20連戦の7〜10試合目はテキサス・レインジャーズ (TEX) との4連戦です。チームはすでに優勝争いからは脱落していますが、舞台が打者有利の球場ですし、若手の起用も多くなってきていますから、いろいろな点で何が起こるかわからない恐さがあります。特に、TEX は22日、ダブルヘッダーの1試合目に30得点を上げています。厄介なチームと当たります。
戦評の前に異動のニュースを。AAA タコマ・レイニアーズから昇格がありました。リック・ホワイトというベテラン右腕です。知らない選手なのでざっと調べてみたら、12シーズンで11球団を渡り歩いたジャーニー・マンのようですね。ちなみに大ベテラン左腕のデイヴィッド・ウェルズに顔がよく似ていることでも知られているそうです。替わりに、先日獲得したばかりのジョン・パリッシュがアクティヴ・ロスターから外れることになりました。全然戦力にならなかったので当然でしょう。なぜ獲得したのかさっぱりわかりません。若手を無駄に出しただけです。ただし、パリッシュは意外にもまだオプションが残っている(本人の同意なしにマイナーに落とせるという意味です)ので、クビにならずに下に落ちました。
【第1戦】○ SEA 9−4 TEX
まず初戦を取りました。絶好調のテキサス打線を計4失点に押さえ込むことに成功しました。先発はウィーバー(背中にファスナーつき)で、この日は少しだけピリッとしませんでしたが、それでも6回を3失点と十分なクオリティスタートで、6勝目を挙げています。
しかしこの試合はむしろ打線に注目した方が良さそうです。2回に城島のシングルで先制し、先日の4連敗のイメージを払拭すると、3−1とリードを許したあとの6回表、突然打線が大爆発しました。ギーエンのソロホームランと、ここ最近不調だったロペスのシングルで同点に追いつき、さらに満塁のチャンスでイチローを打席に迎えます。そして満塁にめっぽう強いイチローが期待に応えてセンターの頭を越える3ランダブルを放ちました。さらに続くヴィドロが2ランホームランを放ち、一挙7点を奪って試合を決しています。最終的には15安打9得点となりましたから、打線は好調キープですね。先発全員安打を記録しています。
その後はオフラハティ、グリーン、プッツとつなぎ、好打者マイケル・ヤングのシングルで1点を奪われるものの大勢に影響なく試合が終わっています。ちなみにプッツは登板間隔が開いたから調整登板に出てきたのだと思います。
イチローは5の3でした。3打点を挙げたダブルは、イチローにしては少し珍しいフライボールによるものでした。同点で迎えた2アウト満塁のケースでしたから、外野が前進気味に守っていたのを見て狙ったのでしょうね。
【第2戦】○ SEA 4−2 TEX
連勝です。よく勝てたなという印象の試合でした。というのも、相手先発のベテラン右腕ケヴィン・ミルウッドにかなりしてやられたからです。シアトル打線はミルウッドのテクニックを前に、再三チャンスを作りながら凡退を繰り返していきます。その老かいな投球を前に、奪えた点は6回までに2点のみでした。それでも好調ギーエンのソロホームラン、そしてイチローのシングルで先制し、試合を有利に進めます。
こちらの先発はキングです。エースのフィリックス・ヘルナンデスが素晴らしい投球を見せてくれます。……が、またしても同じことの繰り返しです。客観的に見て、6回を2失点7奪三振というのは確かに素晴らしい内容です。しかし、なかなか点を奪えない状況で、同点に追いつかれる2ランホームランを相手の若手選手マーフィーに打たれてはいけません。いろいろと油断があったと思います。
それでも7回表、イチローの技ありのショート内野安打をきっかけにギーエンがシングルで1点を奪うことに成功します。このラッキーなタイミングでの勝ち越しのおかげで、ヘルナンデスは今季10勝目を挙げることになったのですが、それはまあ別の話。
この1点差を7〜8回はシェリルとモローで守りきりました。7回には2アウト2塁、8回には1アウト3塁というピンチも迎えたのですが、2人ともよく踏ん張りましたね。9回表にヴィドロがだめ押しの1点を奪うと、もう勝ちは決まりです。その裏 J. J. プッツが登場してあっさりと3人で締めてしまいました。リーグ単独トップとなる37セーブ目です。
ただ、結局ミルウッドに完投に近いペースで投げられてしまいました。2番手フランシスコは6球しか投げていないですからね。ミルウッドのペースに飲まれて早打ちせずに、もう少し見ていっても良かったのかもしれません。もう2戦続くことを考えると、もっとリリーフを引っ張り出しておきたいところでしたからね。
イチローはこの日も5の3でした。うち2つがショートのマイケル・ヤング(かつてイチローが“ライバル”と称した好打者)へのインフィールド・シングルです。ヤングは守備や肩も良く、プレイに確実性がありますので、彼から内野安打を奪うのも簡単ではないのですが、テキサス戦ではなぜかイチローのショート内野安打をよく見る気がします。わざとやってるのかなと思うときすらあります。(今回に関しては「わざとじゃない」と否定していましたけどね。)ちなみにヤングの方も、イチローの守る方向に打球が飛ぶのをよく見る気がします。
【第3戦】× SEA 3−5 TEX
拙攻と守備の乱れでの敗戦となりました。先発のホラシオ・ラミレスがこの日は非常に調子が良かったので、余計にもったいなかったですね。
序盤は優位に進めます。2回と3回に1点ずつ、そして5回表にも1点を取ります。実際にはかなりチャンスを作っていて、これまでの調子ならもっともっと点が取れている展開でした。しかし、この日は今イチ打線がつながりません。まあ先日も書いたように打線がつながるかどうかは運の要素も大きいと思うので、そんな日もあるのは仕方がありませんけどね。
そうするうち、5回裏ランナー1塁のケースでサードのベルトレイが痛恨の送球エラーです。その直後、キンスラーが同点となる3ランホームランをレフトスタンドにたたき込みました。試合は振り出しです。
7回裏にも同じくエラーでの失点となりました。やはりランナー1塁のケースでベルトレイが悪送球。今度はそのままランナーの生還を許し、しかも3塁まで進まれてしまいます。そしてスーサイド・スクイーズまで決められてしまい、この回計2点を奪われました。
正直、この程度のことはよくあるので、あまりベルトレイを責めるわけにもいきません。普段はむしろ堅守で支えてくれていますし。しいて言うなら、それをフォローできなかった打線の方に原因があるのかなぁと私は見ています。しいて言うなら、ですけど。イチローが珍しく完全休養日で、1番には代わりにアダム・ジョーンズが入っていたのですが、いくら期待の新人でもまだまだイチローの代わりはできません。
とはいえ、その辺すべて「仕方がない」としか言いようがないと思います。こんな日もある……そんな敗戦だと思います。
イチローは休養日で出場機会がありませんでした。今季初だと思います。ちょっと出すぎですよね。出続けても結果が出せているのですから、まあ良いんですが。
【第4戦】× SEA 3−5 TEX
奇しくも前日と同じスコアでの敗戦となりました。やはり「仕方がない」負けだとは思うのですが、それでもこのタイミングでそれが出るというのは痛いです。負けるわけにはいかないとまでは言いませんが、できれば落としたくないゲームでした。
1回裏、先発のウォシュバーンがサミー・ソーサから2ランホームランを打たれ、リードを許します。そしてここから淡々と試合が進んでいきます。リードを許しているのにそれはマズいです。試合が動いたのは6回裏でした。ウォシュバーンは犠牲フライでさらに1点を奪われます。地味な、しかし効果的な一撃でした。6回3失点。十分なクオリティスタートではありましたが。
7回表、ようやく打線がお目覚めです。ここ最近の打線の好調ぶりを考えると、相手先発のパディラ(試合開始時で3勝9敗、防御率6.55)からなら何点でも取れそうなのですが、なぜかこの日は術中にハマったような感があり、全然打てません。そのパディラから3連打を放ちやっと1点を奪います。打線の本領発揮かと思いきや、相手も投手をフランシスコに替えてきます。見事な火消しをされてしまいました。この回は1点のみです。これで3−1。
7回裏はローランドスミスが見事に無失点で抑えて望みをつなぎ、8回裏をグリーンに託します。しかしこのグリーンが誤算でした。2安打と犠牲フライで2点を奪われます。うち1点目がトリプルとなったのですが、これはライトのギーエンの判断ミスでした。悔やまれるミスです。5−1と突き放されました。
9回表、一矢報います。簡単に2アウトを取られてしまいましたが、その後代打のセクソンがシングルで出塁すると、ロペスがつなぎ、途中出場の城島がシングルで1点を奪います。7回表に代打として登場したときは凡退しましたので、お返しができました。さらにワイルドピッチで1点をもらいます。5−3。2アウト2塁で打席には9番ベタンコート。ここでつなげば、同点のランナーを置いて1番イチローにまわって来るというケースです。しかし、そうそう上手くはいきません。最後は三振で試合終了です。
イチローは初回のショート内野安打のみの4の1でした。打率は.353となっています。打率首位のマグリオ・オルドニェスは.355ですから、2厘差に迫っていますね。
最下位のテキサス相手に2勝2敗となりました。ギリギリ最低限踏ん張ったという感じですね。では順位です。西地区はやはり変動ありません。ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) に2ゲーム差をつけられ2位のままです。なかなかあと少しが追いつけません。ワイルドカード争いの方ですが、こちらの方は首位キープです。2位と3位のニューヨーク・ヤンキーズ、デトロイト・タイガーズが対戦してくれているおかげで、お互いに足を引っ張り合っている状態ですね。その中でうまいことデトロイトが勝ち越してくれたので、それぞれ2ゲーム差、4ゲーム差となっています。
日程に行きましょう。ついに天王山です。西地区首位の LAA と直接対決となります。スイープすれば首位に躍り出ます。逆に、スイープを喫してしまうと西地区の優勝争いからは脱落に近いダメージとなります。極めて、極めて大事な3連戦です。舞台はセーフコ・フィールド。どんな形であれ、できるだけたくさんの勝ち星を掴んでほしいものです。