2006年05月02日

故人の名誉――hide の命日に寄せて

 1998年の今日は、X JAPAN(世間的には「元」X JAPAN)のギタリスト hide の亡くなった日です。8年もの歳月が経ってしまいました。この間、私はずっとやるべきと思っていたことをできずにいました。今日はそれをするためにキーボードを叩きます。それは、故人 hide の名誉を少しでも回復することです。

 まず、当時を覚えている方は、彼の死因が自殺であったという報道がされたことをご存じかと思います。これはもともと警察の発表によるもので、それをマスコミがそのまま流した形です。しかしこれは恐らく嘘です。少なくとも、自殺であるという証拠のないまま、いい加減な捜査による結論であることは間違いありません。

 今さら、死んでしまった人のことをなぜ言う必要があるのか。必要ないと思う人はそれでも構いません。しかし、今でもこのような誤解をしてそれで苦しんでいる人はたくさんいます。ならばそんな人をひとりでも救えれば、hide もきっと少しは喜んでくれるに違いありません。


 さて、検証していきましょう。

1. 現場の状況について
 hide は泥酔している中、ドアノブに掛けたタオルに首がかかり、座った状態で窒息したと発表されています。この状況だけを持ってして警察は自殺だと断定しました。しかし、実の弟でありマネージャーでもあった松本裕士さんは「肩こり対策のための“牽引”中の事故だった」と主張しています。また、取り調べの中で警察に「あなたが自殺と認めないと、第一発見者に迷惑がかかる」と言われたことも、著書『兄弟』の中で公開しています。これは明らかに都合の良い証言を強要していますよね。

2. “自殺”の動機について
 当時のテレビで、浅野八郎といういかにも専門家のような(その内実はただの素人で、別の番組では「占いに詳しい」などと紹介されていた)人物が、“深層心理”とやらを分析していました。新曲『ピンクスパイダー』に動機のヒントがあるという内容ですが、これは生前のこの曲についてのインタビューと照らし合わせるととてつもない解釈の差があることがわかりました。結局、その動機のヒントになるようなものすら誰も出せていません。

 逆に、hide は新アルバムやツアーなどについて、死の直前まで饒舌に語っており、まさにアーティストとして脂ののった時期でした。むしろ、音楽活動をバリバリ続けたいという方のメッセージならたくさん発していました。

3. 人間性について
 hide は別に何もかもが完璧な人間という訳ではありませんが、しかし大人の気配りのできる人間であったことは数多くのエピソードで明らかになっています。たとえばあるバンドのメンバーが麻薬で逮捕されたときには残されたバンドメンバーの怒りをおもんばかり、反省を促すメッセージを出しています。あるいは急性骨髄性白血病に罹った少女の闘病に親身になったことは有名です。自分が自殺をすることによる影響がどんなものなのかを考えられないような人物ではありません。仮に、鬱病(認知障害による自殺念慮が症状として表れる)に罹っていたなら話は別なのですが。では、次はその点を見ていきましょう。

4. 鬱について
 以前にも書きましたが、自殺と鬱病には極めて強い関連性があります。hide の活動水準は極めて高いレベルで保たれており、どうひっくり返しても鬱病に罹っていたとは考えられません。多少なりと心理学を学んできた私には、これが自殺を否定する決定的根拠に思えます。

5. もし万一自殺だとしたら……
 それでも万一自殺の可能性はないのかと言われれば、それは残念ながら完全には否定できません。たとえば、酔いにより気持ちが通常の状態とは異なってしまっていて、突発的に自殺を試みたり、あるいは悪ふざけ的にやってみたということは全くあり得ないとは言えないかも知れません。ただ、だとすれば1.で説明したような方法を採るだろうかという大きな疑問が残ります。

6. 後日のマスコミの対応
 この事件以来、自殺、特に有名人の自殺の報道が減っていることにお気づきでしょうか? これは遅まきながら、この事件を機に「はっきりと自殺とは言えない件は、自殺とは明言しない」というごく当たり前のことが行われるようになったからです。たとえば、Raphael のリーダー、華月さんは2000年に鎮静剤の大量摂取により亡くなっています。この時マスコミは死亡したこと、そして死因に事件性がないことだけを伝えました。もちろん自殺であろうと思われるケースでは自殺と発表しています(例:ポール牧さん)ので、別に単に「臭いものに蓋をする」対応をしている訳ではありません。

 この逸話は逆説的に、警察が自殺と発表したことに対し、そしてマスコミがそれをそのまま垂れ流して報道したことに対し、失敗であったことを認めている証拠です。



 以上は、hide の死が自殺である可能性が極めて低いと考えられる主な6つの論拠です。本当はまだまだあるのですが、恐らくこれだけ挙げれば、少なくとも警察の発表とマスコミの報道を鵜呑みにできないことについては納得いただけるものと信じています。そして、当時のファンとして深く傷ついた人がひとりでも、少しでも救われることを願っています。
posted by Yosh at 06:50| Comment(24) | TrackBack(0) | こだわり! 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あー、あったよねぇ。
「ピンクスパイダー」と「ever free」の歌詞をフリップにして変な解説してる番組。
いくつか見た憶えが…。アホくさいよね。

しかし8年かぁ。
彼が逝った時の年齢に追いついてしまいそう…。
Posted by 小川 at 2006年05月02日 07:03
 私はそういう面では執念深いので、故人の名誉を不当に穢した浅野の名前を忘れません。まあもっとも、この人はもともと心理学なんか学んだこともないのに心理学“風”の本を出したり、“専門家”としてテレビに登場したりしていたので、以前から要注意人物としてマークしていたのは確かですが。

 結論については、まあ露出がないためそんなに大人数じゃないけれども、それでもその音楽だけではなく人柄の魅力で新しい中高生のファンを掴み続けているという事実が全てを語ってくれていると思います。
Posted by Yosh at 2006年05月02日 14:31
hideさんが亡くなって8年・・・・・私はそのころ小学生でしたね〜
私は今中学生ですが、hideさんのことがダイスキです。

何年経ってもhideさんは人気絶大です!!
hideさんは永遠に皆さんの心の中で生きていると思います!

私ゎ永遠に忘れません・・・・・。
Posted by シェルク at 2006年05月07日 14:34
 コメントありがとうございます。今でもシェルクさんのような若い世代に支持されているということは、やはりとてつもなくすごいことですね。10年経って大人になられてから曲を聴いても、きっと好きなままだと思いますよ。
Posted by Yosh at 2006年05月08日 22:15
俺は今でもhideが生きてるって信じてます・・・     だって、今でも1番好きなアーティストですから・・・  もちろんこれからも・・・
Posted by 和歌山人 at 2006年05月13日 01:17
 和歌山人さんこんにちは。コメントありがとうございます。

 確かに今でも、渋谷か新宿辺りで突然 "Doubt" が流れて、白い幕を破って hide が登場……なんてパフォーマンスが見られるんじゃないかという気がしてなりません。「全部ジョークだったんだよ、騙しててゴメンね」みたいな感じで。
Posted by Yosh at 2006年05月13日 03:28
hideは永遠だ!

メイクアウィッシュとゆうボランティア団体のところに行って、hideのことたくさんお話してくれました。

涙がいっぱいこぼれる
Posted by ロッケー at 2006年05月13日 18:17
 こんにちは。お返事が遅くなりました。

 ボランティアといえば骨髄バンクの報道があって、勝手に記者会見をセッティングされた時に、その記者会見はそつなくこなしたけども、舞台裏で「これじゃまるで売名行為じゃねーか」と怒り狂ったというエピソードもありますね。
Posted by Yosh at 2006年05月16日 17:35
このページを作ってくれた人に深く感謝します。
私はhideが大好きでしかたがなくて、自殺と聞いたときは
かなりショックを受けてずっとおちこんでしまいhideのCDを聞くたび涙がとまりませんでした。だからこそ真実をしった今はとても落ち着いた気持ちです。詳しい説明をありがとうございました。
Posted by りさ at 2006年05月20日 19:44
 りささんこんにちは。そう言っていただけたなら、書いた甲斐がありました。

 当時からのファンの方からのコメントは本当にうれしいです。昔知り合った仲間とはずいぶん縁遠くなってしまったので。
Posted by Yosh at 2006年05月20日 20:53
hideはファンへの裏切りを凄く嫌がる人だったと弟さんの本にも書いてあったし、私もそう信じています。
だから彼が自殺をしたなんて信じられません。
今でもhideの曲が大好きで・・・
hideの事が大好きです。
Posted by なみ at 2006年05月21日 00:18
 なみさんこんにちは。

 あまり深い事情を知らないまま今に至った方にとっては、「信じる」といっても「無理矢理信じ込む」になっていたんじゃないかと思います。それってやっぱり辛いですよね。今回の記事で「自然に信じられる」と感じられるようになった方が増えてくれたら本当にうれしいです。

 昔のファンであれば、昔と同じような気持ちで CD を聴いたり、ビデオを見たりできるようになってもらえればと願っています。
Posted by Yosh at 2006年05月21日 04:05
当時、2歳だった私の子供も10歳・・親子で未だ大ファンです。そして、今年生まれた子供に、「秀人・しゅうと」と命名しました。 そして私は頚椎椎間板(首)ヘルニアで、肩こりが酷いのでヒデが牽引をしていたのも気持ちが良く分かります。運悪く起きてしまった事故だと信じてます。今でも、ヒデは私たちの心に生きてます。でも、何よりコワイのは、あと数年でヒデの当時の年齢をこえてしまう自分かなぁ・・。
Posted by しゅうと at 2006年05月22日 17:46
 しゅうとさんこんにちは。しゅうとさんは私と近い世代ですね。もちろんどんな方に記事を読んでいただくのもうれしいのですが、年の近いファンの方に読んでいただくのは、また別のうれしさがあります。

 しかし、親子でファンというのは良いですね。次の世代に語り継いでいきましょう。まあ無理に押しつけなくても聴く機会さえあればファンになる人はたくさんいると思いますけど。
Posted by Yosh at 2006年05月23日 03:24
はじめまして。8年も前の事なんですね。そんなに前の事だという感じはしないけれど、あの時の事は、ぼんやりとしか思い出せなくて・・・当時中学1年生だった私は、あの知らせを兄のポケベルのニュースで知りました…
すぐに姉に電話し、姉の声から、姉は既に知っている。ということがわかりました。2週間近く学校へ行かずに
引きこもっていました。あれから8年、hideに出会って
12年かぁ…変わらず私にはhideが必要です。

おっと!宿題の途中だった!実は明日クラスで自分の国の有名な人についてプレゼンテーションをするんです♪
もちろんhide。私の学校はロサンゼルスなので、zilchの事も紹介しようと思ってます。頑張らな!
Posted by SALLY at 2006年05月25日 06:14
 SALLY さんこんにちは。もしかしたら宿題の調査中にこちらにたどり着いたのでしょうか? 多少なりとお役に立てれば幸いです。

 SALLY さんの役割は重要ですよ。なんせこれがきっかけでファンが増えるかもしれないんですから。がんばって大役を務めてきてください。
Posted by Yosh at 2006年05月25日 08:48
はじめまして。俺は正直、と言うよりつい最近までhideのことは知りませんでした。Xもあまり詳しくはなかったです。事の発端は友人から薦められて見た「紅」の映像でした。ギターがすごいと言われて半信半疑でで見たのですが、あまりのすごさに圧巻してしまいました。hideの自殺についてはニュースで知っていたのですが、これほどの逸材が亡くなられると本当に悔しいです。正直、事故であると信じています。知って間もない人でも共感出来る人はそうは居ないと思います。一足遅く、Xのこともhideの事もあまり知らない自分ですが、hideが本当に大好きです。長々と書いてしまいましたが、hideは皆の心の中で生きていると思います。

もしかしたらhideの演奏を聞ける日が来ると信じています。
Posted by X at 2006年09月19日 20:53
 コメントありがとうございます。

 こうして長い月日がたっても、人の心を掴み続ける hide という人はすごいですね。今でも手に入る CD や DVD などはたくさんありますから、少しずつでもぜひ聞いてみてください。
Posted by Yosh at 2006年09月19日 21:28
来年の5月2日が来たら、hideの9回忌・・。
なんかすごい切ないです・・(><)あの衝撃的な死からはやいものでもう9年もの月日が経ってしまいました。未だにhideが死んじゃったことが信じられなくて受け入れられない自分が悲しい。あんなに優しくて、がんばりやさんのhideがなんで「自殺」なんて・・?
でも、生前あんなにファン思いのhideだったから、もし自殺するなら遺書を残すはず。それがなかったってことは、報道のとき散々伝えられてた「自殺」じゃなくて、やっぱりただの「事故」。絶対そうだと思う。そうだと思うからこそ、残念だなぁって思う。まさにこれからの人だったから。けど、いつまでもhideの死を哀しんで立ち止まってはいられない。たとえこの先10年、20年経っても、未だにhideの音楽を毎日のように聞いてるし、命日の日には空に向かってお祈りを忘れない!
hideはもういないけど、hideの残した音楽や思いではずーっと永遠に消えない。

Posted by アヤ at 2006年12月27日 00:00
 少し古い記事ですが、それでもコメントありがとうございます。きっとみんな同じ思いを共有していると思いますよ。
Posted by Yosh at 2006年12月28日 22:10
しかし警察ってな、大変だねえと思うよ。

死体や現場を見ているし、こういう自殺の事例を何百と経験しており、利害も無いし、まさに客観的に見て、合理的な判断をしていても、現場や死体を見てもいないド素人から、都合いい答えを出さなければいい加減扱いされるんだから。


まあ、自分の好きな理由で自分を騙せばいいよ
Posted by ひま at 2013年06月23日 14:13
hideさんがソロ活動されて2013年の今年で20周年、
亡くなられて15年ですね....。
NHKの夜のニュースで、hideさんの訃報を知りました。自殺と報じておりましたが....私はhideさんが自殺するような方だとは思えませんでした。音楽に対しても精力的に前向きにこなしていたのに、自殺する意味なんて....と思っていました。hideさんを愛して止まない人を思うなら、こんな悲しい報道は有り得ない...と思ってしまいます。
警察の曖昧で矛盾すぎる捜査、よく調べもしないくせに勝手に自殺と決め付けて、メディアなどでもおおやけに報じる...誰も好き好んで死を選択するわけないのに...あまりにも酷すぎる扱い、今でもあの当時の報道は忘れることができずにいます。印象的に残っている難病と必死に闘う一人の少女とhideさんの少女に対する思い遣りと一緒に向き合う姿、「がんばんだぞ」と少女を励ましたhideさんの優しき言葉にはぐっときました。
必死に病気と闘う少女と対面し励ます姿勢を観た時、鳥肌が立ち、hideさんを益々大好きになり、hideさんをの凄さを感じました。
普通のアーティストや芸能人なら有り得ないこと、忙しさにも関わらず、会って励ますそのhideさんの思い遣り溢れる行動力の凄さ、嘘や偽りのないhideさんの精一杯の優しき行動、困っている人を助けてあげたい、励ましたい...という想い、本当に人として尊敬いたしました。

そんな優しきhideさんの早すぎた死、 15年経っても、その死を受け入れることができずにいます。33歳は若すぎます...。
亡くなられた後から暫くhideさんの曲が聴けませんでした...。歌声を聴くだけ辛くて涙が出てしまって....。

でも、hideさんが大切に作ってくれた大切な音楽を愛して聴かなくて、大切に聴いていきたいし、忘れてはいけないし、忘れたくはないし...
この世にhideさんという素晴らしい人と、hideさんの音楽は忘れ去られることないように、皆さんの心にも大切に生きていて欲しいと願っています。
hideさんのどんどん新しく進化していく音楽を楽しみしながら、歳を重ねても綺麗さやかっこいいhideさんを感じながら、この時代をともに生きていきたかった...と思って止みません...。

hideさんに出会う事ができて今でも感謝しています。

優しさを分けてくれて有難う...hideさん。
Posted by hiropon at 2013年08月07日 01:36
ひまさんへ
2013年に書かれたコメントに対し2019年になってから答えます。実はチェックはしていたのですが、あまりに愚かすぎて相手にする必要ないかなと感じていました。
が、やはり一応答えましょう。
警察および検察は、この件に限らず時に非常に恣意的に捜査を進めることがあります。例えば、最近話題になっているこれ。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000161069.html

こういう現実に加えて、基本的に民主主義国家では権力の暴走を防ぎ自らの人権を守るために、権力機構を監視しておく責務があります。
これは中学校でも習うことで、つまりは大人なら当然身に着けておかなければならない基本の考え方です。
だから、「警察はプロだから」なんてのはバカの考え方なんです。

厳しいようですがあえて言います。あなたはバカです。
Posted by Yosh at 2019年08月02日 02:11
もう一つひまさんへ。

論理思考においてもあなたはバカです。
なぜなら、具体例を出しているのだから、具体的に反証可能なのだから、そういうやり方で初めて反論できたことになるのです。
空虚な一般論では何も主張したことにはならず、したがってまったく反論になっていないんですね。
Posted by Yosh at 2019年08月02日 02:14
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