を全員投入しました。まず代打としてジェレミー・リードに始まって、次がジェフ・クレメント。この2人が凡退したかと思うと、1番イチローの代打には先に昇格を果たしていたアダム・ジョーンズが出ます。さらに、ここ最近代走の切り札として起用されていたジマーソンが今季初打席に立ちます。この2人が出塁し、3番代打には期待のヴラディミール・バレンティンが登場です。期待に応えて2ランダブルを放ちました。4番にもニック・グリーンが出てきて、これで6人連続代打となりました。8回裏にはファーストのブルサードをのぞく全員が先発メンバーと入れ替わって守備位置につくことになりました。その交代もあって、9回表にもマイク・モースとロブ・ジョンソンが打席に立っています。まあ若手だけで2点取ったんだから上等でしょう。

     イチローは3の1です。上記のように途中交代です。

    【第3戦】× SEA 2−10 NYY
     はい。終戦ー。やっぱり無理でしたね。今までありがとう。

     イチローは4の1です。



     一応、ワイルドカード争いの順位の方だけは書いておきましょう。3ゲーム差の2位です。3位にはデトロイト・タイガーズ (DET) が0.5ゲーム差で迫っています。

     1日休んで17連戦となります。もう終わったんだから勘弁してやってほしいですが、そうもいかないみたいです。まずは DET と3連戦ですね。

    2007年09月04日

    【MLB イチロー】7年連続200本安打達成

     速報です。たった今、イチロー選手が7年連続シーズン200本安打を達成しました。それも、あの“ロケット”ロジャー・クレメンスから勝ち越しとなるソロ・ホームランです。おめでとう! 偉大なウェイド・ボッグスに並びました。来年はウィリー・キーラーが19〜20世紀の変わり目に達成した MLB 記録、8年連続に並ぶことが期待されます。

     えっ? なんでこんな時間に起きているのかって? この瞬間を見るためですよ。明日はもちろん仕事です。でもそんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ! はいオッパッピー。

    ※3:14 追記:
     上記は速報のために大急ぎで書きましたが、もうちょっと補足しておきましょう。イチローは前日までシーズン通算198本のヒットを放っていました。ワイルドカード争いの天王山となった大事なこの試合、相手の先発はロジャー・クレメンスです。イチローが苦手にしている(データ上はね。ただし20打数のデータなんで、はっきり言ってあんまり意味ないです。)投手です。

     まず第1打席、まっさらなバッターボックスに立ったイチローはライト前に鋭いラインドライブの打球を放ちます。イチローとしては少し珍しい、いかにも引っ張ったぞという当たりでした。残念ながら次のヴィドロがサードゴロダブルプレイに倒れてしまい、得点にはつながりませんでしたが、次打席への期待を掻き立てる素晴らしい打球でした。

     そして1−1の同点で迎えた3回表。リードオフとなったこの打席で右中間スタンドに飛び込むホームランを放ちました。ヤンキー・ステイディアムは一般には打者不利とされていますが、それでもライト方向はそこまででもないんですよね。まあ入らなくても長打にはなったと思いますが。

     あ。たった今、第3打席が終わりました。クレメンスとポサダのバッテリー、この2度の打席に懲りたのか、主に外角に逃げる投球でしたが、逆にそれを流し打ちして1ランシングルを放っています。これで3の3ですね。

    2007年09月03日

    【MLB シアトル】 もしかして今年も……?!

     20連戦が続きます。15〜17戦目はトロント・ブルージェイズが相手となります。舞台となるロジャーズ・センターはよりによって体への負担が大きい人工芝球場です。まるで手を替え品を替え意地悪されているような感じですが、ケガをしないよう気をつけてほしいものです。

    【第1戦】× SEA 5−7 TOR
     どちらかというと打者有利な球場だと思いますが、そういうところでフライボールピッチャーのウォシュバーンが投げるとどうなるか。ちょっと調子が悪いとすこんすこん打たれてしまいます。3塁打と3本のホームランでいとも簡単に6点を奪われ、4回途中でマウンドを降りています。

     必至に、食い下がったんですけどね。

     イチローは5の3で気を吐いています。

    【第2戦】× SEA 1−2 TOR
     現地の日付で9月1日になりました。25人枠が大幅に緩和される“セプテンバー・コールアップ”の時期です。何度かに分けてベンチ入り選手を増員していく見込みですが、この日はとりあえず数名が MLB 入りを果たしています。その中には今季先発も務めたフィエラベンドなどがいます。

     さて、試合に行きましょうか。負けはしたものの、素晴らしい投手戦で大変見応えのあるいい試合でした。内容は最高と言っていいんじゃないですかね? ……と、優勝争いしてなかったら言いたくなるところです。まあ8連敗目でなければ優勝争い中でもそう言っていたでしょうよ。

     相手先発のマクゴーワン、100マイル近い剛球を投げ、すごい才能の持ち主でありながら制球が今イチという投手です。これを MLB の世界の基準で言い換えると、そこら辺にどこにでもいるピッチャーとなります。その、少なくとも現段階では大したことない投手でも、ときどき大当たりすることがありまして、運悪くそれに当たってしまいました。8回をわずか6安打1失点に抑えられています。

     こちらの先発のバティスタ先生も2試合ぶりに大先生モードでした。6回までは両チームともゼロが並ぶ緊迫した投手戦です。しかし、7回裏にグレッグ・ゾーンからソロホームランを浴びてしまいます。8番キャッチャーで、.230程度、ホームランもここまで6本しか打っていなかった打者にです。今季、この打たれてはならない人に、打たれてはならない場面で、何度も何度もやられているような印象があるのですが、今回もまさにそれでした。先制点を与えてしまいます。

     それでも8回表にジェイミー・バークがヒットで出塁すると、この日から上がってきたジマーソンが盗塁を決め、しかもそれが悪送球となって3塁まで進みます。そしてそのランナーをイチローがセンター前のシングルで見事に迎え入れました。同点です。以前、どんなに劣勢でも冷静に仕事ができる選手として、イチロー、バーク、それにヴィドロの名前を挙げましたが、そのうちの2人が期待に応えました。そして、打席にはそのヴィドロです。期待大でした。が、結果は最悪のゲッツー。

     8回裏はグリーンですが、ランナーをいきなり2人出してしまいます。ここが経験不足なのかなと思うところですね。次打者にセンター前シングルを打たれて勝ち越しを許しました。ただ、その後は代わったばかりの城島が2塁ランナーをけん制で刺し、ジョージ・シェリルがぴしゃりと抑えて9回に望みをつなぎました。

     9回表には後半戦絶好調の相手クローザー、アカードが登板します。連投で疲れがあるのが、先頭のギーエンに死球。ここで8月絶好調だったラウル・イバニェスが登場します。前日もいい当たりながら好守に阻まれ最後の打者になってしまったイバニェス、期待できます。と言いたいところでしたが、この日もハードラックとしか言いようがありません。またしても好守に阻まれ、最悪のダブルプレイです。これで実質的にとどめを刺されました。最後はベルトレイがライトフライに倒れてゲームセットです。

     イチローは4の2です。今季198安打に到達しました。怒濤の勢いで7年連続200本安打に向けて突っ走っていますが、それが逆にもの悲しいですね。

    【第3戦】× SEA 4−6 TOR
     久々にウィーバー(本物)の登場で、そのままいつも通り試合を壊して帰っていきました。4回途中で降板し、記録は3回5失点。実質的に試合が決まってしまいました。またしても打たれちゃいけないグレッグ・ゾーンに打たれたんですよね。それと、ウィーバーになぜか相性の良いマット・ステアーズ。ご存じですか? 覚えていますか? 元中日ドラゴンズのあの彼ですよ。穴の多い打者だと思うのですが、そのステアーズにも手痛い一撃を食らっています。

     なあに、打ち返せばいいじゃんと言いたいところですが、そう上手くいきません。相手先発のバーネットはちょうど前日に投げたマクゴーワンにタイプがよく似た“当たりはずれのある豪腕投手”ですが、すでに9年目のベテランで、“当たり”が出る可能性が多少高いです。そして、当たりを引いてしまいました。7回をわずか4安打に抑えられます。特に序盤、めちゃめちゃ調子が良くて、完全試合すら覚悟したほどでした。まあその割には数少ないチャンスをものにできた部類でしょう。一応、3点を奪っています。そのうち2点を奪ったのは2日間やられっぱなしだった4番ラウル・イバニェスでした。優勝争いの中の大連敗中でなければ、「負けたけど、打線はつながっていた」って言いたいんですけどね。

     その後は昇格したばかりのフィエラベンドが6回までを抑え、少しずつ追撃していったのですが、7回裏にリック・ホワイトがランナーを2人出しただけでアウトを1つも取れずに降板すると、後を継いだオフラハティが走者の1人を還して1点を失います。これでとどめを刺された感がありました。それにしても、リック・ホワイトをなぜ取ってきたのかもわからなければ、なぜマイナーから上に上げたのかも理解できません。が、何と言ってもなぜこのケースで登板させたのかがわかりません。勝ちに行くならブランドン・モロー、捨てゲームにするなら同じホワイトでも若手のショーン・ホワイトの方じゃないですかね。

     まあいいや。とりあえず9連敗です。

     イチローはバーネットにまったくタイミングが合わなかったことなどもあり、4の0です。200本を期待していたのですが、残念です。打率は.350となりました。



     これでもう地区優勝はほとんど無理でしょう。ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) に突き放されて6.5ゲーム差、マジック21です。ワイルドカードの方ですが、前々からウザいウザい言っていたニューヨーク・ヤンキーズ (NYY) が首位となり、2ゲーム差をつけられています。でも、SEA も一応まだ2位に踏みとどまっていますね。3位がデトロイト・タイガーズ (DET) で、1ゲーム差です。

     しかしこの時期に9連敗とは……。去年も一応、途中までは優勝争いしてなくもないんですよね。で、ものすごい勢いで負けてずるずる落ちていったという。その点において、今年はたまたまそれが8月の終わりに来ただけで、案外例年と変わっていないのかもしれません。いわゆるぬか喜びってヤツです。

     いや、ラストチャンスが残っています。明日からワイルドカード争いをしている NYY との直接対決があるのです。この3連戦でスイープを決めれば、再びワイルドカード首位に立つことができます。もちろん12連敗なんてことになれば、もう無理と言って良いくらいのダメージになりますけどね。そしてこのワイルドカードの天王山が終われば、20連戦終了です。まあ1日休んで18連戦が続くんですけどね。

    2007年09月02日

    【NPB 広島】前田智徳、通算2000本安打

     NPB 広島東洋の前田智徳選手が、きのうの試合で通算2000本安打を達成しました。第1〜4打席は凡退し、しかも7回裏の最後の打者になっていたので、「今日は無理かな」と思っていたのですが、すごい巡り合わせで8回裏にも打席が回ってきて、2アウト満塁から見事なライト前ヒットを放ちました。これが試合の行く末を大きく決定づける貴重な追加点となっています。

     15時の試合開始前から広島市民球場はスゴかったですよ。チケットを求めて並ぶ列が、三塁側に設けられているチケット・ブースから始まり、レフト方向に延びて敷地外の一般道路に出て、そこから本塁側(そごう側)に戻って行っていました。最後尾は球場正面玄関の近く辺りでしたからね。みんな、前田を見に来ていたということです。

     7回までは凡戦だったんですけどね。先発の高橋建が5点を奪われて終始不利に進む試合、凡退に凡退を重ねる主役の前田。上にも書きましたが、7回裏の最後の打者でしたから、次の打席がまわる可能性はそんなに高くありませんでした。

     それが8回裏、まさかの展開になりました。9番代打の嶋が逆転となる3ランホームランを放ちます。チームは逆転したものの、前田の記録にとっては間が悪いと思われる一打です。この日の前田は5番に入っていて、これで9回裏の攻撃がなくなる可能性大でしたから、打席がまわってきそうにないのです。

     でも、まわってきました。つないでつないで、2アウト2・3塁。4番の新井にまわってきました。ここ数年で、厳密には WBC の直後から実はキャラがかなり変わった新井さん、この場面で四球を奪い取りました。WBC 韓国戦で9回代打出場し三振を喫した新井は、それ以降ぶんぶん振り回すだけの、チャンスに弱い4番ではなくなっています。実は右方向のバッティングもかなり上手いって知ってました? それにしてもここで四球を選ぶとは、ナイスすぎます。

     そんなわけで、前田に打席がまわって来ちゃいました。9−7でリード、2アウト満塁という場面で。相手投手は左腕の久本。3球目、ど真ん中に入ってきた球をライナー性の打球でライト前に運び、これが2点タイムリーヒットとなりました。お見事です。

     度重なる大ケガを乗り越えての2000本には、また一種独特の輝きがあります。順風満帆のスターの2000本、職人がコツコツ積み上げた2000本、それもまた良いものですが、ある面で一緒にできない部分も確かにある――そう思います。

    2007年09月01日

    あ、打った

     前田が打ったよ。ライト前。

    今日は無理かな?

     前田の2000本、今日は無理かな?

    【MLB シアトル】 阿鼻叫喚!

     4月に実施されるはずだったクリーブランド・インディアンズとの4連戦ですが、実にアレな時期に埋め合わせされることになってしまいました。もっとも、この時期にポストシーズン争いしているなんて思っていた人は少なかったでしょう。ハードです。この日の試合は第3戦、舞台はジェイコブス・フィールドとなります。

    【第3戦】× SEA 5−6 CLE
     まあその……いろいろと最悪です。先発のラミレスが6回途中3失点と好投したのですが、それでも6回保たなかったのが伏線となっています。3−2とリードされたままマウンドを降りています。もっと信頼感のある先発だったら、話は違っていたでしょう。

     そして8回表に2点を奪い逆転します。泥沼の5連敗からやっと脱出かと思いきや、リリーフ陣が攻略されます。もっとも信頼感のあるセットアップ、シェリルとモローの2人がです。5−4。再度リードを許してしまいます。

     9回表、マウンドにはクローザーのボロースキー。打線は食い下がります。1アウト2・3塁のチャンスで、9番ベタンコート。ここでもし打ち取られてしまったら、イチローが敬遠されておしまいです。何らかの形で1点がほしいケースでしたが、ここでベタンコートは最低限の仕事をします。緩い当たりのセカンドゴロで起死回生の1点を奪い同点としました。2アウト3塁。イチローは当然敬遠です。そうなると2番ヴィドロになんとかしてほしかったのですが、後半戦絶好調だった彼、ここ数日はあまり打てていません。結局、決勝点を奪えずに9回裏を迎えることになります。

     同点ですし、この連敗で出番もありませんでしたからここは J. J. を……と思いきやなぜか出てきたのはオフラハティ。そのオフラハティがこの日はピリッとしません。1アウトを取ったものの、ヒットと四球で1・2塁のピンチを作ります。ここでやっと J. J. を……って、なぜかリック・ホワイトが出てきたんですけどー。温存するなら安定感を考えて続投だと思うんですが。で、そのホワイトが四球を2つ出して、サヨナラとなる押し出しでゲームセットです。質の悪いブラックジョークみたいな試合でした。

     イチローは4の1です。

     ワイルドカード争いからも首位陥落です。たった1ゲーム差ですが、絶望的に近い状況です。おかげで日米のファンフォーラムというファンフォーラムが阿鼻叫喚の地獄絵図となっています。あーあ。

    2007年08月30日

    【MLB シアトル】 マリナーズ、天王山に散る

     散りました。ええ散りました。

    【第1戦】× SEA 0−6 LAA
     ダメです。全然ダメです。

     先発はバティスタ先生とラッキー。先生はかなり安定した後半戦を迎えていましたが、前回の登板で突然元に戻ってしまいました。対するラッキーは最近2試合では今ひとつでしたが、それでも今季は防御率3点台前半でエース級の活躍です。

     先生が良いときはシンキング・ファストボールがさえ渡り、多少の連打ではあまり点が取れないのですが、ダメなときは大事なところでボールが甘く入って痛打されます。そしてこの日はダメなときでした。2ランホームランやら、連打を浴びるやら、スクイーズやらでもう、いろんなパターンで点を取られます。結局6回6失点という結果に終わってしまいました。

     いやいや、SEA 打線は6点くらいじゃめげません。この8月のチーム打率は3割2分を超えていますからね……って、全然打てないんですけどー。9回をぴしゃりと抑えられてしまいます。チャンスそのものもなかなか作らせてもらえず、その数少ないチャンスもまったく生かせません。ゼロが9個。

     いろいろとハードラックな日でもありました。イチローの第1打席、大きく曲がるカーブボールに対してすくい上げるようなスイング。ちょっと映像では明確にわかりませんが、これを主審は空振りと判定。三振に倒れます。これに対してイチローが抗議。まあ当たっているかどうかはバッターにははっきりわかりますからね。マクラーレン監督が飛び出して猛抗議を始めます。まあ一見エキサイトして見えますが、イチローを守ろうという意図もあったんでしょうね。結局、監督が退場になっています。その後もイチローの好返球で打者走者を2塁で刺せるチャンスがあったのですが、というかタイミングは完璧なアウトだったんですが、セカンドのロペスがタグを避けられ、セーフにしてしまうシーンがありました。ロペスのミスとも言えるのですが、この時も審判の判定が微妙でしたね。

     終盤、リリーフ陣は健気に踏ん張ってくれました。7・8回を投げたローランドスミスはこの日も素晴らしい投球でした。もちろん、すでに大差がついている状況というのは差し引いて考えなければいけません。でも、またしても2回をゼロに抑えていますし、何より三振を取れる投球はリリーフとして魅力的です。9回にはオフラハティが投げ、3者凡退に切って取っています。両若手左腕が(今さら感もありますが)試合を引き締めてくれました。

     イチローは4の1です。センター前にポトリと落ちるシングル1本でした。守備ではいろいろと光るプレイを見せてくれたのですが、それも打たれまくっては台無しです。


    【第2戦】× SEA 6−10 LAA
    【第3戦】× SEA 2−8 LAA

     まーその……今の心境を、試合後の選手のインタビューにたとえると「済みません。今日の記者会見は勘弁してください。」ってとこです。

     この2試合、幸か不幸か見ることが叶いませんでした。そして、あとから知った結果によると、この大事な試合を2つとも落としているではないですか。がっくりきました。いつものように、せめて試合が動いた局面だけでもチェックしようなんて気すら起こりません。というわけで戦評はお休みさせてください。スコアだけ報告。

     イチローはそれぞれ4の2、4の0です。打率は.350と相変わらず高いレベルでキープしています。ライバルのマグリオ・オルドニェスは.356で、こちらもとんでもない数字です。



     スイープを喫してしまいました。LAA に西地区優勝マジック25が点灯したと思われます。(私の手計算なので数え間違いとかがなかったら、です。)これで西地区の優勝争いからはほぼ脱落と言ってもいいでしょう。理論上はまだ可能性が残されていますが、まああくまで理論上です。その差は5ゲーム差で、残り約1ヶ月。直接対決は終盤の終盤、9月20日〜23日の4連戦のみです。この時期にはすでに優勝を決められているかもしれません。

     もちろん負けること自体がワイルドカード争いにも大きなダメージを与えています。この3連敗の結果、NYY にはゲーム差で並ばれてしまいました。NYY はボストン・レッドソックス (BOS) と東地区の首位攻防戦を行っているのですが、現在それに2連勝しており、とにかく不気味です。DET も3ゲーム差に迫ってきています。ニューヨーク・ヤンキーズ (NYY)、デトロイト・タイガーズ (DET) との直接対決の意味が非常に高くなってしまいました。それぞれ、9月の始めに3試合ずつ予定されています。首位チームなのに相手との直接対決があるというのは、それだけ追いつかれる危険があるということですから、苦しいですね。

     では日程です。ここから7試合の遠征となります。まずは4月の雪で中止延期になったクリーブランド・インディアンズ (CLE) との対戦が1試合。それからすぐにカナダに飛んで、トロント・ブルージェイズ (TOR) と3連戦。そしてニューヨークはヤンキー・ステイディアムを舞台に NYY との大事な3連戦が待っています。

    2007年08月27日

    【MLB シアトル】 テキサスの熱い?夜

     20連戦の7〜10試合目はテキサス・レインジャーズ (TEX) との4連戦です。チームはすでに優勝争いからは脱落していますが、舞台が打者有利の球場ですし、若手の起用も多くなってきていますから、いろいろな点で何が起こるかわからない恐さがあります。特に、TEX は22日、ダブルヘッダーの1試合目に30得点を上げています。厄介なチームと当たります。

     戦評の前に異動のニュースを。AAA タコマ・レイニアーズから昇格がありました。リック・ホワイトというベテラン右腕です。知らない選手なのでざっと調べてみたら、12シーズンで11球団を渡り歩いたジャーニー・マンのようですね。ちなみに大ベテラン左腕のデイヴィッド・ウェルズに顔がよく似ていることでも知られているそうです。替わりに、先日獲得したばかりのジョン・パリッシュがアクティヴ・ロスターから外れることになりました。全然戦力にならなかったので当然でしょう。なぜ獲得したのかさっぱりわかりません。若手を無駄に出しただけです。ただし、パリッシュは意外にもまだオプションが残っている(本人の同意なしにマイナーに落とせるという意味です)ので、クビにならずに下に落ちました。

    【第1戦】○ SEA 9−4 TEX
     まず初戦を取りました。絶好調のテキサス打線を計4失点に押さえ込むことに成功しました。先発はウィーバー(背中にファスナーつき)で、この日は少しだけピリッとしませんでしたが、それでも6回を3失点と十分なクオリティスタートで、6勝目を挙げています。

     しかしこの試合はむしろ打線に注目した方が良さそうです。2回に城島のシングルで先制し、先日の4連敗のイメージを払拭すると、3−1とリードを許したあとの6回表、突然打線が大爆発しました。ギーエンのソロホームランと、ここ最近不調だったロペスのシングルで同点に追いつき、さらに満塁のチャンスでイチローを打席に迎えます。そして満塁にめっぽう強いイチローが期待に応えてセンターの頭を越える3ランダブルを放ちました。さらに続くヴィドロが2ランホームランを放ち、一挙7点を奪って試合を決しています。最終的には15安打9得点となりましたから、打線は好調キープですね。先発全員安打を記録しています。

     その後はオフラハティ、グリーン、プッツとつなぎ、好打者マイケル・ヤングのシングルで1点を奪われるものの大勢に影響なく試合が終わっています。ちなみにプッツは登板間隔が開いたから調整登板に出てきたのだと思います。

     イチローは5の3でした。3打点を挙げたダブルは、イチローにしては少し珍しいフライボールによるものでした。同点で迎えた2アウト満塁のケースでしたから、外野が前進気味に守っていたのを見て狙ったのでしょうね。

    【第2戦】○ SEA 4−2 TEX
     連勝です。よく勝てたなという印象の試合でした。というのも、相手先発のベテラン右腕ケヴィン・ミルウッドにかなりしてやられたからです。シアトル打線はミルウッドのテクニックを前に、再三チャンスを作りながら凡退を繰り返していきます。その老かいな投球を前に、奪えた点は6回までに2点のみでした。それでも好調ギーエンのソロホームラン、そしてイチローのシングルで先制し、試合を有利に進めます。

     こちらの先発はキングです。エースのフィリックス・ヘルナンデスが素晴らしい投球を見せてくれます。……が、またしても同じことの繰り返しです。客観的に見て、6回を2失点7奪三振というのは確かに素晴らしい内容です。しかし、なかなか点を奪えない状況で、同点に追いつかれる2ランホームランを相手の若手選手マーフィーに打たれてはいけません。いろいろと油断があったと思います。

     それでも7回表、イチローの技ありのショート内野安打をきっかけにギーエンがシングルで1点を奪うことに成功します。このラッキーなタイミングでの勝ち越しのおかげで、ヘルナンデスは今季10勝目を挙げることになったのですが、それはまあ別の話。

     この1点差を7〜8回はシェリルとモローで守りきりました。7回には2アウト2塁、8回には1アウト3塁というピンチも迎えたのですが、2人ともよく踏ん張りましたね。9回表にヴィドロがだめ押しの1点を奪うと、もう勝ちは決まりです。その裏 J. J. プッツが登場してあっさりと3人で締めてしまいました。リーグ単独トップとなる37セーブ目です。

     ただ、結局ミルウッドに完投に近いペースで投げられてしまいました。2番手フランシスコは6球しか投げていないですからね。ミルウッドのペースに飲まれて早打ちせずに、もう少し見ていっても良かったのかもしれません。もう2戦続くことを考えると、もっとリリーフを引っ張り出しておきたいところでしたからね。

     イチローはこの日も5の3でした。うち2つがショートのマイケル・ヤング(かつてイチローが“ライバル”と称した好打者)へのインフィールド・シングルです。ヤングは守備や肩も良く、プレイに確実性がありますので、彼から内野安打を奪うのも簡単ではないのですが、テキサス戦ではなぜかイチローのショート内野安打をよく見る気がします。わざとやってるのかなと思うときすらあります。(今回に関しては「わざとじゃない」と否定していましたけどね。)ちなみにヤングの方も、イチローの守る方向に打球が飛ぶのをよく見る気がします。

    【第3戦】× SEA 3−5 TEX
     拙攻と守備の乱れでの敗戦となりました。先発のホラシオ・ラミレスがこの日は非常に調子が良かったので、余計にもったいなかったですね。

     序盤は優位に進めます。2回と3回に1点ずつ、そして5回表にも1点を取ります。実際にはかなりチャンスを作っていて、これまでの調子ならもっともっと点が取れている展開でした。しかし、この日は今イチ打線がつながりません。まあ先日も書いたように打線がつながるかどうかは運の要素も大きいと思うので、そんな日もあるのは仕方がありませんけどね。

     そうするうち、5回裏ランナー1塁のケースでサードのベルトレイが痛恨の送球エラーです。その直後、キンスラーが同点となる3ランホームランをレフトスタンドにたたき込みました。試合は振り出しです。

     7回裏にも同じくエラーでの失点となりました。やはりランナー1塁のケースでベルトレイが悪送球。今度はそのままランナーの生還を許し、しかも3塁まで進まれてしまいます。そしてスーサイド・スクイーズまで決められてしまい、この回計2点を奪われました。

     正直、この程度のことはよくあるので、あまりベルトレイを責めるわけにもいきません。普段はむしろ堅守で支えてくれていますし。しいて言うなら、それをフォローできなかった打線の方に原因があるのかなぁと私は見ています。しいて言うなら、ですけど。イチローが珍しく完全休養日で、1番には代わりにアダム・ジョーンズが入っていたのですが、いくら期待の新人でもまだまだイチローの代わりはできません。

     とはいえ、その辺すべて「仕方がない」としか言いようがないと思います。こんな日もある……そんな敗戦だと思います。

     イチローは休養日で出場機会がありませんでした。今季初だと思います。ちょっと出すぎですよね。出続けても結果が出せているのですから、まあ良いんですが。

    【第4戦】× SEA 3−5 TEX
     奇しくも前日と同じスコアでの敗戦となりました。やはり「仕方がない」負けだとは思うのですが、それでもこのタイミングでそれが出るというのは痛いです。負けるわけにはいかないとまでは言いませんが、できれば落としたくないゲームでした。

     1回裏、先発のウォシュバーンがサミー・ソーサから2ランホームランを打たれ、リードを許します。そしてここから淡々と試合が進んでいきます。リードを許しているのにそれはマズいです。試合が動いたのは6回裏でした。ウォシュバーンは犠牲フライでさらに1点を奪われます。地味な、しかし効果的な一撃でした。6回3失点。十分なクオリティスタートではありましたが。

     7回表、ようやく打線がお目覚めです。ここ最近の打線の好調ぶりを考えると、相手先発のパディラ(試合開始時で3勝9敗、防御率6.55)からなら何点でも取れそうなのですが、なぜかこの日は術中にハマったような感があり、全然打てません。そのパディラから3連打を放ちやっと1点を奪います。打線の本領発揮かと思いきや、相手も投手をフランシスコに替えてきます。見事な火消しをされてしまいました。この回は1点のみです。これで3−1。

     7回裏はローランドスミスが見事に無失点で抑えて望みをつなぎ、8回裏をグリーンに託します。しかしこのグリーンが誤算でした。2安打と犠牲フライで2点を奪われます。うち1点目がトリプルとなったのですが、これはライトのギーエンの判断ミスでした。悔やまれるミスです。5−1と突き放されました。

     9回表、一矢報います。簡単に2アウトを取られてしまいましたが、その後代打のセクソンがシングルで出塁すると、ロペスがつなぎ、途中出場の城島がシングルで1点を奪います。7回表に代打として登場したときは凡退しましたので、お返しができました。さらにワイルドピッチで1点をもらいます。5−3。2アウト2塁で打席には9番ベタンコート。ここでつなげば、同点のランナーを置いて1番イチローにまわって来るというケースです。しかし、そうそう上手くはいきません。最後は三振で試合終了です。

     イチローは初回のショート内野安打のみの4の1でした。打率は.353となっています。打率首位のマグリオ・オルドニェスは.355ですから、2厘差に迫っていますね。




     最下位のテキサス相手に2勝2敗となりました。ギリギリ最低限踏ん張ったという感じですね。では順位です。西地区はやはり変動ありません。ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) に2ゲーム差をつけられ2位のままです。なかなかあと少しが追いつけません。ワイルドカード争いの方ですが、こちらの方は首位キープです。2位と3位のニューヨーク・ヤンキーズ、デトロイト・タイガーズが対戦してくれているおかげで、お互いに足を引っ張り合っている状態ですね。その中でうまいことデトロイトが勝ち越してくれたので、それぞれ2ゲーム差、4ゲーム差となっています。

     日程に行きましょう。ついに天王山です。西地区首位の LAA と直接対決となります。スイープすれば首位に躍り出ます。逆に、スイープを喫してしまうと西地区の優勝争いからは脱落に近いダメージとなります。極めて、極めて大事な3連戦です。舞台はセーフコ・フィールド。どんな形であれ、できるだけたくさんの勝ち星を掴んでほしいものです。

    2007年08月23日

    【MLB シアトル】 メトロドームに白球の花火舞う

     さて、20連戦の4〜6戦目はミネソタ・トゥインズ (MIN) と対します。ミネソタにあるメトロドームが舞台となります。このメトロドーム、もはやアメリカでは数少なくなったドーム球場でして、東京ドームのモデルにもなったそうです。近いうちに新球場が設立されるという話もあるようで、やはりドーム球場は時代遅れになっていますね。日米で細かな事情が違う面もありますが、それをいくら大きく考慮したとしてもやはりドーム球場は不要です。日本も見習ってほしいところです。

     優勝争いがヒートアップする中、他チームの動向も気になるところですが、運の良いことにここで西地区首位のロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) と、ワイルドカード争いでストーカーされているニューヨーク・ヤンキーズ (NYY) とが対決してくれています。どっちが負けても助かる状況です。

     もちろん、こちらが勝ち続けなければならない点は同じ。集中力を切らさずにがんばってほしいものです。

    【第1戦】○ SEA 9−4 MIN
     序盤で一挙7点を奪い、あっという間に決めてしまいました。お見事です。そして点の取り方は大変豪快なものでした。初回、7月の不振を完全に払拭した4番ラウル・イバニェスがまず2ランホームラン。そして今季不振を極める6番のセクソンにも2ランホームランが飛び出しまず4点。3回にはまたしてもイバニェスがソロホームランを放ったかと思うと、7番城島にも2ランホームランが飛び出します。先発に抜擢され今季ここまで好調だった相手先発マット・ガルザは結局3回途中でマウンドを降ります。3連戦の初戦で先発を早めに下ろすのは大きいですね。

     こちらの先発ラミレスは珍しく安定しています。7回まで2失点と快調に飛ばします。8回裏、多少捕まってしまいますが、この段階ですでに9点が入っており大勢に影響があるほどではありませんでした。結局8回途中4失点で降板すると、後続のグリーンが9回までを投げきってゲーム終了です。

     イチローは5の1です。ややタイミングが合っていない感じのバッティングを繰り返していました。

    【第2戦】○ SEA 7−2 MIN
     この日も空中戦からスタートです。まずは2回表にベルトレイ、セクソンの2人が連続でソロホームランを放ち2点を先取します。6回表にも1点を取り、試合を優位に進めていきます。とはいえ、好調の打線が空回り気味です。チャンスを作り再三攻め立てますが、なかなか得点につながりません。こういう試合では“流れ”が重要になってきます。そして、結果としてこの日はその流れが上手く巡ってきました。

     こちらの先発は左腕のウォシュバーンです。ここ最近は、そこそこの安定感を見せながらも勝利につながっていません。終盤になってスタミナ切れし、それで打たれて勝利を逃すパターンも目立っています。この試合ではそれを踏まえてなのか、6回裏に2点を取られたところであっさりと交代しています。球数が100球そこそこ、得点差が1点、ここ最近の調子を見れば当然の選択だと思います。が、その“当然”が案外実行に移されないことも多いので、それを考えると流れを見た良い采配だったと思います。そのまま7回裏をモローに託します。

     そうしたら、つながっていなかった打線が8回表に突然つながります。イチローがシングルと盗塁で1アウト2塁のチャンスを作ると、相手の自滅とこちらの打撃とが上手く絡み合って次々と得点を重ねていきます。満塁から相手の送球エラーも重なってまず2点。実はここで暴投したのは前日の試合では守備でチームをもり立てていたショートのプントです。この日は散々でして、けん制アウトと盗塁失敗も喫しています。言い分はチト気の毒ですが、この試合ではプントが MIN の流れを止めていましたね。助かりました。その後もさらに続くチャンスに、ベルトレイのダブルと城島のシングルがそれぞれ1点ずつを奪います。終盤に相手を大きく突き放すことに成功しました。

     その後はモローが8回裏も抑えると、点差のついた9回裏にはシェリルが登場し、難なくゲームを締めます。

     18安打も打って7得点ですから、序盤から中盤にかけていかに打線がつながっていなかったかがよくわかります。これで流れを持っていかれなかったのは助かりました。

     イチローは6の3です。盗塁も1つ決めています。

    【第3戦】× SEA 4−8 MIN
     先発はここ最近でもっとも結果を残しているバティスタ大先生ですから、きっちりと試合を作ってくれるハズ……って、あれれー? 何ですかこの1回裏の7点ってのは? 結局2回8失点という最悪の出来でマウンドを降りています。前日までの一発攻勢をきっちりお返しされています。1回裏にいきなりグランドスラムを打たれちゃあねぇ……。

     んまあ、ヨカッタ探しくらいはしましょうか。その後を継いだライアン・ローランドスミスが素晴らしい投球を見せてくれました。4回を無安打6奪三振で、無失点で切り抜けて見せました。四球こそ2個出していますが、いずれも単発でしたし、結局2塁を踏ませていません。実に素晴らしいリリーフでした。内容も素晴らしいですが、先発の2回降板で多数のリリーフを使わなければならないことが想定されただけに、それを覆してくれたのも大きいですね。明日につながります。

     相手先発のカルロス・シルヴァは良かったですね。シルヴァは2005年に何と1年間ローテーションを守りきりながらわずか9四球、暴投0というとんでもない結果を残している投手です。故障の影響で去年から今年にかけてやや不調ですが、やはり抑えるときは抑えます。それでも好調の SEA 打線は彼から7回で8安打を放ったんですけどね。点にはあまりつながりませんでした。前日の試合でも思ったのですが、打線というのは必ずしもつながるべくしてつながるとも限りませんね。何度もチャンスを作ることで、いつかはつながってくるものだという考え方の方が、本当は正しいのかもしれません。

     好調の打線は、劣勢の中もう一矢報います。8回表、変則投球が特徴的なパット・ネシェックに投手が替わると、長打を重ねて2点を奪います。また、7・8回を投げたパリッシュも、5安打を浴びはっきり言って打たれるために出てきたような出来でしたが、ラッキーと好守と拙攻が重なり無失点で切り抜けます。実はここで奇跡が起こらないかなとちょっとだけ期待しちゃいました。

     しかし、この2試合で嫌と言うほど SEA の勢いを見せつけられてきた MIN のガーデンハイア監督、セーブがつかない状況であるにもかかわらずクローザーのジョー・ネイサンをマウンドに送り込んできました。敵ながら素晴らしい采配ですね。正解だと思います。ネイサンは注文通り3人で切って取り、ゲームを締めました。

     イチローは大差がついたため、休養目的で7回表に代打を送られ交代しています。3の2で打率を.349としました。焼け石に水ではありますが、盗塁を1つ決め、意地を見せています。



     調子よく5連勝したあとにひと休みといったところでしょうか。ライバルチームの結果も気になります。他チームの対戦では上でも触れた LAA 対 NYY ですが、LAA が2勝1敗という結果となりました。そのため、西地区のゲーム差は変わらず、ワイルドカード争いでは1歩先んじたことになります。つまり、地区優勝に向けては LAA に2ゲーム差をつけられて2位、ワイルドカードによるポストシーズン出場については2位の NYY に1.5ゲーム差をつけての首位というわけです。ワイルドカード3位のデトロイト・タイガーズはいつの間にか4ゲーム差に開いていました。そこからは3チームが9ゲーム差でひしめいています。8月も下旬ですから、さすがに9ゲーム差はひっくり返らないかとは思いますので、ワイルドカード争いのライバルは2チームと言っていいでしょうね。

     さて、連戦は続きます。20連戦の第7〜10戦はこの前足下をすくわれた西地区最下位のテキサス・レインジャーズ (TEX) との再戦になります。チーム再建に向けて主力を放出していて、一時的にチーム力は弱まっていますので、前回のような不覚(4連敗)を喫することのないようにお願いしたいものです。舞台はアメクリスト・フィールド・イン・アーリントン。狭い球場ですし、打線は両チームとも絶好調です。派手な打ち合いになるかもしれません。
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