2006年04月19日

予知夢の科学

 「予知夢」と呼ばれる現象があります。これは、夢で見たことを現実にも体験するというものです。オカルトっぽい話ですが、同時にロマンティックな話でもあり、不思議な現象として取りだたされます。では、なぜこんな現象が起こるのでしょうか?

 実は予知夢は、ごく簡単に科学的な解釈が可能です。考えられる原因は非常に数多くあります。まず、もっとも単純なのが報告者の嘘や思いこみに類するものです。次に、夢の性質を考えたら予知夢のような現象が起きうるのは当たり前という理由もあります。「嘘」については説明は不要でしょう。ですから、残りの2つの理由について簡単に説明したいと思います。

 「思いこみ」というのは、夢で見た「つもりになる」ということです。人間の記憶は大変当てになりません。時間が経つごとに、どんどん薄れていくだけでなく、変形もします。記憶が変質するのは、人間は物事をそのまま写真のように認識するのではなく、大ざっぱに認識するのが得意だからです(記憶の話とは少しずれますが、この大ざっぱな人間の性質は以前書いた「基本的帰属錯誤」「カクテルパーティ効果」が良い例でしょう)。ましてや夢のこととなると、目覚めた瞬間にもう忘れてしまっていることもよくあります。そんな風に当てにならない記憶、これが、予知夢の原因のひとつとして挙げられるでしょう。この点をもう少しつっこんで説明するため、「既視感」という概念を説明しましょう。

 既視感、いわゆるデジャ・ヴュという言葉を聞かれたことがあると思います。初めて見るはずの光景なのに、以前見たことがあるような気がするという現象ですね。この現象、すでに科学的に説明がなされています。それによると、既視感は以前見た別の光景に部分的に重なるところがあり、それが記憶のあいまいさと重なって「見たことがある」と錯覚する現象であることが知られています。あるいは「以前」というのが実は数秒前の話(つまり本当に単に初めて見た光景)で、それなのに昔見たかのように錯覚しただけという説もあります。ですから予知夢というのは、「あ。これ前に見た!」の代わりに「あ。これ夢で見た!」という既視感の変形である可能性があります。

 予知夢が発生するもうひとつの理由は、夢の性質によるものです。脳科学の発達により、夢はかつて精神分析学者たちが主張していたような無意識の投影ではなく(つまり夢分析は非科学的なものです)、脳に蓄えられた知識や記憶などをまとめて入れ込んだ闇鍋のようなものであることが知られています。別の例えをすると未編集の映画のフィルムを適当につなぎ合わせたものとも言えるでしょう。また、人はたいていの場合毎日眠り、そして覚えているかいないかにかかわらず眠っているときには必ず夢を見ます(夢を見ないという人もいますが、それは単に覚えていないだけです)。さらに、かつては夢を見ている時間と見ていない時間があるとされていましたが、これも研究によれば「実際には絶えず夢を見続けているのではないか」という説も出てきています。

 さて、今世界の人口は65億人を超えています。亡くなられた人を含むと何人になるかわかりません。そんなたくさんの人が、毎日寝る度に夢を見ます。単位は億なのか兆なのか、それ以上なのかもわかりませんが、それだけたくさんの時間、人は夢を見ているのです。その中で偶然現実とクロスオーバーすることがあるのってちっともおかしなことではないですよね。むしろ現実に全くかすりさえしない方が気持ち悪いくらいで。

 ましてや人間はかなり大ざっぱなので、ちょっとかすっただけでも「予知夢だ」と感じる人も多くいることでしょう。たとえば、
  • 災害後にたくましく暮らしていく夢を見たら、現実で震度4の地震が起きた
  • 好きな歌手のライブに行く夢を見たら、現実でその歌手の新しい CD が発売されることが発表された
  • ペットが逃げていく夢を見たら、2週間後にそのペットが死んでしまった
    などなど。ここまで範囲を広げると、ヒット率はかなり高くなることでしょう。

     予知夢はこれらの原因で十分に説明可能です。無理矢理オカルト現象にこじつける必要はないと言って良いでしょう。
  • posted by Yosh at 09:46| Comment(1) | TrackBack(0) | つまみ食い心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
    この記事へのコメント
    おまえ頭悪すぎw
    Posted by 天才 at 2015年05月17日 03:12
    コメントを書く
    お名前: [必須入力]

    メールアドレス:

    ホームページアドレス:

    コメント: [必須入力]

    認証コード: [必須入力]


    ※画像の中の文字を半角で入力してください。

    この記事へのトラックバック
    ×

    この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。