2008年02月03日

アフターコーヒーという誘惑、そして妄想

 近頃、“アフターコーヒー○○円”というのをよく見るようになりました。いつくらいからですかね? 5年前くらいかな。食後のコーヒーを安く提供してくれるお店は昔からたくさんありましたが、それのことを“アフターコーヒー”と呼ぶようになったのは割と最近のように思えます。

 基本的には、もちろん変な言い方です。“after ○○”=“○○の後で”ですから、“コーヒーの後で”になってしまいます。アフタースクールは放課後です。アフター・ザ・フェスティバルは後の祭りではなく祭りの後にです。

 ただし物事、特に言語表現には例外がちょくちょくあるもの。たとえばアフターケアのように、“アフター××”を“のちの××”という意味で使うこともあります。なら、後の祭りもありか。ただし、あとの祭りではなくのちの祭りだけどね。

 とは言え、定着した例外的な言い方をのぞいて、アフターはやっぱり普通“○○の後で”という意味に響きます。“アフターコーヒー”という言い方には違和感を感じます。もしこのおかしな言い方が英米などでも使われていたらびっくりしますよ。スターバックスで売っている(という)“アフターコーヒーミント”という商品も、コーヒーを飲んだ後の食品というのを意図したものでしょ?

 まあ、この手のことを書く際にいつも思うのですが、単に「おかしいよ」って指摘だけでは芸がないですよね。そこで、もうちょっといろいろ考えてみましょう。もしも、本来の(普通の)意味でアフターコーヒーという表現を使っていたとしたら、です。

店員「100円でアフターコーヒーがつきますが、いかがなさいますか?」

 “…… after coffee”の“……”を(わかり切っているから、あるいは言わぬが花だから)省略したってイメージですね。つまり

店員「100円でコーヒーの後に……ですが、いかがなさいますか?」

コーヒーを飲んだ後に、100円で何が起こるのでしょうかね? 店員さんが好みのタイプの異性だったら、思わずドキッとするシチュエーションです。

客「いっ、いけません。私には妻も子も……。」

いや、私には妻も子もいませんけどね。したがって、心の弱いときにこんな声をかけられたら、ホイホイついていってしまいそうです。その結果、変なセミナーに参加させられ、変な絵や壺を買わされて、全財産を搾り取られてしまうことに……。気をつけないと。

 こう言うのを、世間ではよく“妄想”と言いますが、そろそろ人格を疑われそうなのでこの“妄想”はやめにしておきます。

 話は変わりますが、私、この妄想という言葉が嫌いです。厳密には、妄想という言葉がこんな風に使われるのが嫌いです。比較的新しい用法かと思うのですが、とても汚らしい言葉遣いだと思います。

 元々は仏教用語であり、読みも「もうぞう」だそうですね。私の理解によると、「考えても仕方がないことを無駄に考えてしまうこと」といった感じです。(完全に専門外なんで、おかしなこと言ってたら教えてくださいねー。)たとえば「失敗したらどうしよう」とか「あんなこと言っちゃった。言わなかったことにしたい。」とか、そんなところでしょうか。

 それが後に精神医学の用語に転用されました。病気の症状の名前になったわけです。被害妄想や恋愛妄想、誇大妄想などのことですね。注意していただきたいのが、妄想は誤解や偏見とは違います。強い信念で、たまたま事実とそれが異なった場合も妄想とは言いません。だって誤解や偏見や信念は薬じゃ改善しないもん。

 しかし後になって、この妄想という言葉を比喩的に、そして自虐的なジョークとして使う人たちが現れ始めます。今で言う、俗っぽい一般表現としての“妄想”が生まれたわけです。私が覚えている限り、少なくとも25年くらい前にはいました。そのころは私も子どもだったのではっきりとわかりませんが、たぶんもっと前からそういう人はいたでしょう。

 ちなみに伝え聞くところによると、元凶は筒井康隆氏の小説(デビュー作『48億の妄想』)らしいですが、未読でして、この説の真偽についてはよくわかりません。もっとも、彼は“ゲシュタルト崩壊”という言葉も本来の意味とは全然違う意味で使っていたという話を聞いたことがあります。意図的にそういう言葉遣いをしそうなイメージはありますね。病気の症状を自虐的でジョーク的に使うのは不謹慎です。不謹慎なことを理解した上でわざと言うのであれば本人の勝手ですが、その不謹慎さに気づかれずに世間で使われるようになるのはチトいただけません。

 ただ、当時は、そんな使い方は正式な日本語として認められていませんでした。辞書にもそんな風には載っていませんでしたしね。

 が、徐々に市民権を得るようになってきます。最初は自虐的なジョークのニュアンスだったのですが、それを次第に本気で使う人が現れ始めたのです。相手に対する侮蔑の言葉として。特に、日本におけるインターネット黎明期は本当にこの言葉がよく飛び交いました。今、たとえば2ちゃんねるの中の荒れ模様の場所を見て「ヒドい悪口合戦だ」と感じたり、あるいは、ヒドいことを書いているサイトをたまに見つけて「ネットって嫌なところだ」と感じる健全な精神の持ち主には想像がつかないかもしれませんが、当時はあんなもんじゃなかったです。実名を出し合って、ものすごい罵倒合戦をしていましたからね。表現のいやらしさ、ねちねち感も、当時はインテリ層が圧倒的だったからか、相当のものでした。私からすれば、妄想という汚い言葉遣いは、そんな汚い時代の象徴です。

 今時は、それでもかなり悪意的な意味合いが和らいできましたけどね。たとえば、ごく普通の女の子が「やっぱり妄想はしちゃうよ」なんて言ったりもしますし。ただ、辞書に妄想の第3の意味が載るようになった現代でも、それがあまり綺麗な言葉遣いじゃないんだよってことは知っていてほしいなぁと、そんな風に思うのです。
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2008年01月30日

暴走する“不貞な美女”

 以前、英語仲間の(本来はゲーム仲間だったハズなんだけど、実は数えるほどしか一緒に遊んだことがない……)こあらださんから、おもしろい言葉を紹介してもらいました。「翻訳は貞淑な美女、通訳は不貞な美女」と。要は、いずれも言葉として、日本語としてきちんと綺麗に意味が通っていなければならないが、翻訳は原文の意図に忠実でなければならないのに対し、通訳はその場での即興性が求められると、そういうことです。

 昔のロックバンドの再結成が海外、国内でも盛んですが、その中でも特に先日の1夜限定ライブで話題を呼んだレッド・ツェッペリン。私もけっこう好きなバンドです。そのツェッペリンのことで、ちょっとおもしろい話が伝わってきました。ウェブ記事にもなっているので、ご存じの方も多いでしょう。

 今、アルバムのプロモーションでギターのジミー・ペイジが来日しているそうです。記者会見の中で、しようもない質問をした記者がいたらしいですね。
「(限定ライブを観に行ったという)沢尻エリカについてどう思うか?」
当然ながらその答えは
"Unfortunately, I don't know her." (残念ながら、彼女のことは知らない。)
だったそうです。

 が、そこで通訳さんが暴走した模様です。この言葉をこのように訳します。
「別に……」

 たちまち場内大爆笑と、そんな顛末だったとか。しかし、主役のジミー・ペイジを置いてけぼりにするのはよくないと思うぞ。
posted by Yosh at 08:05| Comment(10) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月12日

教皇のおことば:使用前・使用後

◆使用前◆
教皇ベネディクト十六世の2007年12月9日の「お告げの祈り」のことば
 ↓↓↓
◆使用後◆

 こういうのを見る度に思います。「発言に気をつける」なんて幻想なんだなぁ……と。
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2007年12月11日

気持ち悪い言葉

 『オネエ MANS』なるテレビ番組が始まってしまい、なぜか妙に気持ち悪いです。と、このように書くと番組や出演者を揶揄しているように聞こえますが、そっちじゃありません。(だって見てないもん。)本当に気持ち悪いのは番組のタイトルの方です。

 なんでかって? 最初は自分でもよくわかんなかったんですよね。何となく。でも最近気づきました。「セットアッパー」という野球用語に感じていた違和感によく似ていることに。

 もっとよく考えてみました。両者に共通しているのが、英語の語法として間違っていることでした。man の複数形は mans じゃなくて men でしょー。『オネエ MEN』、ほら自然になった。

 あれ? あまり賛同者がいなさそうですね。まあいいや。

 英語では set upper なんて表現は聞いたことがありません。普通は set up man か、それ自体が名詞化して set up です。でも日本語のカタカナでよく言うので、私が知らないだけで、そういう表現もあるのだろうと思っていました。でもこれはこれで、やっぱり気持ち悪い。よく考えてみたら、人を表す -er は動詞につくもの。副詞の up についたら比較表現になってしまい、訳がわかりません。しいて er をつけるなら setter up (「通行人」という意味の passer by みたいな感じで)でしょう。だから、たぶんセットアッパーは和製英語で、向こうでは通じないと思います。軽く検索してみたけど、見つかりませんでした。

 同じように、男の人を指して「メンズ」と呼ぶのもめちゃめちゃ気持ち悪いです。叶姉妹が言ってる奴ね。men's は「男たちの」じゃん。それにたぶん、あの人らわかってて言ってるっぽくて、その辺も含めて気持ちが悪いです。

 気持ちが悪い原因がわかったので、少しすっきりしました。かつては頭をひねって「間違いだ!」と知覚していたことが、思考を要さずにすぐに「不自然だ」と感じられるようになったってのは、たぶんきっと昔より英語力が上がっていると言うことでしょう。ホンマかいな。

 そう言えば『サイコドクター』って漫画がありましたよね。テレビでドラマ化もされたヤツ。アレは気持ち悪いと言うよりも、むしろオモロかったです。語感としては、「サイコな(=精神異常の)ドクター」と響くからです。おいおいって感じですよね。

 でも実は、この表現って英語で使われなくもないみたいですね。おそらく俗っぽい表現だし、使っているのはごく一部ではないかと思います。単なる流行り言葉で、いずれは消えゆくのかもしれませんし、下手をすると日本の漫画が逆輸入した可能性すら考えられます。が、それでも実際にこの言葉を使う人がそこそこいる以上、全くの間違いとは断言できません。うわー、なんか気持ち悪くなってきたー。
posted by Yosh at 08:24| Comment(9) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月01日

ポエム

一行空きで文章を書くのが

流行ってますね。

普段やってない私が

一行空きで文を書くと

なんだかポエムみたいですねぇ
posted by Yosh at 12:18| Comment(2) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月22日

翻訳してみたいもの

 仕事じゃなくて趣味で、なんですが、ちょっと翻訳してみたい題材があります。(まあもちろん、万一それが仕事になるんならその方が良いですが。)私がほとんどやったことのない(特に仕事での経験はゼロの)文芸翻訳です。しかも、未読の本なのですが。

 それは、"The Avenger of Blood" (アマゾン JP の購入ページ)という小説です。ペーパーバックで344ページですから、かなりの量になりますね。去年の秋に出た小説なのですが、なぜこれに興味を持ったかというとごくごく単純。作者は Miguel Batista。そう、特技は高速シンカーという変わり種の小説家、ミゲール・バティスタ先生の作品なのです。商業出版では初めての小説と言うことですが、綿密な調査の元、かなりディテールに凝った作品なんだそうです。

 まあ現実には仕事でもないのにこれだけの量の翻訳をしてのけるのは、まず無理なんでしょうけどね。まあそれでも、たとえ挫折しても良い勉強にはなるだろうと思いつつ、ちょっと手がけてみようかなって思ってます。
posted by Yosh at 19:23| Comment(0) | TrackBack(1) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月03日

ギャル考

 ギャルについて少し考えていきたいと思います。

 実は私、けっこうギャルが好きなんです……なーんて書くと、「おっさん何言ってんの? ロリコン?」とか思われるのがオチでしょうね。その後「違う違う、紅茶にギャルって品種があるの」って説明しても、焼け石に水かもしれません。実際には、ギャルは別に好きでもないですけど。人も紅茶も。

 今回の記事で言いたいのは、ちょっと別の話です。「ギャルってゾンビみたいだよね」って話です。こう書くと今度は「おっさんが上から目線で若者批判ですか。おめでたいこって」という反応が返ってきそうです。でも、それも誤解です。最大の誤解は、私はまだおっさんじゃないということです。

 ホントに言いたいのはギャルっていう単語、言葉の話です。元々はアメリカ英語の流行語らしいんですよね。gal って綴ります。ずいぶん古い言葉のようで、あちらでは80年代にはほぼ使われなくなって、「うちのおじいちゃんならひょっとして使うかも……」という状態だったそうです。(ただし、ジーニアス英和辞典第4版によると、知的職業に従事する男性が自分の秘書やアシスタントのことを my gal と表現する場合があるのだとか。恋人を示す my girl と区別するのにね。)

 日本では70年代くらいから使われるようになったらしいですね。80年代始めから半ばに使われていたのは私も記憶があります。ピチピチギャルとかそんな感じでね。若くて、明るいはつらつとした女の子ってイメージでした。漫画『ドラゴンボール』辺りでその痕跡がたどれることでしょう。

 80年代も後半から90年代前半にかけて、ギャルは一度死にました。「ナウい」辺りと同列の死語として、あえて冗談で言われるくらいのレベルの言葉になったのです。ちょうど私の中高大学時代、いわゆる若い頃です。

 だから、90年代半ばに突然「コギャル」という形でこの言葉が復活してきたときにはかなり驚きました。ええもう。死語が生き返ってくるなんてことがあるんだなぁ……と驚いたものです。「孫ギャル」なんてのもいましたね。見事に復帰したギャルという言葉、今度は「○○ギャル」という形で使われるのが定番になりました。

 が、そのコギャルも死に絶えました。2000年代には全然聞かなくなっちゃいましたね。でも、ご存じの通り今度はそのまま素の形で生き返ってきました。またしてもギャルの復活です。

 現在における日本語の流行語としてのギャルの意味は、完全に原形をとどめていません。いわゆる「ギャル風」とか「ギャルファッション」などと呼ばれる格好をした女の子ってことになります。ちょっと循環定義っぽいですが。

 まあそんなこんなで、何度死んでも生き返ってくるギャルって言葉、ゾンビっぽいなぁ……と思ってしまったわけです。ときどき、見た目がゾンビっぽいギャルもいますけどね。
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2007年08月25日

「ご理解」の傲慢

 よく思うのですが、文章に「ご理解ください」と書いてあっても、理解できるような内容が書いてあることはまずありません。たとえば
 日頃は弊社製品をご利用いただき誠にありがとうございます。お問い合わせの商品「2ドア冷蔵庫・びっくり日本新記録仕様」(商品コード:R2D-70S-BKR)ですが、1978年に製造中止となっており、復刻予定もございません。なにとぞご理解くださいますようお願いいたします。
なんて感じにね。他には
 新元宇品橋、通称「ひろしまレインボーブリッジ」の建設について市民の皆様のご理解が得られていないことを遺憾に思います。
といった文脈でこの「理解」という言葉が使われますよね。

 この「ご理解ください」「理解を得る」という言葉、なんて無駄なんでしょう。だって、読者がそれを理解するはずもないのですから。この手の文章には、まず読み手にとって都合が悪いことが書いてあります。その後に何の理由も説明せずに(←ここ重要)理解しろと強要してきます。相手はそう思っていないのですから、せめて理由くらいは説明しないと、“理解”なんてできるはずありません。

 また、理解という言葉を使うことによって、文章がものすごーく感じ悪くなります。だって理解という言葉の中には、そうすることがふさわしいというニュアンスが含まれているんですから。要は「私の言っていることは正しいのですから、理解するのが当然なのです。」と言われているようなイメージになってしまいます。読者が「バカにされている」と感じ取っても仕方がない表現です。

 こういうのを見ると、考えずに言葉使ってるなーって印象を抱かざるを得ません。たとえばビジネスレターの本に書いてある書式など、定式もそれはそれで大事です。が、文章そのものがしっかりしていなければ結局は台無しですよね。

 ちなみに例文は実在のものではありません。びっくり日本新記録の冷蔵庫なんてあるはずないじゃないですか。ひろしまレインボーブリッジなんてイタい名前の橋の建設予定もありません。ただし、「広島ベイブリッジ(正式名:海田大橋)」なら実在しますけどね。(ちなみに近隣住民は「100円橋」と呼んでいるそうです。)
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2007年07月25日

タイガースは大阪弁である

 軽く英語の話をさせていただきますと、虎、tiger、つまりタイガーを複数形にすると tigers ですが、これは普通タイガーと濁って発音します。したがってアメリカの五大湖近辺にある工業都市デトロイトを本拠地とする、あのチームはデトロイト・タイガーなわけです。(もっとも、それを言うなら「デトロイト」だって「ディトロイト」ですが、それはまた別のお話。)したがって、そう考えると日本の野球チーム「阪神タイガー」ってのは英語的におかしいのです。

 ここまではご存じの方、あるいは気づかれている方も多いかと思われます。ただ、こんなツッコミは無粋だと思われるかもしれません。そんな細かいことはええやないか、と。それに、球団が設立されたのは1935年、そのころから「タイガース」だったわけですから、当時の情勢を考えるとやむを得ないミスかもしれません。

 ……と思っていたのですが、必ずしもそうとは言えないっぽいです。(改めて探したところソースが見つけられないので、もしかしたら誤解かもしれないのですが)どうやら、わざと間違えているらしいのです。昔々、大阪にできた野球チームが姉妹都市デトロイトのチームにあやかって tigers を名乗ることに決めたとき、どうも「タイガーズじゃあ響きが悪いやん。タイガースの方がええで。」という意見が出てきたというのです。

 この話を聞いたときには、あまりの我田引水っぷりに呆れてしまいました。それ以来、私は「タイガース」という言い方は大阪弁だと思うことにしています。
posted by Yosh at 20:05| Comment(4) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月12日

ギャル文字の正当継承者

 そろそろ20代も半ばに近づこうかという大人の女性から、ギャル文字いっぱいの携帯メイルを戴くことがあります。「大人なんだから、そろそろギャル文字は卒業しなさい」と返信しようかと思ったのですが、ふと手が止まりました。ちょっとまてよ、と。

 ギャル文字は中高生女子の文化であるという先入観があったのですが、よくよく考えたら、ここ数ヶ月で広まったようなものではありません。長い、とはいいませんが、少なくとも年単位の歴史がある文化です。したがって、ギャル文字を進化させ広めていったのは、おそらく彼女らの世代の功績なんですよね。

 そう思うと、彼女らが自分たちで作り上げた遊び道具を、安易に取り上げようとするのはちょっと違う気がしたのです。

 20代前半の女の子たちよ。ギャル文字はあなたたちのものです。これからも臆せずに使い続けてください!※

※なお「頭悪そうに見える」などの有害事象に関して、当方は一切関知しません。使用は自己責任でお願いします。
posted by Yosh at 20:42| Comment(7) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月10日

チゲ鍋は正しい

 チゲ鍋は正しいんです。

 韓国・朝鮮語で「チゲ」というと「鍋」という意味なのだそうです。したがって、「チゲ鍋」だと「鍋鍋」になるからおかしい!――世の中にはそう主張する人がいます。

 本当にそうでしょうか?

 だってほら、外国の物を日本語に翻訳するとき、こんな風に二重表現にすることはよくあるじゃないですか。たとえばファンタジー小説などに見られる「オーク鬼」「ドワーフ小人」などは二重表現ですよね。その概念が日本にあまり伝わっていないとき、意味をわかりやすくするために同じような意味の日本語を補足するというのは、おかしなことじゃないのです。

 だから、チゲ鍋は正しいんです。
posted by Yosh at 20:12| Comment(5) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月23日

アメリカ人だって建前が言いたいんだもん?!

 よく思うのですが、本音と建前の使い分けって別に日本人独自の特徴じゃないですよね。たとえばアメリカ人だって建前はよく使うじゃないですか。たとえば日本のメディアに対して野球選手が
「オー、イチロー、マツーイ、グレード」
なんて言ったりしますよね。

 他にも、たとえば著名なミュージシャンが日本の歌手と組んだときに、「いかがですか、このコラボレーションは?」という抽象的な質問をされたときに
「ベリー、ベリー、エキサイティング」
なんて答えたり、映画監督を日本に招いて、インタビューで
「ソー・キュートだ。今度私の映画に出演してくれ。」
なんて女子アナに言ったり、などなど……。

 商談でも、ありますよ。
「とても良いと思う。ただ、われわれの予算に合わないんだ。」
などと、最初に持ち上げておいて落とすのも、ヤツらの得意技です。

 もちろん、日米で建前の言い方や発揮されるシチュエーションには違いがありますけどね。だけど、少なくとも「アメリカ人に建前はない」というのは嘘ですよね。

 残念ながら、それ以外の土地ではどうなのかはよくわかりませんけども。たとえば中国の奥地に住む少数民族はどうなのか、パナマでは、クルド人では、ヨーロッパ諸国では、アボリジニーでは……。なんてことがちょっとだけ気になるところです。
posted by Yosh at 22:51| Comment(4) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月19日

木に瓜と書いて……

 木に瓜と書いて何と読むでしょう? 「き」に「うり」ですから、そりゃあ「きゅうり」でしょー。

 ……こんなこと書くと「何言っとんねん、ボケ!」とツッコまれるのがオチですかね?
posted by Yosh at 19:31| Comment(6) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月15日

日本語検定

 最近知ったのですが、日本語検定という新しい検定試験が生まれたそうです。今度の土曜日に第1回の試験が実施されるのだとか。教科書の会社として有名な東京書籍が主導し、時事通信社などの協賛を得ています。評議員もお偉いさんをたくさん揃えていて、なかなか迫力があります。

 良い企画だと思います。今の時代はかつての英語偏重、日本語軽視から揺り戻しが来ていて、日本語の学習がよく話題になっています。何も特別なことじゃなく、母国語でちゃんと意志疎通ができるかどうかは、生きていく上での基本中の基本ですからね。良いことです。

 では公式サイトをのぞいてみましょうか。サンプル問題がありますよ。どれどれ……。

 見てみて、がっかりしました。この内容で「日本語検定」を名乗るのは完全に誇大広告ですね。単なる“正しい語彙”検定です。たとえば、「忸怩たる思い」「憮然として」などといった言葉の意味を問うようなものばかりです。択一式の問題だけ。

 もしかしてサンプル問題にないだけで、本番ではそれ以外の問題も出るのかなと思ったら、出題範囲のところにはこう書かれていました。
敬語:尊敬語、謙譲語、丁寧語の適切な使用
文法:語と語の正しい連接
語彙:言葉の豊富さ、語と語の関係の理解
表記:適切な漢字の使用、正しい送り仮名
言葉の意味:言葉の意味の理解
漢字:漢字や熟語の読み方、意味の理解

 あれれ? なんで表現力を問う問題がないんですか?

 こんな上っ面の試験なら、ジャストシステムの全国一斉! 日本語テストでいいじゃん。これだけエラい人揃えて何してんの? というのが正直な感想ですね。

 近頃、よく翻訳仲間から聞くのが「日本語の表現が難しい」という声です。まったくその通りだと思います。「英文和訳をするには、英語を100%、日本語を120%理解していなければならない」なんて言葉もありますが、われわれは常にそれを実感しているんですよね。そして「まだまだ修行が足りない……」と自省するわけです。

 そう。表現力だって、非常に重要な日本語能力の要素ではないですか。それどころかむしろ、表現力は日本語力の根幹なんじゃないでしょうか。難しい言い回しを知っていることは立派ですが、それだけじゃ何の意味もない。そう思いませんか。だって、言語は意思伝達のためにあるんですもん。

 先日も別口で書きましたが、こういう風にテストで測定したいものと実際に測定されるものとが食い違っていることを、心理学の世界では「妥当性がない」と言います。いずれは、もうちょっと妥当性の高い、マシなテストに成長してもらいたいものです。
posted by Yosh at 02:12| Comment(2) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月17日

44歳のタフガイが「いい感じだ」って……

 ニッカンスポーツさんのウェブ記事を見て、ちょっと笑っちゃいました。野球の記事なんですが、44歳の大ベテラン、ロジャー・クレメンス投手についての記事です。現在、本格始動に向けて調整中なのですが、その時の彼の言葉です。
帰り際、調整具合をたずねた報道陣に「いい感じだ」とだけ返答。
クレメンス、ヤンキース施設で始動(5月15日18時5分配信 日刊スポーツ)より引用
 44歳のタフガイ、ごっついアメリカ人であるロジャーさんに10年前の流行語である「いい感じ」なんて言葉をしゃべらせるその翻訳センスはいかがなもんでしょうか? 日刊スポーツさん。

 まあ「いい感じ」自体は流行語の枠を離れて、今でも使われますけどね。独特のニュアンスがあるとはいえ本来は普通の日本語であること、テレビでは30前後の芸人さんなんかが時々使っていたりすることなどから、死語化しなかったのでしょう。ただ、そうは言っても40代半ばの外人さんにしゃべらせる言葉じゃないよね。

 ホントは何と言っていたのでしょうか? ご想像の通りです。"good" と、ひとこと言ったんですね。この記事の元ネタはチーム(ニューヨーク・ヤンキーズ)の公式サイトでした。

 この記事に限らず、いや、文字ベースに限らずなんですが、外国人の発言はほぼすべて「ですます調」にならないんですよね。スポーツ選手がインタビューに答える訳ですから、本来なら、当然「ですます調」で訳すべきです。外国人の言葉をとにかく、アメリカ映画の吹き替え風にフランクにしゃべらせるのは、日本の翻訳の悪しき習慣ですね。「調子は良いです。」「上々です。」「悪くないですね。」などとすべきでしょう。

 それにしても、この長い記事をさらっと数行にまとめておしまいかー。楽な仕事だなぁ。まあ、ウェブ記事、それも MLB の記事は片手間なんでしょう。その分本業の方が大変なんでしょうから、そっちをがんばってください。
posted by Yosh at 02:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月08日

ナウなヤングにバカウケな翻訳

 私は英語を生業にしている割に、苦手分野が多いような気がします。以前から聞き取りも会話も苦手であるとは言っていますが、実は書くのだってあまり上手とは言えません。あまり得意じゃないので、英文を書くときは自分の実力の範囲内の、平易な表現で書くようにしています。そうすると逆に、ネイティヴの人からは「英語上手いネー」なんて言われてしまい、複雑な気持ちになってしまうのですが。

 私が特に恐れているのは、文章そのものの意味が伝わるかどうかではなく、文章から感じられる雰囲気が自分の意図したものなのかどうかということです。同じ頼み事でも、
「5月3日のコメントを削除しろ」
と、
「お手数ですが、5月3日に私が書いたコメントを削除していただけませんか」
とではエラい違いですよね。「日本語と違って英語には敬語がない」なんてことを言う人もいますが、これは誤解を生む言い方ですね。確かに敬語表現に相当するような文法はないかもしれませんが、丁寧な表現など、敬語に近い考え方はちゃんとあります。

 そんなものは辞書を見ればいい? 確かに、そういう面もあります。しかし、辞書にすべてが書かれているでしょうか? 辞書を字句通りだけで捉えて文章を書くと、何だか変になることもあり得ますよ。例をいくつか、日本語で示してみましょう。

「あの娘、小悪魔系よね。」
 ↓
「その少女は妲己だ。」

「エンゲージリングでしたら、ダイアモンドをあしらったこちらの商品がお薦めです。」
 ↓
「エンゲージ指輪にギヤマンを配合したこのプロダクトを薦める。」

 恐いんですよね。辞書だけに頼るの。だからといって、現役で使われている生の文章表現を真似するために、ネット上の文章を参考に書くと、
「へー、なかなかおもしろいですね。」

「ウハー、激ワロス」
とか
「ぉもしろぃね〜☆(σ∀σ*)」
とかになりかねません。それはそれで困ります。

 和文英訳は「ナウなヤングにバカウケな」風の文章を書きそうで、どうも苦手なのです。
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2007年04月30日

【字幕翻訳】映画『バベル』

 映画『バベル』が日本でも公開開始となりました。別記事で映画そのものの感想も書きましたが、私にとってこの映画には、もうひとつの側面があります。私の応募した字幕翻訳コンテストの課題となった映画ですので、プロの手による字幕がどのようなものなのか読みたかったという面があります。私にとってこの映画は、単に見てみたい映画ではなく、見なければならない映画でもあったのです。

 プロの手にかかった字幕とはどんなものでしょうか? 見る前の私は、自分の力のなさを思い知らされてへこむだろうなと思っていました。へこむために見に行こうなんて、変な話ではありますが、それでも勉強のためにと思い、劇場に入りました。

 さて、この『バベル』ですが、字幕翻訳は松浦美奈さんでした。非常に力があることで有名な方ですので、最初に名前が出てきた段階で少しビビってました。が。

※ここから先は映画の内容にも踏み込みますので、まだ見ていない方はご注意を!
posted by Yosh at 20:32| Comment(2) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月18日

「アウター・スペース」にとりとめなく……

 現在、 "The Auful Green Things from Outer Space" というゲームのマニュアルを翻訳しています。『宇宙から来た恐るべき緑のヤツ』といった所でしょうか。周辺情報を調べるためにいろいろと見て回ったのですが、その際にどうでも良いことも含めいろいろとわかったので、メモがてら記事にしておきます。

 まず、Outer Space を外宇宙と訳している人が多いので、これが正しいのか調べてみました。これは単に「宇宙」とするのが正しいようです。Air Space との対義語で、要は大気圏の外側のことみたい。単に space とも言うけど、それだと単なる「空間」という意味に誤解されそうなときにわざわざ outer をつけて誤解を避けるようです。楽器という意味の instrument も、道具という別の意味に誤解されそうなときは musical instrument と言いますが、それと似たようなもんでしょう。

 逆に「外宇宙」というのがちゃんと存在する日本語なのかどうか調べてみたら、一応は天文台のページで「銀河系の外の宇宙」という意味で使っていたので、あるみたいですね。これで「Outer Space≠外宇宙」が確定と言えそうです。

 とは言え、その割には「外宇宙」という言葉を使っている人がたくさんいますね。多くの人が銀河系外宇宙の意味以外で使っていそうです。たとえば初期の SF 小説で誤訳されそれが広まっただとか、そもそも英米で最初から誤解されていたのが伝わってきただとか、そんな理由で“もうひとつの意味”が生まれているかも知れません。

 「○○・フロム・アウター・スペース」というタイトルの作品をちょくちょく聞きます。これも元ネタがあるんだろうなと思ってざっと見てみたのですが、最初に引っかかったのが「プラン9・フロム・アウター・スペース」という映画です。なんか史上最低を自ら名乗るダメ映画らしいですね。5人組の漫才グループ、ザ・プラン9の名前の元ネタだそうです。

 さらにもう少し前にさかのぼると、「イット・ケイム・フロム・アウター・スペース」という1953年の映画があるようですが、原作がレイ・ブラッドベリ……おお、名前を聞いたことある人だ。そうか、「イット・ケイム・フロム・ザ・レイトレイトレイトショー」の元ネタはこれだったのか、などと感心してみたり。

 知らないことというのは本当にたくさんあるものだと痛感しますが、少しだけ脳みそが埋まっていくのはちょっと快感ですね。
posted by Yosh at 16:16| Comment(2) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月13日

字幕翻訳コンテストに出ます

 オンライン英和辞典『英辞郎』で有名なスペースアルクが映画字幕翻訳コンテストを開催するようです。私もエントリーしてみることにしました。今回のお題は『バベル』です。その中の1シーンに字幕をつけていき、その出来を競うことになります。

 もちろん私程度の実力では入賞は難しいでしょうが、こういったことは挑戦することにも意義がありますからね。楽しみながらチャレンジしてみたいと思います。量的にはかなり少ないので、忙しい方でも申し込めると思います。腕に覚えのある方、私と一緒にチャレンジしてみませんか?
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2007年02月11日

モラルのラ

 中学校の頃の話をしましょう。今はどうだか知りませんが、当時の国泰寺中学校の校舎は床が板張りで、どの部屋への扉も、開いた人にいつ棘(こっちの方言で言う「すいばり」)が刺さってもおかしくないような老朽化した、木製の横開きのヤツでした。

 「1年職員室」という、その名の通り1年生の先生方のための部屋がありました。この入り口も、他の教室と同じくボロい扉でした。どこで見つけてきたんだというような変な水色のペンキで塗られている所も同じです。しかし、ひとつだけ違うところがあります。実はそこには、少し奇妙な貼り紙がしてありました。具体的にはこんな感じです。
モラルのラ
※画像はイメージです。実際の物とは異なります。

 ……なんでしょうね? このモラルの「ラ」ってのは。じゃあ、モラルの「モ」と、モラルの「ル」があるってことでしょうか? この貼り紙のせいで私は中学3年間を、もやっとしたまま過ごすことになってしまいました。

 卒業からしばらくして、まあどのくらい経った後だったかは覚えていませんが、多分高校時代だと思います。ある日突然、あの謎の貼り紙の正体に気づきました。
「あ、あれってモラルのラじゃないや。モラルの一つだ!」

 すっきり!

 ……にしても、どのセンセが書いたのか知らないけど、字汚かったなぁ。
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2007年02月10日

たれ込み:「慎重に楽観」って?

 先日、友人の小川からあったたれ込みです。ドコモの i チャネルで見ることのできるニュースの中に、奇妙な記述がありました。六ヶ国協議関連の話題なのですが、アメリカのライス国務長官が非常に奇妙なことを言っているのです。曰く、ことの成り行きを
慎重に楽観している。
 残念ながら元記事はすでに消えており、リンクを貼ったり前後の文章を引用したりすることはできません。が、ここだけ取り出してみても変な日本語だってことはわかりますよね。

 元記事を調べて、(多分誤訳だろうから)ホントはどういう意味なのか教えてほしい……これが今回の依頼です。まずは全文が読めないか、検索エンジンで "慎重に楽観" というワードで検索してみました。すると、意外にもそこそこヒットしますが、いずれも該当する記事ではないようです。お前ら、日本語おかしいぞ。

 また、原文を英語で読めないか、ライス長官 "Advisor Rice"、六ヶ国協議 "Six-Party Talks" を検索ワードにして検索してみました。確かにヒット数は3桁出るのですが、どうも2003-2004年などの古い記事ばかりです。

 うーん、見つからない。もうちょっと探してみます。皆さんも見つけたら教えてくださいね。

※2月11日追記
 Tz さんのコメントから、この表現が "cautiously optimistic" の直訳であることがわかりました。であれば『ジーニアス英和辞典』第4版にあっさりと答えが書いてありますね。逆接的に訳して「用心しながらも楽観している」とありましたが、非常に自然な日本語だと思います。
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2007年02月08日

TOEIC、4回目のトライの結果

 この前受けた TOEIC の結果が返ってきました。765点でした。たった5点しか上がっていないとは……。そりゃ全然勉強してないけど、もう少し取れると思っていただけに非常に悔しいです。得意なはずのリーディングで415点しか取れず、以前よりスコアを落としているのも不満です。ちょっとずつでも、あるいは三日坊主の繰り返しでも良いから勉強しよう……そう決意するのでした。

 苦手なリスニングもがんばろうかなと考えています。今までは翻訳にリスニングなどあまり必要ないと思っていたのですが、『翻訳のおきて』という本を読んで、非常に視野の狭い考え方だったと痛感しています。言語にとって音の調子というのは、往々にして非常に重要な意味を持つ場合があるからです。たとえば韻を踏んだ詩の美しさを心から理解するには、その音に耳を傾けることが絶対条件となるでしょう。

 20年以上も英語に触れていて、こういうことに今さら気づくのが独学の悲しさですね。でも、今からでも取り返せると信じて勉強を続けます。
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2007年02月04日

法律用語嫌い……

 今、確定申告をするためにいろいろ勉強しています。私はどうも金勘定、特に法律が絡んでくる金勘定が苦手なんですよね。ある程度歳のいった大人としては恥ずかしい限りなのですが。

 しかしよく考えると、別に金勘定が絡まなくても法律そのものが苦手なことに気がつきました。と言うのも、法律ってマトモな日本語で書いてないじゃないですか。読みづらいし、感覚的に理解するのも難しい。ホント、大っ嫌いです。

 しかし、私が最も嫌いな部分は、文章そのものというよりも法律用語の独特の使い方です。

 私が以前見た中で、これはヒドいと思った例を挙げましょう。運転免許を取るために教習所で学科の授業を受けていたときです。つまりは道路交通法なんですが、こんな○×問題が出ました。

問題:(「駐停車禁止」の表示がある図が書かれていて)ここは駐車禁止である。

 私はこの問題を見て、「駐停車禁止なんだから、駐車しちゃいけないんだよね。答えは○」と思ったのですが、これの答えは×でした。先生の解説は「これは駐停車禁止の表示だから、駐車禁止じゃない」と。

 要は、常識的な言葉のとらえ方とは違って、「駐停車禁止」と「駐車禁止」は法律の上ではまるっきり別物であると考えるべきということみたいです。言い換えれば、「駐車禁止」という法律用語は、単に「この区域は駐車が禁止されている」という意味で捉えてはならず、「この区域は駐車は禁止されているが、停車は禁止されていない」と捉えなければならない、と。普通、日本語で考えて駐車禁止って言われたら、停車が禁止かどうかはまた別の話って思いますよね。

 それ以前に「駐車」と「停車」と「停止」の違いってのも、勉強しなければわかんないですよね。もちろんこの手の言葉は、決まり事を作る必要性があるのはわかります。その際、誰にでもピンとくる言葉を当てるのは非常に難しいのも理解できます。だから、この辺くらいまでは難しくてもやむを得ないとは思います。思いますが、人に優しい言葉遣いになってないのは事実ですよね。なので、嫌いな物は嫌いです。
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2007年02月03日

今日は筋分

 今日は節分です。コンビニ各社でも、季節商品として恵方巻や豆まき用の豆を売っていますね。

 さて、そんな中、近所のセブンイレブンには表の所にナカナカ大胆な宣伝が掲げられていました。曰く「節分スイーツ、恵方巻風ロールケーキ」と。買う、買わない、あるいはヒットする、しないは別としてすごい発想です。

 店内にもポップ広告がありました。手書きの文字で「節分」ではなく「分」と書かれていましたけどね。
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2007年01月16日

英語の教材ウォッチング

 昔の英語の教科書を見たら、あまりに不自然すぎて物笑いのタネになる――これはよく言われることですよね。その辺をネタにした『永遠のジャック&ベティ』(清水義範著)なんて短編小説もあるくらいです(ちなみに『ジャック&ベティ』は昔の英語教科書のタイトルです)。『ジャック&ベティ』ではないのですが、かつてこんな例文が教科書に掲載されていたというのを聞いたことがあります。
「これは本ですか。」
「いいえ、それは犬です。」
なんでやねん。

 今の教科書は、その辺の不自然さができるだけないように配慮されています。今時「私は少年です。」なんて変な(状況にもよるけど)例文はないということです。そんな昨今の教科書ですが、だからといってその興味深さはみじんも減ってはいません。一見単なる勉強の本のようですが、よくよく見れば意外と魅力的なものだったりします。

 今年度(平成18年度)、中学校で教科書改訂が行われました。中1はその新しい教科書で始められるから良いのですが、中2と中3は教科書が別のシリーズに切り替わってしまいます。そうすると随所で悲劇が起こってしまうわけです。

 たとえば開隆堂という会社が出している Sunshine という教科書。以前から今に至るまで、この教科書のお話の主人公は「由紀」という名の中学生の女の子でした。が、前の版の由紀のイラストの不細工なこと。たれ目、下ぶくれ、ぼさぼさ頭という酷い有様です。\∩∠なすびか! この不細工な由紀が、新しい教科書ではずいぶんかわいく生まれ変わってます\∩∠整形か!

 教科書に限りませんが、書かれているお話が突拍子もなかったり、あまりに内容が重すぎたり、逆にふざけていたりなどという場合もあります。たとえば高校入試問題の長文で「突然、宇宙人が現れて『キミ達の星は美しい。大事にしたまえ』と言われて環境問題に関心を持ち始める中学生の話」という例がありました。又聞きですが、マンガ『沈黙の艦隊』のストーリー抜粋が出たという話も聞いたことがあります。

 ある中3の教科書には、木の葉を主人公にした物語が載っています。春に芽生えた木の葉のフレディが、秋になって仲間達がどんどん落葉していく様を見て「嫌だ! 死にたくない」「落ちて死ぬだけの命……それに何の意味があるんだ」とつぶやきます。親友で聡明なダニエルが「仲間がいて、太陽があった。木陰で休む人や笑顔の子ども達がいた。それで十分じゃないか」と答え、そして笑って散っていきます。お、重い……。中3英語の教科書に生命の意味を深く問うような文章は少しやりすぎだと思うぞ。

 意外と勉強になるような場合もあります。小学校の頃に言われていた科学の通説が実は現代では崩れていたり、疑われていたりする場合、それを学び直すのは割と難しいものです。でも、たまにそれを英語教材で学べる場合があります。たとえば恐竜の絶滅の原因は宇宙から降り注いだ放射性物質イリジウムのせいだという主張があるらしいですが、これは高3の英語リーディングの教科書に載っていました。先日、野球の記事で取り上げた偉大なカル・リプケン・ジュニアの連続試合出場の逸話を取り上げた教科書もありました。ちなみにこの教科書を某私立お嬢様学校が採択していまして、多くの生徒がピンと来なかっただろうな……とあらぬ心配をしたものです。

 他にも何か面白いものを見つけたら、また記事にしますね。
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2006年12月24日

Merry Christmas

 「メリー・クリスマス」というのは本来キリスト教徒同士に掛け合う言葉らしいですね。これを誰かに言われたら「欧米か!」とタカアンドトシみたいにツッコんでみてください。キリスト教徒以外には「素敵な休日になると良いですね」というような意味の言葉があるそうです。

 さて、私も今日から1週間ちょっとのクリスマス休暇です\◯∠欧米か!

 嘘です。つかの間のお休みをゆっくり楽しみます。
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2006年12月11日

ジーニアス英和辞典第4版は12月17日発売

 私が長年愛用している『ジーニアス英和辞典』が改訂され、12月17日に第4版が発売されるそうです。私は第2版からのユーザーですが、この辞書は日本の英和辞典に革命を起こしたと言っていいと思っています。もちろん最新版も購入するつもりです。

 その特徴は内容の正確さにあります。かつては英和辞典の内容の正確さなど疑われたことなどなかったと思うのですが、ある学者さん(残念ながら名前を忘れてしまいました)が検討してみたところ、各辞書ごとに大いに差があることがわかったのです。定番、権威と言われた辞書が軒並み誤用を連発する中、正確さにおいて最高位にあったのが「ジーニアス英和辞典第2版」だったというわけです。

 それ以来、つまり現在もそうですけども、各社とも辞書の内容の正確さにずいぶん気を遣うようになりました。日本の英和辞典全体の底上げが行われたということですね。

 実は第3版(通称 G3)はさほど評判が良いわけではありませんでした。というのも、最大の売りである正確さは他の辞書も追いついてきたため、売りにならなくなってしまったからです。(私はそれでも慣れ親しんだレイアウトと過去の信頼、それに新語の掲載を理由に G3 を選びましたけどね。)ただ、この辺も G4 で新たな売りをひっさげてやって来てくれるんじゃないかと心密かに期待しています。
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2006年11月29日

聞き間違いの話

 たった今、外でサイレンが鳴ってメガホン越しにこんな声が聞こえてきました。
「はい、気をつけてください。パトカーが突撃します。」
……突撃しちゃいかんでしょうが。

 もちろん聞き間違いです。ただ、何を聞き間違えたんだかさっぱりわかりません。

 そういえばきのうも聞き間違いをしました。仕事中、
「消費税率言って」
と言われ、とまどいました。え、えーと、ご、5%って答えたらいいのかな?

ちなみに正しくは、
「商品整理して」
でした。
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2006年11月13日

3回目の TOEIC 結果

 先日、久々に TOEIC の試験を受けてきました。その時のことは「セルフハンディキャッピング」の記事の中で少し冗談めかして書いたように、手応えとしてはあまり自信の持てない感じでした。

 で、その結果が今日わかりました。私の手応えとは逆に、前回よりスコアが50点も上がって760点でした。内訳は、リスニング325点、リーディング435点です。なんじゃそら? つかみ所のないテストやなぁ……。

 リスニングは前回は335点でしたから、多少下がっています。これはやはり英米加豪4ヶ国の発音で出題されたのが原因かも知れません。ただ、それにしては下がり幅が少なかったので少しうれしいですね。実際、恥ずかしながら何の対策もしていなかったですし、テスト中もすごく聞き取りづらい印象を持っていましたので。

 リーディングの方は前回とさして変わらない手応えでした。が、前回の375点から60点ほど上がりました。前回受験から9ヶ月が立ちましたが、はっきり言って何の特別な勉強もしておらず(むしろ無関係な仕事に従事することが多く、単語力などが落ちていると感じていた)、したがって大して読解力が上がっているとはとても思えないのですが、なぜか大幅アップ。出題傾向が変わりましたが、どちらかというと私は以前のようなタイプの問題の方が得意な位ですから、多少謎が残ります。強いて言うなら、試験の経験回数が物を言ったのかも知れません。今までは単に慣れていなかったから大したスコアが取れていなかっただけで、今回やこれから取る点が真の実力なのかも知れません。実は、今までもリーディングが300点台(5点〜495点の範囲で)というのは内心屈辱的でしたからね。

 しかし初めて試験を受けてから1年、やっと「レベル B」、つまり「どんな状況でも適切なコミュニケーションが出来る素地を備えている」という段階にたどり着きました。次の「レベル A」、つまり「Non-Native として十分なコミュニケーションができる」段階は860点以上です。これを1年で達成できるようにがんばりたいものです。ここからはさすがに耳も鍛えないと無理かなぁ……。リーディング450点はそろそろ手が届きそうなので、まずは早い段階でリスニングを安定して300点台後半が出せるように訓練しないといけないかも知れません。で、徐々に伸ばしていってリスニング400点、リーディング460点の計860点という目標で行くことにしましょう。
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2006年10月16日

英語は大きくなってから

 ネットをふらついていたら、ちょっと気になるアンケートがありました。子どもに英語教育を施すなら何歳からが適切か? という設問です。その結果は皆さんもだいたい予想がつくと思いますが、結構な割合の人が「3歳から」などのごく初期のスタートを支持していました。

 結論から言いましょう。危険です。日本語がまだ十分におぼつかない状態から英語も学ばせることには大きなリスクがあります。子どもの中で認知的葛藤が発生し、その結果精神障害につながることがあるのです。

 「でも、英語の専門家が早い方がいいって言ってるじゃん」と反論されるかも知れません。確かに、早期教育によって英語の発音や文法構造、語感をナチュラルに捉えられるようにはなります。しかしそれと同時に、子どもは英語とは全く異質な日本語も習得しなければいけません。さらには、両言語を場面によって適切に使い分ける技術も学び取らなければならないわけです。これが子どもにとって非常に大きな負担になることは誰にでも想像がつくことと思います。

 生育環境にもよりますが典型的な日本人家庭に生まれ育った子どもの場合は、英語教育はせめて6歳くらいから、それもハードなトレーニングではなく遊びの中で多少身につけるといった程度でやるのがおそらくは良いでしょう。当然ながら、現在の義務教育にあるように中学校から始めても十分に間に合います。

 えっ、間に合わない(かった)? そんなことはありません。もし間に合わないとすれば、
1) 必要がないから勉強しなかった(特に問題なし)
2) 本人の努力不足(典型的な言い訳パターン)
3) 何らかの障害等で言語に関する能力が劣っている(いつから始めても一緒)
のどれかですよ。

 英語教育についての議論はこの早期教育に限らず、小学校での義務化などいろいろなテーマで語られています。その際に気をつけてほしいのは、「英語しかできない人の意見には眉に唾をつけて聞け」ということですね。自分の狭い経験を元にした「今の英語教育はダメ」という言いぐさは耳障りはよいですが(特に、努力不足で英語を身につけられなかった大人にとっては)、そういう人は現在日本の英語教育が「言語学的に見て合理的で優れている」と評されていることを知りませんからね。英語教育について語りたければ、日本語教育のこと、教育学、発達心理学や教育心理学、言語学などにちょっとでも関心を持つべきでしょう。そういう観点の全くない意見に安易に耳を傾けることに対して、私は警鐘を鳴らします。
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2006年09月05日

i'm lovin' it!

 マクドナルド自体はそんなに好きじゃない(かといって嫌いでもない)ですが、CM 等でやっている "i'm lovin' it." というキャッチコピーが好きです。

 本来この言い方は、英語としては間違ってます。少なくとも教科書、辞書レベルで言うと。というのも、たとえば I love you. と言ったら「あなたを愛してます。」となり、これを進行形「〜している」という形に直そうとすると……直せませんね。つまり、最初から「〜している」という意味を含んでいる言葉は、進行形にできない(する意味がない)という訳です。

 でも、それを無理矢理にでも現在進行形にしたらどうなるでしょうか。「今この場で、まさに好きで好きで仕方がない」って感じの印象に響きませんか? もう、これだけでハンバーガーを幸せそうにかぶりつく高校生たちというヴィジュアルが頭の中に浮かびます。

 実は私、マクドナルドは各国で比較的経営基盤や戦略がかなり違うと聞いていたので、これを考えたのが日本法人だと思っていたのですね。だから、「日本マクドナルドやるじゃん」という感想を抱いていました。要は、そういうちょっと変な言い方を敢えて選んで、語感での違和感を含むインパクトと、味わい深い意味を含ませたという訳です。

 ところが調べてみたらこのコピー、実はアメリカ発の世界展開戦略の一環なのだそうです。対象はハイティーンからヤングアダルト層。となると、少し話が変わってきます。もっといろんな深読みができて、一層おもしろいことになります。

 というのも、現在進行形には結構いろんな意味があるのです。上記のような使い方もできます(ただし高校〜大学受験生はまだ覚えないが吉)が、それ以外にたとえば「いつも〜ばかりしている」という意味や、近未来のことを言って「〜する予定だ」という意味、訳は上手くできませんが現在の動作を強調するような使い方などもあります。これらのいろんな意味に合わせて見ていくと、実に様々な想像が広がってきます。

 あと、love という英単語には当然ながらエロい意味もあります。日本語でも「愛する」って言ったら、遠回しに様々なエロいことを示すことがありますよね。それと同じような感じです。ちなみにこの使い方をした場合、特にひねらなくても普通に進行形にできます。「〜している」にうまく当てはまるでしょ? 何かこの辺まで計算して作ったコピーなんじゃないかな、なんて思ってしまいます。……なんていうのは邪推しすぎ?
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2006年08月12日

2017年野球の旅・ドイツ大会

 私はドイツ語がある程度読めます。ええ、読めますよ。大学1年の時に授業を受けてますからね。ちょっと手元にあるドイツ語のボードゲームの文章を引用して、読んでみましょう。
Wer gewinnt die meisten Siegpunkte...?

 これを読むと確かこうなるはずです。
「う゛ぇー・げう゛ぃんくと・でぃー・まいずてん・じーくぷんくて?」
ちょっと間違えも含んでいるかも知れないですけど、おおむねあっていると思います。どうですか? すごいでしょ。

 えっ? 意味はどうだって? 知りません。私は読めるだけで意味は理解できませんから。(注:こう言うのは普通「読める」とは言いません。)

 というわけでドイツ語は素人の私ですが、大学時代に少しだけ勉強したおぼつかない知識によると、ドイツ語の発音はかなりローマ字に近く、また英語と違って例外もごく少ないのだそうです。たとえば英語だと u という文字の音は「あ」や「ゆー」などに、ch の音は「ち」を基本として例外的に「しゅ」「く」などになりますが、ドイツ語にはそんな例外はあまりないらしいです。

 ただ、日本人にはやや意外に思えるような読み方も結構あります。たとえば s は「す」ではなく基本的に濁って「ず」になります。ch はちょっと字で書きづらいですが敢えて言うなら「ひ」ですかね。「私は」という意味の "Ich" という単語は「いっひ」ですね。あるいは英語と違ってドイツ語は結構 z をよく見るような気がしますが、これの読みは「つ」ですね。

 そこでこんなことを「あったら恐いなぁ」とぼんやり考えました。11年後の2017年3月、アフリカと EU 諸国で急速に野球が普及し、その勢いを加速すべく第4回ワールド・ベースボール・クラシックが EU で開かれることになりました。決勝の地はドイツの首都ベルリン。この大会のために建てられた真新しい美しい球場が舞台です。

 決勝にコマを進めたのは3大会ぶり2度目の優勝を狙う日本と、南米の雄ベネズエラ。我らが日本は古田総監督の下、若手とベテランがそれぞれの力を出し合えるバランスの取れたチームを作り上げました。その中には第1回大会当時フレッシュな若手として活躍した西岡剛や、全盛期ほどの球威は見られないものの巧みな投球術を身につけ長く活躍し続ける松坂大輔、それに足と守備には衰えが見られるもののその打撃技術と卓越したキャプテンシーでチームの精神的支柱となっているイチローの姿もあります。イチローはかつて50歳までプレイをし続けたいと語っていましたが、その気持ちは現在も衰えていないようです。この大会では、6番指名打者として、あるいは右投手に対する代打の切り札として活躍しています。

 決勝は3-2でベネズエラのリード。しかし7回裏に日本にチャンスが訪れます。2アウトながらヒットと四球で満塁とし、先発投手をマウンドから引きずり下ろしました。リリーフとして出てきた投手は何とこの大会でベネズエラの抑えの切り札として起用されているフェリックス・ヘルナンデス投手。シアトル・マリナーズでキャリアをスタートし、サイヤング賞を3度も取った大投手です。

 この右腕に対し古田監督は迷わず代打の起用を決めます。ウェイティングサークルには丹念なストレッチをする背番号51。この場を任せられるのはやはりこの人しかいません。日本からの応援団は俄然ヒートアップします。そして、このかつてのチームメイト同士の対決は、古くからの野球ファンの心も奮い立たせます。

 場内に代打を告げるアナウンスが響き渡ります。
「ピンチヒッター・イッヒロー・ズツキ!

 ……ってことになるはず。「鈴木」はドイツ語だと「頭突き」になってしまいますね。
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2006年06月29日

新幹線からの光景

 先日、弟の2回目の結婚披露宴(不穏当発言)に参加するため、はるばる名古屋まで行ってきました。新幹線(のぞみ)だと2時間半もかかりませんね。

 暇に飽かしてぼんやり外を見るというのは、意外と面白いものです。岡山はやっぱり田舎だなーとか、あの北陽高校ってのはお笑いの北陽の出身校のアレなのかなとか(注:違います。彼女らは埼玉出身です。)、京都と言えばあいつが住んでいるなとか、地元にしても名古屋の河合塾の校舎数は異常だなとか。

 中でもちょっとオモロだったのが、恐らく関西電力の関連会社なのでしょう。名前は「かんでんエンジニアリング」。ひらがなで書かれると、どうも脳内で「感電エンジニアリング」と変換されちゃうんですが。
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2006年05月11日

ビリー・ジョエルの C. C. Lemon

 今日は小ネタ。街を歩いていると、一風変わった鼻歌が聞こえてきました。

「♪C. C. Lemon、C. C. Lemon」

 振り返るとちょっとラテンな感じの外国人が C. C. Lemon の CM ソングを歌ってました。本家チーターの歌う、こぶしの利いた演歌調じゃなくて、どこかアメリカン・ポピュラーな感じです。たとえて言うならビリー・ジョエルの歌うバラードのような歌い口。しかも英語ネイティヴなので発音が綺麗なこと。

「♪スィースィーレマンッ、スィースィーレマンッ」

 ビリーの歌う C. C. Lemon とは、なかなか珍しいものを聞かせてもらいました。
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2006年01月27日

元ネタが知りたいいくつかのフレーズ

 時々、「あ、これって何か元ネタがあるんだろうな」と思うことってありませんか? 妙にいろんなところで聞く言い回し、フレーズだったりするんですが、でも元はなんだろう? って思うようなモノ。でも常識だからなのか、それとも定着しすぎて元が忘れられたのか、誰もその元を説明してくれないという、そんな気になるフレーズたち。私にもいくつかあります。

 去年だったと思いますが、 "Fly Daddy Fly" という映画がありました。明らかにこれには元ネタがあるはずです。だって、Princess Princess が解散発表の際にリリースしたシングル曲のタイトルは "Fly Baby Fly" だもん。ただ、これは本当の元ネタじゃないような気がする。たとえばちょっと違うかも知れないけど、脚本家のクドカンがやっているバンド、グループ魂のアルバムの名前が "Run 魂 Run" だし。それとはさらにもう少し違うけど、同じ言葉を3回連呼するパターンもありますよね。たとえば X JAPAN のライブアルバムに "Live Live Live" ってのがあります。こういう ABA 型、AAA 型の表現の元ネタって何なのでしょう? 検索エンジンでは調べられないよなぁ……。

 それと他には "Power of Love" というフレーズ。最初に聞いたのが JUDY AND MARY の1枚目のシングルとなった曲ですけども、他にもいろいろと使われているみたいです。海外ではセリーヌ・ディオンの曲の名前にもなっているみたいですね。これもわかんない。で、こういうときはビートルズをよく疑ったりするんですけどね。彼ら、音楽界のシェイクスピアみたいなもんなんで。でも今回ははずれっポイ。

 あとは "No Music, No Life" も。きっと元は Cocco ではないと思う。ちなみにこれ関係では、どっかのデパートで "No Chocolate, No Life" っていうコピーを使った広告があってちょっと笑いました。

 他にもわかんないこといくつかありますが、とりあえず思い出せないのでこのくらいで。またあったら書いてみます。
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2006年01月13日

『全国一斉! 日本語テスト』やってみる?

 たまたま『ATOK presents 全国一斉! 日本語テスト』なるものを発見しました。2月28日までの期間限定です。この手のネットテストにしてはかなり良い出来でしたので、興味ある方はお試しあれ。選択式で30問ですから、すぐにできちゃいますよ。

 ちなみに私は75点でした。使い方は正確だけど、ボキャブラリをもっと磨いた方が良いそうです。かなり当たってるなー。私はお勉強で教養を磨くのが大嫌いで、何をするにしてもできるだけ要領の良いやり方ばかり模索する質です。なので、言葉の使い方の原則をきちっと適用するのは得意ですが、あまり興味のない中国文学だとか古典だとかを出典とする表現の知識は乏しいですからね。
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2005年12月25日

今年のサンタさんからのプレゼントはTOEICの結果

 メリークリスマスですね! このクリスマス、イエス・キリストの聖誕祭とされています。ところが昔読んだ小説で、「実はそれ以前にもこの日を祝う風習があり、それをキリスト教が取り込んだのだ」ということが書いてありました。これって、この小説の設定なんでしょうかね? それとも事実? ちなみにその小説は今はもう所有していないのではっきりとしたタイトルを覚えていません。確か、「クリスマス13の恐怖」だったかな? 短編集で、その中の1本にあったはずです。なにぶん高校時代に読んだんでうろ覚えなんだよなぁ……。

 さて、うちに帰ったらTOEICの結果が帰ってきていました。結果は「目標にはほど遠いけど、悲観するほどじゃない」といった微妙なラインでした。リスニングが325点(大の苦手と思っていたけど、ワシにしては上出来)、リーディング375点(ちんたらやってたのを差し引いても大失敗)の計700点です。730点からがBランクの「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。」なんだそうで、この辺りに目標を下方修正して次の試験がんばります。
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2005年11月27日

惨敗! TOEIC

 TOEICを受けてきました。惨敗です。原因ははっきりしています。本気を出さなかったから。いや、もちろん当日の試験は本気で受けましたよ。でも、勉強の質と量の両面に関して甘すぎました。来年の1月にもう1度受け直します。

 具体的に言うと、準備をせずに受験したということです。TOEICの試験は試験対策をちゃんとしておけと公式サイトにも書いてあったのに、何の準備もなく素で受けたのがまずかった。おかげで勉強すべきポイントを見誤っていたようです。2時間で200問もの問題を解くので、とにかく時間が足らない。ちなみに大学入試センター試験は80分で約50問ですから、一般に時間が足らないと言われているセンター試験の、さらに2倍以上のペースで解かなければなりません。私がセンター試験の英語を解く時はだいたい半分の40分をかけますが、それよりもさらに速いペースが必要だったようです。これは心構えができていませんでした。単語も文法も文章も比較的平易だったので、かなりスピードを重視した試験だな、と。終わってから知っても遅いよ……。

 終わった後、学生とおぼしき受験生が「今回は180問目まで解けた。これはうれしかった。」と言っていたのを耳にして、ギリギリながら完答できたのでまだマシかとも思いましたけどね。でも、学生と同じ土俵で話しちゃいかんわなぁ……。

 次回は無駄な単語の勉強はやめて、リスニングと速読だけトレーニングしよう、うん。
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2005年08月23日

セレブ?

 日本ではすっかり「金持ち」という意味になってしまった「セレブ」という言葉。おそらくはトホホとかキモいとか思っている人も多いと思います。

 でも、日本人の95%以上はきっとセレブだよね。私ゃあまりの低収入に耐えられず今の仕事をもうすぐ辞めますけど(8月はボーナスも支給されたけど、それと月給を合計しても同世代の給料に適わないくらいだもん)、それでもブルマンとかダージリンとか優雅に飲めちゃうもんね。ついでに言うと私、エリートですよ。だって(ショボいところだけど)大学出てるもん。あ、もしかしたら(同じくショボいとこだけど)大学院出てるから超エリートなのかも。

 今イチ、ピンと来んけど。
posted by Yosh at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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