2007年08月03日

【MLB シアトル】今期最大のピンチ?!かも・その3

 同地区対決第3弾はついに首位ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) が相手となります。ここまで2勝7敗という相性の悪さが現在の順位の最大の理由なのですが、これを覆さないことにはポストシーズン出場なんてあり得ないと言っていいでしょう。今季の残り10試合のうち、3試合が行われます。

【第1戦】○ SEA 2−0 LAA
 引き締まった試合で初戦を快勝で飾りました。今日のバティスタ先生はもう、大先生でした。高打率の選手がずらりと並ぶ打線を寄せ付けず、7回4安打無失点という今季のベストピッチを見せてくれました。ここ最近は決め球のシンキング・ファストボールがよく決まっていて、内容も良かったですし結果も出していましたが、それにしてもこの日は出来過ぎなくらいでした。実はチームの勝ち頭であり、これで11勝目(7敗)です。

 相手先発のケルビム・エスコバーもさすがの投球で、2失点7三振完投という堂々たる内容です。しかし、味方が無得点じゃ勝てませんよね。これも勝負のあやというヤツです。そのエスコバーから奪った2点は1点ずつコツコツと取りました。まずは3回裏、イチローがトリプルを放つと、即座に2番ヴィドロが還し1点を奪います。その後はあまりチャンスも作れず、そしてその数少ないチャンスもなかなか活かせなかったのですが、7回裏にようやく得点に結びつきました。不調の7番城島(またですか)がシングルで出塁し、9番ベタンコートがつないで1・2塁とすると、イチローがファーストゴロ……と思いきや打球がイレギュラーし、ライト前へのラッキーなシングルとなります。これで城島が還って追加点となりました。

 この数少ない得点を、7回までの先生に引き続いて、8回モロー、9回プッツが抑えてゲームセットです。ここ最近モローが復調していて、またセットアップでの起用が増えそうです。というのも、セットアップを務めながら、先日から期待に応えられていないリーツマがみたび故障したのです。今回は手術になるようですね。キャリアのあるベテランとはいえ年齢はまだ29歳なのですが、その肘はボロボロみたいです。そういう意味では気の毒なんですが。故障前までに見せていたタフネスぶりを期待しての獲得だっただけに、相当な見込み違いをバベジ GM はやらかしていたわけです。ま、それもいつものことですけどね。おっと、代わりに左腕の新人ローランドスミスが再昇格です。

 イチローは4の3です。2つの得点両方に絡み、打のヒーローとなりました。

【第2戦】× SEA 0−8 LAA
 1つも落とせないはずの大事なゲームをいとも簡単に落としてしまいました。仕方がないです。先発が予定されていたウィーバー(背中にファスナーつき)から、ウィーバー(本物)に変更になったからです。勝てるわけがない……。

 しかも相手の先発ジョン・ラッキーが完璧な出来だったので、得点も奪えません。それでもイチローがバントヒットと盗塁などで意地を見せましたけど。こういうプレイは大事だと思います。ただ、その(大差がついたのにちょこまかとかき回した)せいか、ギーエンがブラッシュ・ボールを投げられたようですけどね。大差で勝っているチームのやることではなく、許し難い非紳士的行為に思います。まあしかし、仕返しは翌日、暴力ではなく野球の技術でやっていただきたいものです。

 イチローはバントヒット1本で、3の1です。盗塁1も決めています。

 この日で、ちょうどトレード・デッドラインが終了です。マイナーにいたフリオ・マテオが放出された(交換相手はフィラデルフィア・フィリーズのマイナーリーガー、ヘスス・マーチャン遊撃手)以外は、特に動きなしでした。今年に関してはチーム内でも、ファンの中でも、今のチームを壊したくないというのと、期待の若手を放出したくないというのとで、トレード反対論が多数派でしたが、そちらの意見が通ったようです。

【第3戦】○ SEA 8−7 LAA
 大変危険なゲームでした。いろいろな意味で、この試合を落とすとおそらくは立ち直れないところだったと思います。非常に大きな、大きな1勝となりました。どういう意味かって? こういうことです。

 先発はフィリックス・ヘルナンデスでした。途中、失投もありましたが気迫のこもった、そして勝負強いピッチングで8回を投げ抜きます。特に、4回には守備中にファーストのベン・ブルサードと衝突してしまい、しばらく起きあがれなかった(その間に点を取られるという不幸もありました)のですが、そんな状態から立ち上がって投球を続けています。7回、数少ない失投、高めに抜けたチェンジアップをギャレット・アンダーソンに痛打され、2ランホームランを打たれて計4点を失いましたが、8回までリードを守り抜いたのが非常に大きかったです。

 打線の方もよくつながっています。早い回から相手先発のジェレッド・ウィーバー(こちらのウィーバーの弟です)をお得意のつなぎの野球で攻略し、序盤で5点を奪います。さらに7回、8回にも、積極走塁を活かしつつ、うまくつないで1点ずつを取り、3点差で9回表を迎えました。さあ、J. J. プッツの登場で試合終了という雰囲気です。

 が、この日は少し何かが違いました。たとえば8回、2点差でリードしているにもかかわらず、相手側からクローザーのフランシスコ・ロドリゲス(K-Rod)が登場していたことです。調整登板かなとも思うのですが、しかし2点差ならばあわよくば……というあちらのマイク・ソーシア監督の意図もあったのかもしれません。そして、その「あわよくば」は、ソーシア監督にとって往々にして無根拠なものではないのです。

 プッツの出来は、今季最悪だったかもしれません。ボールが荒れて仕方がありません。最初は「8回にイチローが1点取ってくれてよかった」と思って見ていました。1〜2点は取られても仕方がないような様子だったからです。しかし、そんな生やさしいものではありませんでした。おそらく、LAA 打線はプッツの研究を相当していたと思われます。単にプッツの調子が悪いだけでなく、相手打線がしっかり攻略してきます。結果、ゲイリー・マシューズ Jr. の2ランホームランなどでまさかの同点に追いつかれてしまいました。これは単に打たれただけとは意味が違います。今後の優勝争いを見据えた上で、無敵だったはずのプッツが3点を奪われて同点にされたというのは計り知れないダメージとなってしまいました。

 この試合、SEA にとっては絶対に落とせない試合です。一方の LAA は、この試合を落としたとしても、そこまで大きなダメージではありません。にもかかわらず、警戒心と闘争心をむき出しに襲いかかってきます。前日の遺恨もあるのかもしれませんが、やはり優勝を狙う上で要注意チームであると意識されているということでしょう。勢いに乗ると強い SEA の勢いを少しでも止めるべく全力を尽くしてきます。8〜9回を K-Rod が、同点となった10〜11回はセットアップのシールズが登場し、盤石の体勢です。10回裏には1アウト3塁、俊足のブルームクィストが塁に出ているという、これ以上はないサヨナラのチャンスを迎えましたが、ロペスがスーサイド・スクイーズを空振りして失敗してしまいます。若い選手にとって、こういう大きな場面でのミスは今後に響きかねません。ここでロペスにも傷を残してしまいました。

 10回表以降のこちらの継投は、毎度おなじみの、しかしこんな状況では心臓に悪いのであまり見たくないパターンとなりました。まずはショーン・グリーンが1アウト1・3塁という大ピンチを迎えると、キャッチャーフライとセカンドゴロ(ロペスの好守)でなんとか切り抜けます。11回表、左の並ぶ打線にシェリルが登板し、1アウト2塁としたところで、次の打者を敬遠し降板。モローにつなぎます。そのモローが四球を出して満塁にするものだから、もう大変です。しかしここは次打者を三振に打ち取ると、さらにその次もセカンドゴロに仕留め、事なきを得ます。12回表もモローが続投し、2アウト1塁という場面で降板すると、オフラハティが次打者のギャレット・アンダーソンを切って取ります。再三のピンチを何とか無得点で切り抜け、12回の裏を迎えることができました。

 この回からマウンドに上がるのは2人目のセットアップ、ジャスティン・スパイアーです。先頭のベルトレイがしぶとくショート内野安打で出塁すると、続くセクソンは三振。次のバークが死球で出塁すると、ここで先ほど痛いスクイーズ失敗をしたロペスが打席に立ちます。ロペスは高くバウンドするサードへのゴロを打ち、内野安打とします。そして打席には最近好調のベタンコートです。1アウト満塁。もちろんサヨナラのチャンスです。

 この試合でチームは傷だらけです。衝突事故をおしてまで8回を投げきりながら勝利につながらなかったエースのヘルナンデス、まさかのセーブ失敗をしてしまったクローザーのプッツ、サヨナラのチャンスを潰してしまったロペス、そして再三のピンチを耐え抜いたリリーフ陣と、それをもり立てた守備陣。みんなボロボロです。それでも、この試合に勝ちさえすればすべては癒されます。どんな形でもいい。1点をもぎ取ってほしい。そんなチーム全体の、セーフコ・フィールド全体の期待にキューバ出身の若手が応えました。三遊間を速い打球が駆け抜け、レフトに転がります。延長12回裏、見事なサヨナラ勝ちを収めました。

 この試合に負けていたら、チームは計り知れないダメージを負っていたことでしょう。首の皮一枚つながりました。そして、この崖っぷちからの勝利が今後の勢いにつながることを祈っています。

 イチローは6の4です。随所随所で攻守にわたって活躍しています。イチローの存在の大きさをこの試合で再確認しました。単なる数字だけじゃないんですよね。イチローが塁に出てくれさえすれば、とか、イチローに打席を回しさえすれば、という気持ちで打席に臨めるのは大きいと思います。まあもちろん数字自体も立派ですけどね。ここまでの打率を.351とし、首位打者争いで再び単独首位に躍り出ています。守備では久々にイチロー−城島のホットラインが見られました。センターフライを捕球すると、犠牲フライを狙った3塁ランナーのヴラディミール・ゲレーロをストライク送球で刺しています。城島も足にスライディングを受け、転倒させられながらもしっかりボールを握りしめていたのはさすがでした。



 首位 LAA との死闘が終わりました。2勝1敗で勝ち越せはしたものの、厳しい状況には変わりありません。以前、同地区対決11連戦を勝ち越せるかどうかが大きなポイントだということを書きましたが、結果は5勝6敗で負け越しているからです。まあそのうち4敗した相手が最下位テキサスだったので、完全に夢断たれたというわけではないのが不幸中の幸いですが。西地区の順位は変動ありません。LAA と3ゲーム差の2位につけています。3位オークランドとは9ゲーム差をつけています。ワイルドカード争いではクリーブランド・インディアンズに次ぐ2位につけていて、ゲーム差0.5と最接近しています。ただしニューヨーク・ヤンキーズに1.5ゲーム差で後をつけられているのが不安材料です。百戦錬磨のヤンキーどもは、シーズン終盤やポストシーズンでの戦い方をよく知っていますから、できれば争いたくない(勝手に落ちていってほしい)相手なんですよね。

 さて、試合は1日お休みです。8月はこれから3連戦、9連戦、そして月をまたぐ20連戦と続いていきます。まずは最初の3連戦ですが、セーフコ・フィールドでアメリカンリーグ東地区で首位をひた走るボストン・レッドソックスを迎えます。相手先発ですが、初戦はがんを克服し復帰してきたレスター、2戦目は松坂、3戦目はベテランエースのシリングが予定されています。こちらはラミレス、ウォシュバーン、バティスタとなります。なお、このシリーズから期待の若手アダム・ジョーンズが昇格し、ジェイソン・エリスンが外れる(たぶんオプションが残っていないので DFA になると思う)ことになります。ジョーンズ、すでに AAA では3割越え、ホームランも30本近く打っていますので、上での活躍が大変楽しみです。
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