2007年07月31日

【MLB シアトル】今期最大のピンチ?!かも・その2

 最下位テキサスにまさかのスイープを喫してしまったシアトルですが、まだまだ同地区対決が残っています。ここでオークランド・アスレティックス (OAK) という非常に嫌な相手と戦わなければなりません。すでに OAK は不振のベテラン捕手ジェイソン・ケンドールを放出してチームの立て直しに取りかかっています。他にも、功労者の主軸であり、6年連続でゴールド・グラヴ賞にも輝いているエリック・シャベス三塁手すら不振ならレギュラーから外すなど、あくまでやる気の姿勢を崩していません。相変わらず先発投手陣は安定していますし、強敵です。

 だからといって、ずるずると連敗を続けるわけにもいきません。特に、打線に奮起を期待したいところです。果たしてマリナーたちはその期待に応えられたのでしょうか。それでは見ていきましょう。

【第1戦】× SEA 2−6 OAK
 ここ最近は妙に勝負弱いです。どうしても、「ここぞ」というときにやられてしまいます。打線も、投手も。先発のウィーバー(背中にファスナーつき)はこの日も好投し、8回途中3失点でマウンドを降りています。しかし相手エースのヘイレンがよく抑え、2点しか取れませんでした。

 1点差で迎えた9回表、この回を抑えれば希望も多少残っていました。しかし1アウトを取って仕事をしたオフラハティが降板してから、雲行きが怪しくなってきました。まずは替わったリーツマが2者連続四球を出して、そのまま交代します。その後を継いだ左腕ジョージ・シェリルは、左のトラヴィス・バックを三振に取って仕事をします。が、ここで右のスウィッシャーに対してベンチはそのまま続投を指示、そして希望を大きく打ち砕く3ランホームランを打たれてしまいます。6−2。希望は完全に打ち砕かれました。

 シェリルはここまでホームランを1本しか打たれていなかった投手ですから、先日のプッツ同様、やはり責められませんが……なぜここで交代でないのだろうという疑問は残ります。他の面では知りませんが、少なくとも継投の面ではチャベス投手コーチの采配は不可解としか言いようがありません。何のためにマーク・ロウを昇格させたんだか。そして、故障明けで一度もぴしゃりと抑えていないリーツマをセットアップとして起用することも、早く考え直すべきだと思います。……って、あれ? これ前も書いたか。まあいいや。

 イチローは5の1です。

【第2戦】○ SEA 7−1 OAK
 ようやく連敗が止まりました。しかもすごく良い形で勝てたので、気分も変わってくるかもしれません。先発のヘルナンデスが7回を投げて、7三振1失点と「結果的に」好投しています。「結果的に」ってのは、内容はあまり誉められたものではないという意味なんですが。というのも、7回のうち三者凡退だったのは2度だけで、しかも先頭打者に出塁を許している回が3度もあるんですよね。先発投手としてある程度長いイニングを投げなければいけないので、手を抜けるところで手を抜く必要があるのもわかるのですが、抜きどころが間違っているように思えます。なぜか、先頭打者や2ストライク後に力を抜くことが多いように見えるんですよね。逆でしょうが。普通。

 それと、最近は先発陣がよく踏ん張っていて、リリーフ陣は休養できていると思うのですが、6回終了の時点で100球以上を投げていたヘルナンデスをなぜか7回120球まで引っ張りました。しかも彼はエースとはいえ、球界の至宝となりうる若手なので、年間イニング数を200までに限定しているハズなんですが……。

 とはいっても結果は出しています。初回にニック・スイッシャーからソロホームランを浴びたほかは、ロペスやベルトレイ、イチローらの攻守にも助けられ、得点を許していないのですから。また、その後を引き継いだモローは2回を4三振を含む無安打無失点で切って取り、復活を印象づけました。大差がついたので、マーク・ロウのテストを兼ねた調整登板でもあるかなと思いましたが、そんな様子はみじんも見られませんでしたね。復活登板を楽しみにしているんですが。

 打つ方は、良い形で打線がつながって、ムードを盛り上げるような点の取り方になったと思います。2回までは相手先発の左腕ブレイデンに合っていなくて、ヤバいなと思ってみていたのですが、打線がひと周りした3回からシアトル打線が牙をむきました。1点をリードされた3回裏2アウトから、イチローが四球を選び、ヴィドロがライト前シングルで続きます。さらにギーエンのサードゴロエラーという幸運に見舞われ、満塁となります。このチャンスに、ここ最近好調で、また相手先発が左腕であるということで4番に起用されたベルトレイが期待に応えます。カウント3ボール2ストライクから三塁線を破る3ランダブルで一気に逆転です。いろいろな意味で大きな一撃でした。連敗中のチームに勇気を与える逆転打であること、相手のミスにつけ込んで経験のない若い投手の動揺を誘って点を奪ったこと、新監督の采配(4番起用)が当たったこと、そして4番の一打だったことなど。

 4回裏にもさらに追い打ちをかけます。城島のヒットとロペスのバントなどで2アウト2塁として打席にはイチロー。ここでもイチローらしいクラッチな、そして技ありのセンター前シングルで1点。さらにヴィドロもライト前シングルでイチローを還します。とどめは3番ギーエンです。内角低めに甘く入った球を(珍しく)美しいスイングで捉え、レフトスタンド上段に飛び込む大ホームランを放ち2点を奪いました。計4点を奪い、7−1として序盤で試合を決しました。

 イチローは3の2です。初回のショートゴロも攻守に阻まれ(というか、一塁塁審の誤審に阻まれって感じだったけど)ヒットにはなりませんでしたが、打球はあと少しで抜けそうだったし、走塁はあと少しで内野安打になりそうな惜しい当たりでした。右に左に自由自在に打ち分けています。

【第3戦】○ SEA 4−3 OAK
 薄氷の勝利でした。2回表にラミレスが3点を先制されたときは嫌なムードだったんですが、その裏すぐにブルサードの犠牲フライと城島の2ランホームランで同点に追いつきます。城島、相変わらずの絶不調にもかかわらず、良い仕事をしてくれました。シアトルでもすっかり「ケンジィ」として定着しているようです。

 さらに4回裏にはベタンコートの久々の一発が飛び出し、4−3とします。ただ、相手先発ゴダーンは4失点は喫したものの、基本的には良い投球をされてしまった感があります。なんせ、4安打1四球完投でしたから。勝てたから良いのですが、欲を言えば相手ブルペンから1人でも引っ張り出して、明日の試合に少しでも差し支えるよう疲弊させておきたかったところです。

 結局ラミレスは6回まで投げきり、またしてもセーフコ不敗神話を継続することとなりました。でも、7回表からが大変です。4−3というわずか1点差リードの中、出てくるピッチャーがことごとく中途半端な抑え方をしてくれるので、ものすごく頻繁に投手交代する羽目になりました。もっとも、みんな最近投げていなかったので、わざと調整登板させようという意図もあったのかもしれませんが。

 まずは7回頭からはクリス・リーツマ。2アウトを取ったもののランナー2塁のピンチを作り、ショーン・グリーンに交代。(右腕から右腕という少し珍しい継投。)グリーンは後続をピシャリと抑え7回を終わらせると、8回表も続投。しかし先頭打者を塁に出してしまってジョージ・シェリルに交代。シェリルはワンポイントでの起用に応えてダン・ジョンソンから1死を取り、今季初登板のマーク・ロウに交代。ロウも1死を奪ったものの、次の打者を四球で出して2アウト1・2塁。ここで J. J. プッツの登場となります。プッツはきのうまで4番を打っていた代打ジャック・カストを100マイルの速球4球で簡単に三振に切って取り、難を逃れます。

 9回も当たっているスイッシャーに四球を出しはしたものの、それ以外の全員から三振を奪い、ほとんどつけいる隙を与えずゲームを終わらせてしまいました。いつものプッツが戻ってきました。(打たれた前回を含め、ここ3度の登板ではプッツの投球内容は少し危うかったのです。が、この日はほぼ完璧でした。)

 イチローは4の0です。

【第4戦】○ SEA 14−10 OAK
 素晴らしい先発投手陣とそこそこのブルペンを擁し、打線の方はマネーボールでじわじわと攻め立てる OAK、先発は今イチながら卓越した守備力とピカイチのリリーフ陣を持ち、つなぎの打線を持つ SEA、この両者がこんな壊れ試合をやるなんて想像もしていませんでした。

 序盤は SEA ペースです。2回までに4番ベルトレイのホームランなどでいきなり6点を奪いました。楽勝ムードかと思われたのですが、こちらの先発ウォシュバーンもピリッとしません。5回までに5点を奪われます。どうも大ざっぱに3試合くらいごとに調子が切り替わっている感じですね。となると次回辺りからまた期待できるはずです。……ってこんな験担ぎもどうかと思いますが、ここ最近のジャロッド兄さんのやられっぷりを見ていると、そうとでも考えなければやってられません。

 5回裏を終わって7−5。ここからの継投が見物です。6回表に登板したのはクリス・リーツマでしたが、やはり今回も期待に応えられませんでした。さらに4点を奪われ逆に9−7とリードを許してしまいます。もしかしたら、この登板は今後に向けてのテスト起用だったかもしれません。だとすると、クビが涼しくなっちゃう可能性がありますね。この日は現地時間で29日。トレード・デッドラインまであと2日です。さらにオフラハティも1点を奪われます。まあ点を取られてもいつも大崩れしない点はオフラハティの立派なところで、若手離れしていますけどね。これで10−7の3点差。残すイニングは7・8・9のわずか3つです。

 が。久々に美しく打線がつながりました。7回裏、イチローがバントヒットで出塁します。ピッチャーの頭を越える絶妙な当たりでした。私はミスがラッキーになったのかと思ったのですが、解説陣は「狙ってる。良いアイディアだ。」と言っていますね。その後、捕手の送球すら許さない完璧な盗塁を2つ重ねて3塁に進むと、4番ベルトレイのシングルで生還しています。さらにその直後、セクソンの退場により途中出場していた5番ベン・ブルサードがレフトスタンドに豪快な2ランホームランをたたき込み、ついに10−10の同点に追いつきます。

 こうなると俄然 SEA ペースです。8回表、ショーン・グリーンがセットアップとして登場し難なく抑えると、その裏、OAK の細かいチーム事情はわかりませんが、なぜかここで相手クローザーのヒューストン・ストリートが登板します。そしてそのストリートを見事攻略しました。まずは不調の7番城島が(このフレーズ、何度使いましたかね?)いきなりダブルで出塁すると、代走にエリスンが起用されます。8番ロペスのバントが良いところに決まりました。これがストリートの送球エラーを誘い、一気にエリスンがホームイン。ついに決勝点を奪います。その後も打線は止まらず、打者一巡の猛攻で計4点を奪い、試合を決しました。9回表はちょっともったいないですがプッツが登板し、3者凡退であっさり試合をクローズしています。

 一時はどうなることかと思いましたが、結果としてムードの盛り上がる気持ちの良い勝利となりました。

 イチローは5の2です。打率は.343となっています。1本目のヒットは MLB 通算1500本目となっています。あちらの実況解説を聞いているとイチローは「フューチャー・ホール・オブ・フェイマー」、つまり将来の殿堂入り選手とよく言われていますね。普通はソーサ、ピアッツァ、ボンズなどのベテラン選手がそう呼ばれるのですが、A-Rod やゲレーロと並んで、早くもその呼び声が高いようですね。あ、上記の通り盗塁も2つ決めています。



 大事な OAK との試合を3勝1敗で勝ち越せました。昨年2勝しかできなかった宿敵ですし、とにかく嫌らしいチームですから、喜びもひとしおですね。順位に行きましょう。アメリカンリーグ西地区、ワイルドカードとも相変わらず2位につけています。西地区の方ですが、首位は相変わらずロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) です。着々と勝ち続けて現在4ゲーム差をつけられています。3位の OAK とはご覧のように勝ち越しを決めましたので、ゲーム差を9に広げました。ワイルドカード争いでは首位がクリーブランド・インディアンズで、2ゲーム差をつけられています。後ろにはニューヨーク・ヤンキーズが2ゲーム差の3位でついてきています。ヤンキー、まじウザいんですけどー。

 さて、天王山の3シリーズのうちの2シリーズが終わりました。最後のシリーズはついに首位 LAA との対決となります。以前、この同地区対決11連戦を負け越せばポストシーズン出場が非常に厳しくなると書きました。そして今3勝5敗ですから、マリナーたちの使命はスイープしかありません。相手先発はエスコバー、ラッキー、そしてウィーバー弟と恐ろしく強力ですが、それでも負けるわけにはいきません! バティスタ先生、ウィーバー(背中にファスナーつき)、そして“キング”フィリックスの3人の先発陣でビッグゲームをすべてものにしてほしいものです。

2007年07月29日

ひろしまお好み物語・駅前ひろば

 広島でお好み焼き屋が集う専門施設といえば「お好み村」が有名です。2軒目はお好み村の隣にある「お好み共和国」でしょうか。いずれも、地元民が見向きもしない観光客向けの施設です。んまあ、数字で把握しているわけじゃないですが、少なくとも世間ではそういう目で見られています。噂だけで判断するのも良くないので私自身も足を運んでみましたが、両者とも確かにいろいろと物足りないんですよね。

 2006年に、ダイエー広島駅前店跡地(現フルフォーカスビル)6階に「ひろしまお好み物語・駅前ひろば」がオープンしたときには、似たようなものだと思って、やはり見向きもしていませんでした。しかし、ここ最近、複数の友人たちが行ってみた結果「なかなか良い」と意外にも(?)好意的だったので、試しに行ってみました。

 済みません。正直ちょっとナメてました。ごめんなさい。コンセプトからしてちょっと違っていました。「駅前ひろば」は、単なる屋台村的な集合施設ではなく、ちょっとしたフードテーマパークでした。

 エレベータで6階に上がると、まずは公共のテーブルと椅子があります。そこには「作戦会議場」と書かれているではありませんか。そう。この場で、エレベータそばにあるパンフレットを見ながら、入るお店を検討するのですよ。この手の施設って、お店の人の客引きの声がうるさくて、なかなか落ち着いてお店を選べないですよね。ここで先に考えておけば、そんな心配もありません。

 パンフレットもなかなか良いです。店の特色を6つの要素(ソースの辛さ、卵の半熟度など)に分けてグラフ化し、さらに使っているソースやそばまで情報開示しています。単なるお店の人のアピールだけでなく、比較検討ができるデータがそろっているのは素晴らしいですね。私のようなミツワソース好きからすれば、まずはミツワソースを使った店から攻めていきたいですし、大変うれしい配慮です。

 ……ということは、です。広島の方なら、ここでもうひとつ従来の2施設との違いがあることに気づかれたことでしょう。他の施設では、ソースや材料が施設で決められていて、店側の裁量に任されていません。(お好み村はサンフーズの「お好み村オリジナルソース」、共和国は「オタフクソース」といった風に。)これが非常に不満だったのですが、駅前ひろばは各店ごとに違うのです。

 展開する店舗は26店。この26店全部をまわったら、好きなお店でお好み焼きを1枚サービスというスタンプラリーもやっています。この辺り、観光客だけでなく市民も取り込みたいという意図を感じます。なかなかやる気ですね。あと、この手の施設といえば公式サイトがボロいのが定番ですが、駅前ひろばのサイトは案外悪くないです。(良いってほどでもないけど、まあ比較の問題としてね。)

 この駅前ひろば、まだまだ改善の余地もたくさんあるように思えます。(たとえば売店がショボいとか、フロアが暗すぎるとか。)が、それでも意欲は買いたいですね。少し応援していきたいと思います。
posted by Yosh at 14:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 飲み食い三昧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【MLB】井口の移籍に見る MLB のトレード

 シカゴ・ホワイトソックスの井口資仁内野手がフィラデルフィア・フィリーズにトレードになりました。ニュースを聞いて驚かれた方も多いかと思います。なぜこの時期に、こんなトレードが行われるのでしょうか。

 実はこのトレード、MLB での典型的なトレードの形なのです。今回は、MLB でのトレードについて簡単に解説します。

 MLB では、7月31日までが比較的自由にトレードのできる期間となっています。それを過ぎると、たとえ両チームの思惑が一致していたとしても、必ずしもうまくトレードが成立しないような仕組みになっています。(要は第三者チームから横やりができるようになるのですよ。)だって優勝争いの最中とか、極端な話ワールドシリーズの最中にトレードが成立しちゃうと、大変なことが起こるでしょ。だから、期間を制限しているのです。

 ただ、この7月末までに優勝争いの趨勢が見えていないかというと、ある程度は見えてきますよね。結果はまだ読めなくても、まだ望みのあるチームと、今季はもうダメなチームとは比較的見分けられると思います。そうすると、それぞれのチーム状況に応じて、こんな思惑が生まれてくるはずです。

優勝争いをしているチーム
  • 急場しのぎで良いから、現在のチームの弱点を補強してさらに強いチームにしたい
  • したがって、今季だけでもいいから結果を出せる即戦力がほしい

    脱落したチーム
  • 今季はもう無理なので、あまり猛烈にチームの勝利を目指さなくてよい
  • 来年に向けて若手の育成をしたい
  • 主力選手は無理をさせなくていい
  • 特に今季末で FA になる主力選手は、再契約に金がかかるだろうし、今季は負けてもいいので放出も検討してよい
  • むしろ今は期待の若手を獲得して徴用するのが得策だろう

     このような事情で、主力選手が優勝を狙えるチームに、そしてそれに見合うと期待される若手が今季の負け組チームに移籍するというわけです。短期的には格差が広がるように見えますが、長い目で見れば戦力が均衡化する良いシステムです。特に、この時期に獲得された主力選手の多くがシーズン終了時に FA になるので、補強したチームも翌年その戦力を維持できるとは限りません。どのチームにもペイロール(予算)ってものがありますからね。

     したがってまあ、井口内野手のトレードは日本の新聞が見出しにあげるほどは電撃移籍ってわけじゃないのです。

     ちなみにニューヨーク・ヤンキーズが契約1年目にして早くも井川慶投手を放出したがっているという報道がされているようですが、これが事実だとすれば、ちょっとだけ珍しいかもしれません。複数年の大型契約を反故にするわけですから、よほど戦力にならない(他選手で代替が効く上、この際だから損しても構わない)と見なされているということです。

     シアトルが興味を持っているという話ですが……年俸はあちらが全額負担の上、マイナー契約というならともかく、勘弁してくれーって感じです。彼の場合、別にニューヨークだから結果が出せていない(精神的重圧のせいでの不振の)ようには見えないんですよね。同じ左腕ならたぶん、現有戦力のホラシオ・ラミレスやフィエラベンドの方が結果を出せると私は思っています。
  • 2007年07月28日

    続・本通ヒルズ

     なんか最近、妙にアクセス数が上がっているなーと思っていたら、「本通ヒルズ」で検索して来る人がたくさんいるようです。調べてみたら今月オープン予定だそうじゃないですか。で、今月のいつよ? 今月ってもう終わりそうなんだけど、もうオープンしてるの??

     で、本通ヒルズの情報を期待して来られた方にはあらかじめ謝っておきます。済みません。出店されるテナントは、私の知っている範囲ではアディダス、多山文具、渡部陶苑、それに病院が数軒と、あまり興味の持てるものではなかったので、情報をしっかり仕入れていません。

     しかも公式サイトと言っていいんだと思いますが、総合企画を務めるゼネラル興産が公開しているサイトがもう最悪で、何の情報価値もないのに驚かされます。具体的に言うと、スキップ不可の30秒間のフラッシュムービーで、最後まで見たら建物の高さと住所、作った建設会社などしかわからない、誰に見せたいのかわからない本当にダメなページです。しかもこのページ1枚のみで特にリンクなし。公式サイトを見てもオープンしているかどうかすらわかりません。今、2007年なんですけどー。

     一応、広島の中では大規模な商業ビルですので、それなりに市民の関心も寄せられているようです。個人ブログでもたくさん取り上げられています、が。私の見た限り、ほぼ全員がその名前について言及し、そしてその中の全員が私と同意見でした。やはり本通ヒルズという名前はとっても恥ずかしいです。世の中に、ここまで意見が一致することって珍しいんじゃないでしょうか。いやマジで。建物の名前だけで市民に苦痛を与えることができるとは驚きました。イグノーベル賞ものですね。

     ちなみに広島市のいわゆる旧市内はほぼ三角州の平地で、その中心部にある本通り商店街には丘のかけらも見えません。友人たちと「せめて“本通デルタ”にすりゃいいのにね」なんて軽口を叩いています。

     まあそれはさておき、(たとえ個人的興味がなくとも、広島市民としては)この手の商業ビルにはある程度がんばってもらわないと困るので、明白な問題点で、しかもすぐに改善可能なところくらいは何とかしてほしいものです。今月オープンの大規模商業ビルが、マトモな、というかお客向けの公式サイトがないなんて論外でしょ。
    posted by Yosh at 09:30| Comment(4) | TrackBack(0) | 広島のこといろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2007年07月27日

    【MLB シアトル】今期最大のピンチ?!かも

     さあ、ここからは同地区対決が続きます。ここで勝ち越せれば地区優勝の可能性がぐっと近くなってきます。逆に、ここで負け越すことになると、今後非常に厳しい戦いとなります。

     その最初のシリーズ、テキサス・レインジャーズ (TEX) との4連戦です。2日目にダブルヘッダーがあり、最初から大変なシリーズです。舞台となるアメリクエスト・フィールド・イン・アーリントンは打者有利な球場です。つなぎの SEA か、爆発力の TEX か。派手な打ち合いが予想されます。

    【第1戦】× SEA 7−8 TEX
     今季入団したばかりとは思えない内弁慶のホラシオ・ラミレスが先発です。……ああ、野球における内弁慶というのは文字通りの意味じゃなくて、たいてい本拠地球場に強いって意味ですからね。ちなみにラミレス、勝ち試合はすべてセーフコ・フィールドで、防御率も2点台。負け試合はすべて遠征時で防御率は10点を超えています。そして、今回もその通りになりました。いくらセーフコ・フィールドが投手有利な球場だからといって、ちょっと極端です。5回途中8失点とメロメロでした。とくに、サミー・ソーサに計5打点を献上してしまいました。4回くらいまではシーソーゲームで良い展開だったのですが。

     こちらの打線もかなり打ちまくりました。16安打7得点の猛攻です。ただ、これだけヒットが出た割には点が取れていないという言い方もできますね。9回表、相手のクローザー、エリック・ガニエを攻め立てて3点を取り、1点差まで追いついたのですが、最後は1アウト1塁の場面で代打ブルサードがライトへの痛烈なライナー。ランナーのロペスが判断悪く戻りきれずに併殺となり、ゲームセットという展開でした。次がイチローだったので特に悔やまれますが、若いロペスはこうやってひとつひとつプレイの大事さを身をもって学んでいってほしいものです。少なくとも数年は彼がシアトルの正二塁手なんですから。

     イチローは久々に当たりが出ました。5の2です。盗塁も1つ決めています。

    【第2戦】× SEA 1−2 TEX
     ダブルヘッダーの第1戦です。先発はこちらがフィエラベンド、あちらがラインネッカーと両者とも頼りない面子でしたが、意外にも投手戦になりました。SEA は初回、無安打で1点を取るラッキーな展開を迎えますが、その後は沈黙します。ラインネッカーは5回辺りから少しずつ疲れが見えてきて、ようやくチャンスを作り始めるのですが、得点に結びつきません。結局7回1失点の好投となり、8回も後を継いだベノイトに抑えられます。

     フィエラベンドは時に甘いところに入って痛打されるときもありましたが、それでもギリギリのところまで耐えて5回2失点でしのぎます。この投手、打たれ始めたら脆いなと思っていたのですが、今日の観戦でその原因がわかりました。決め球がないのです。直球も特に速くなく、変化球も中途半端。でもこの試合に関してはそんな苦しい中、よく粘ったと言っていいでしょう。6〜8回はモローが引き継ぎ、無失点に抑えました。6回はいきなりノーアウト1・3塁のピンチを迎えたものの、そこからダブルプレイなどで無失点に抑えると、7、8回はごく危なげない投球で抑えています。試合に望みをつなぐ素晴らしい好投でした。というわけで、8回が終わって2−1。

     9回表はクローザーのエリック・ガニエの登場です。きのうに引き続いて少し隙があるように見えましたが、低めのボールになる変化球をことごとく振らされ、結局得点を奪えずゲームセット。痛い連敗となりました。

     イチローは4の0です。ラインネッカーに手も足も出ない状況でした。

     ちなみに8回表、おかしなプレイがあったので紹介しましょう。ロペスの打球は後ろに飛び、球審に当たります。ファウル? いや、この打球が審判の胸板をはね返ってフェアグラウンドに転がっていったのです。結局内野ゴロになってしまいました。審判に打球が当たった場合、グラウンド上の石ころに当たったのと同じことと見なすと私は覚えていたのですが、違うのでしょうか? 今度ルールを調べてみようかと思います。

    【第3戦】× SEA 3−4 TEX
     3試合連続で1点差負けとなりました。なんでやねん。ウォシュバーンはまあまあでした。ただ6回途中3失点、112球という内容は、2番手投手としては「もうちょっと」を期待したいところです。ときどき、目のさめるような投球を見せてくれますから、それを次は見たいですね。

     打つ方では5回に集中打で3点を奪い一時はリードしましたが、この連敗で何度も見た「あと1本が出ない」をまた繰り返しています。その5回にまたしても審判がらみのハプニングがあったみたいですけど、見ていて何がどう問題だったのか今イチ把握できませんでした。もうちょっと英語のリスニングを鍛えたいところです。

     決勝点を奪われたのは8回裏です。珍しくリリーフが打たれました。しかし、打たれるべくして打たれた感があります。つるし上げみたいな書き方はしたくないのですが、故障明けで再度セットアップを任されながら、あまり登板せず、しても危うかったリーツマが1点を奪われています。見ていると確かに球はそこそこ速いんですが、実に打ちやすそうなところに配球しています。打者の視点からすると良い感じにコントロールが狂っているのです。優勝争いをしていて、しかも結果を残している選手が多いというチーム状況を考えると、いくら実績のあるベテランでも彼にセットアップを任せるべきではないと思うのですが。ちょうど去年めざましい好投を見せてくれた期待の若手マーク・ロウが、故障明けで昇格してきました。クビにしろとは言いませんが、配置転換をしてほしいものです。

     イチローは4の2でした。調子がそんなに良くなっているようには見えなかったのですが、本人曰く凡退した2打席は審判の判定に泣かされたのだそうで、気持ち的にはもっと打てたはずと思っているようです。

    【第4戦】× SEA 6−7 TEX
     地区最下位の TEX 相手にまさかのスイープを喫してしまいました。しかもついにクローザーの J. J. プッツが攻略されてしまいました。ここまで無敵だった彼を誰も責めることはできないと思います。いつかこんな日が来ることも間違いはないのですが、よりによって連敗が止められそうな矢先というのは厳しいものがあります。以前から解説で長谷川滋利さんが言っていた唯一の弱点、一発の恐さが出ちゃいました。

     イチローは5の2、打率を.345としています。盗塁を1つ決めています。首位打者争いから少し後退しているようですが、さすがにトップのマグリオ・オルドニェスもそこまで打ち続けられるわけでもなく、.353としていますから、8厘差となっています。3位にジーターが迫ってきており.337としています。



     前シリーズから合わせて6連敗となり、非常に痛いです。ただ、この間首位ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) と3位のオークランド・アスレティックス (OAK) とか星をつぶし合ってくれていたおかげで、そんなに大きな差になっていないのがせめてもの救いです。LAA とは3.5ゲーム差、OAK とは7ゲーム差となりました。ワイルドカード争いはさすがに後退しています。首位のクリーブランド・インディアンズ (CLE) と4ゲーム差、そして嫌らしいことに3位につけているニューヨーク・ヤンキーズ (NYY) との差が0.5まで縮まっています。大枚はたいてスターをかき集めている NYY、マネーボールで1年トータルを考えたチーム作りをしている OAK、いずれも例年夏場に非常に強いチームですが、その2チームが後ろにくっついているのは本当に嫌で嫌で仕方がないです。

     厳しいシリーズが続きます。次はまたしても同地区対決となります。OAK との4連戦を迎えることになります。しかも初戦からエースのダン・ヘイレンと当たることになりますから、苦戦が予想されます。とはいえ、今季 SEA はけっこう要所要所でヘイレンを崩していますから、こちらの先発のウィーバーが背中にファスナーつきの方だったら何とかなるんじゃないかと思っています。舞台はセーフコ・フィールド。地元に戻って元気を取り戻してほしいものです。

    2007年07月26日

    新しい「家族」

     今日の早朝、義妹が男の子を産んだようです。伯父になりました。

     弟には、間違えて“心太”(←「ところてん」と読める)みたいな名前をつけるなよと言っておきましたが、幸いにしてちゃんとした名前がつきました。無事産まれるかどうかが最初の心配事、ちゃんとした名前が付くかどうかが2つ目の心配事でしたから、そのいずれもクリアされて本当に良かったです。

     余計なお節介ですが、出産を控えた方とそのご家族のみなさんは、名付けでミスらないよう、くれぐれもお気を付けください。海月(みづき)ちゃんは「くらげ」と読めますからね。

    参考リンク:「子供の名付け(命名)DQN度ランキング」(以前にも紹介しましたよね?)
    posted by Yosh at 18:41| Comment(4) | TrackBack(0) | 家族の肖像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2007年07月25日

    タイガースは大阪弁である

     軽く英語の話をさせていただきますと、虎、tiger、つまりタイガーを複数形にすると tigers ですが、これは普通タイガーと濁って発音します。したがってアメリカの五大湖近辺にある工業都市デトロイトを本拠地とする、あのチームはデトロイト・タイガーなわけです。(もっとも、それを言うなら「デトロイト」だって「ディトロイト」ですが、それはまた別のお話。)したがって、そう考えると日本の野球チーム「阪神タイガー」ってのは英語的におかしいのです。

     ここまではご存じの方、あるいは気づかれている方も多いかと思われます。ただ、こんなツッコミは無粋だと思われるかもしれません。そんな細かいことはええやないか、と。それに、球団が設立されたのは1935年、そのころから「タイガース」だったわけですから、当時の情勢を考えるとやむを得ないミスかもしれません。

     ……と思っていたのですが、必ずしもそうとは言えないっぽいです。(改めて探したところソースが見つけられないので、もしかしたら誤解かもしれないのですが)どうやら、わざと間違えているらしいのです。昔々、大阪にできた野球チームが姉妹都市デトロイトのチームにあやかって tigers を名乗ることに決めたとき、どうも「タイガーズじゃあ響きが悪いやん。タイガースの方がええで。」という意見が出てきたというのです。

     この話を聞いたときには、あまりの我田引水っぷりに呆れてしまいました。それ以来、私は「タイガース」という言い方は大阪弁だと思うことにしています。
    posted by Yosh at 20:05| Comment(4) | TrackBack(0) | ことばの広場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2007年07月24日

    わざと素人っぽく……

     今度、みんなでそこそこ大きなイベントをしようねって話になってます。そこでわが心の友、4様こと 4-woods たんがポスター作成を引き受けてくれたわけです。彼は絵心とデザインセンスと、それに幅広いパソコン使用能力とを兼ね備えていて、この仕事に持ってこいの人物です。当たり前ですね。10年以上も前、学生時代に出会ったときから絵を描いていて、今じゃその道のプロなんだから。

     ちょうど同時期、私は私で、まったく別件で執筆依頼を受けました。といってもお仕事じゃなくて(←今回の話はここ重要!)、とあるお店の「お客様の声」を書いてほしいという依頼です。お世話になっていますし、おやすいご用なので、お引き受けしました。で、書き始めたわけですが。

     最初に思いついたのが、雑誌風の紹介。私は人の文体を真似るのがそこそこ得意です。『サライ』とかそれ系の雑誌に載ってそうな文を書くくらいは楽勝だったりするわけです。たとえば、オジサン作家が雑誌に寄稿した文章風にしようと思ったら、山脈の息吹や梅の花、大地の恵みなんかを喩えに持ってくればちょっとそれっぽくなるとか、ね。

     やめました、それ。なんつうか、そんな文章が「お客様の声」として載っていたら、ゴーストライターが書いたみたいで、限りなく嘘くさいじゃないですか。それに自分で書いてて、つい悪のりしちゃいそうです。そうしたら、書いた文章が本心とは別物になっちゃうのも嫌ですしね。

     そんなわけで、プロの物真似はやめ。変な技巧を凝らさずに、さらっと書いておしまい。できあがった文章は自分でもまぁ悪くないかなって思っています。

     そんな出来事があったので、「ポスター作るよー」と言ってくれた4様に対して、私が出した注文はひとつだけ。「あんまりプロの仕事しちゃダメよ。」でした。上の件以来、あまり本格的すぎるのも、状況によっては考え物だなと思うようになったからです。ポスターの話だと、世の中プロの作った豪華なカラー刷りの物があふれかえっているので、同様の(プロっぽい)手法で作られた広告って、往々にして逆に埋没しちゃうんですよね。

     そしたら4様「うわー、そうかも。その通りだー。」と頭を抱え始めました。気軽に言った言葉が、案外難しい注文になってしまったかもしれません。ただ、私の注文の意図を即座に解釈し、すぐに納得した感性はさすが! でした。

     ちなみにできあがったポスターはこんな感じ。900KB 以上あって少し重いですが。
    posted by Yosh at 21:54| Comment(4) | TrackBack(0) | 雑記帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2007年07月23日

    イカスミのスパゲッティーニとパエリアまがいのもの

     先日、イカスミのペーストを買ったので使って料理してみました。お店で食べるほどじゃないですが、それでもなかなか美味かったですよ。それに実は、イカスミのペーストを使った料理には味以外にも良いところが2つもあるのですよ。

     まず、イカスミを使った料理って家庭ではちょっと珍しい部類ですよね。その物珍しさはけっこうポイントが高いのではないかと思います。それと、実はめちゃくちゃ手軽なこと。これって要は単なるソースなので、何かにかけてちょっと火を加えるだけでおしまいです。イカからスミを取るところから調理しようとすると大変ですが、ペーストを使うと本当に楽ちんです。

     なので、実はものすごい手抜き料理をちょっと豪華なものに見せかけられます。若い人はぜひ意中の男の子、もしくは女の子を騙すのに使ってみてください。(←あまり本気にしないように)

     というわけで、イカスミのペーストを使った料理2品を紹介します〜。

    《イカスミのスパゲッティーニ》
    【材料】
  • スパゲッティーニ(スパゲッティでも可)
  • にんにく1かけ
  • オリーブオイル適当
  • イカスミのペースト

    【作り方】
  • パスタを茹でる
  • オリーブオイルに刻んだニンニクを入れて香りがつくまで火を入れる。(オイルだまりを作って、半ば揚げるような感覚で)
  • ゆであがったパスタを投入し、オリーブオイルと絡める。さらに少量の茹で汁も絡める。
  • イカスミのペーストをちょっと贅沢に(パスタが真っ黒になるくらいの量)投入する。
  • 全体に行き渡るようにさっと混ぜて皿に盛る

    《イカスミのパエリアまがいのもの》
    【材料】
  • ご飯
  • 入れたい具(たとえば貝やイカ、えびなどの魚介でもいいし、ベーコンやソーセージ、肉類でもいい)
  • オリーブオイル
  • イカスミのペースト
    ※鉄のフライパンで作ります。

    【作り方】
  • ご飯を炊く
  • オリーブオイルで具に火を通す
  • ご飯を投入し、チャーハンばりの強火で炒める。多少のおこげもまた良し。
  • イカスミどばーっ
  • 全体に行き渡るようにさっと混ぜて皿に盛る

     どっちもめちゃくちゃ簡単でしょ? お試しあれ。
  • posted by Yosh at 23:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 飲み食い三昧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    【MLB シアトル】北の大地にて……

     カナダに遠征です。ここ最近、東地区のダークホースといわれながら結果を出し切れていないトロント・ブルージェイズ (TOR) との対戦です。この言い方だとあまり誉めていないようですが、裏を返せば毎年補強をきちっとしていて、ポテンシャルのある選手が多いという意味でもあります。つまり、短期間で見たらすごい爆発をしかねないわけで、そう考えると決してなめてかかれません。たとえばチームの中心的存在であるヴァーノン・ウェルズは今季不調で、打率は.250そこそこ、ホームラン13本という成績です。しかしこちらから見たら、去年3割30本をマークした選手という目で見てしまうものですからね。

    【第1戦】○ SEA 4−2 TOR
     野球は筋書きのないドラマといいますが、小説家の先生がイカした筋書きを書いてくれました。日本時間の朝8時頃にゲームが始まり、ちょうど仕事が昼からだったので生観戦ができたのですが、大変おもしろい試合でした。

     先発はこちらがバティスタ先生、あちらがリッチでした。初回を見たらリッチの出来が良いこと、こりゃ苦戦必至だなと思ってみていました。最初の打席、イチローは見事なセンター返しの打球でしたが、リッチが打球をグラブに当てて勢いがゆるめられたため、ショートに捕球されてアウトになってしまいました。それ以降、後続打者はなかなかタイミングが合いません。

     いやーな予感が的中し、相手に先制されます。2回裏、なんと先生が12球連続でボール球を投じ、ということはつまり3者連続での四球を出したという意味なのですが、ノーアウト満塁の大ピンチを迎えます。洒落になってない展開ですが、ここを意外にも最小限の失点で食い止めました。8番ゾーンを注文通りショートゴロ併殺打に切って取る(この間に1失点)と、9番マクドナルドも打ち取りました。心臓に悪いので、できれば自作自演はほどほどにしていただきたいものです。

     隙がないかと思われたリッチですが、その後徐々に調子を落としていきます。4回表に5番ベルトレイが2ランを放ち、また5回表にもチャンスを作ると3番イバニェス、4番ギーエンの2人が連打を放ちさらに2点を奪います。これで4−1。久々に中軸にここぞという場面で当たりが見られました。特にイバニェスはここで復調を願いたいです。

     6回裏、またしても先生がピンチを迎えます。4番グロースにシングルで1点を奪われると、さらにピンチを広げ、2アウト1・2塁とします。球数は96球。チャベス投手コーチがグラウンドに出てきて言葉を交わすと、ここで意外にも交代となります。後から判明したのですが、実は先生自身が降板を申し出たのだそうです。ちょっと珍しいですね。

     ただ、この判断は結果として正解でした。残りをグリーンがあっという間に仕留めると、そのまま続投した7回裏も簡単に抑えてしまいます。8回裏はちょっと危ういセットアップ、リーツマが投げて、いつも通り危ないながらも味方の好守に助けられ何とか0点に抑えます。4−2で迎えた9回裏は、もちろん J. J. プッツが投げます。久々にヒットを1本浴びますが、最終的には難なく抑えてしまいゲームセットです。

     イチローは3の1です。

    【第2戦】× SEA 0−1 TOR
     ものすごい投手戦でした。こちらの先発はウィーバー(背中にファスナーつき)で、4安打1失点88球完投というめざましい活躍を見せてくれました。しかし、相手投手陣にそれに勝る力投を見せつけられ、わずか3安打無得点に抑え込まれてしまいました。先発のタワーズに始まり、最後はクローザーのアカードまで4人の投手にまったくつけいる隙がなく、本当にどうしようもない感じでした。

     今後、ダブルヘッダーを含む連戦でハードなスケジュールが組まれている中、リリーフ陣を休ませることができたのが唯一の救いでしょうか。まあこの「唯一の救い」はけっこう大きいと思いますけどね。

     イチローは3の0です。調子は悪くないとは思うのですが。

    【第3戦】× SEA 0−8 TOR
     この日はデーゲームで、東地区のデーゲームって日本時間で言うと朝起きたら終わってる時間帯なんですよね。目覚めたら大敗していたので見る気が失せました。相手先発のハラデーに3安打完封を喫しています。まああちらのエースですから、良いときは手がつけられないような投球をされてしまうんでしょう。

     一方のこちらのエースは手をつけ放題だったようで、6回6失点と散々でした。2試合連続で完封負けというのは、単なる負けよりもマズいかもしれませんね。下手をすると SEA の最大の長所と言っていい「勢い」が殺されてしまいます。

     イチローは4の0で、打率を.346に落としています。久々の、たぶん今季2度目の2試合連続無安打です。相手が良すぎたのか、それとも調子を落とし始めているのか、仕事から帰ったらチェックしてみますね。ともあれ再認識したのが、「何とかイチローが塁に出てくれるから、そこを足がかりに点を取れれば……」という形がいかにチームにとって大きく、そしてそれが機能しないときは往々にして厳しい展開が待っているということです。

     あと、マクラーレン監督が退場になったっポイですね。こちらも何があったか後で確認してみます。



     では、アメリカンリーグ西地区の順位です。久々のシリーズ負け越しとなりました。それでも首位ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) が一時の驚異的な強さと比べるとやや調子を落としているため、SEA もまだ2ゲーム差の2位でくっついています。3位のオークランド・アスレティックス (OAK) とは9.5ゲーム差。ワイルドカード争いをしているクリーブランド・インディアンズ (CLE) とは2.5ゲーム差となっています。

     さて、ここからは地区優勝を狙うに当たって重要なシリーズが続きます。同じ西地区のチームとの計11連戦が組まれているからです。まずは最下位のテキサス・レインジャーズ (TEX) が相手になります。ここは浮上の見込みが薄いチームですから、そういう意味での重要度は OAK、LAA と比べて落ちますが、それよりも2日目にダブルヘッダーが組まれた4連戦なのが厳しいです。体力面もそうですが、このせいで先発が6人必要となり、アクティブ・ロスターを組み直さなければならないからです。6人目はフィエラベンドが再度昇格してくることが決まっていますが、そのために誰かがいなくなります。考え得るのは
  • まずフィエラベンドの代わりにローランドスミスを降格。試合後フィエラベンドを即降格してウッズを昇格。
  • まずフィエラベンドの代わりにローランドスミスを降格。そのままフィエラベンドをスイングマン(先発・リリーフの両方をこなす便利屋)として起用。
  • まずフィエラベンドの代わりにジェイソン・エリスンを DFA。その後、期待の若手アダム・ジョーンズを昇格。
    というパターンでしょうか。チーム内では選手、監督、GM とも、あまり大きな選手の動きがない方が良いという認識のようなので、おそらく2番目になるかなぁと思っています。だとすると、連戦中のリリーフ陣のスタミナが心配になってきます。踏ん張りどころです。
  • 2007年07月21日

    鉄フライパンデビュー

     実は、これまであまり鉄のフライパンに良い印象を持っていませんでした。厳密には、家庭で鉄のフライパンを使っていると言っている人に良い印象を持っていなかった、なんですが。

     というのも。鉄フライパン使いの人って、プロの料理人は別として「自分は料理できるアピがしたい人」か「料理オタク」かのどっちかが多いような気がするんですよね。後者は別に良いのですが、前者は往々にして口ばっかりで中身が伴っていないことが多い。とってもかっこ悪く見えるのです。

     私ゃ自分の調理技術には大いに不安と不満を持っているので、鉄のフライパンを使いこなす自信がなかったんです。この状況で鉄に切り替えたら、私自身がその“かっこ悪い人”になってしまいます。

     でも、フッ素加工フライパンに嫌気が差したのです。わが家のガスコンロはなぜか家庭用とは思えないくらいの強い火力を持っています。どうしてもこれを活かしたいんです。実は今まで、やっちゃいけないのを承知の上で、よくフッ素加工フライパンを強火にかけていました。が、そんな不適切な使い方をすれば当然傷むのも早いですよね。これで3回目か4回目くらいなのですが、まったく使い物にならなくなったので、買い換えることにしました。

     そこで思い切って鉄を選んでみたというわけです。世話する手間はかかるかもしれないし、使い慣れていないから失敗もたくさんするかもしれないけど、まあ逆にそれを楽しもうかな、と。わが家の2匹目のペットです。(1匹目はコーヒーを入れるためのネルくん。)

     ひとまずマニュアル通りに空焼きして、さび止め剤を洗い落として、油を引いて、野菜クズを炒めて……と、一連の準備をしてみました。油を引きすぎたらしく表面にムラができてしまいました。初日でいきなり不細工になってしまいましたが、調べてみたら特に調理には支障がないらしいので、そのまま使うことにします。

     それからそれから。腹が減ったのでペペロンチーノでも作るべ? と思ってスパゲッティーニを茹で始めたところで、不安がよぎりました。この、使い始めのフライパンにペペロンチーノオイル、つまりとうがらしの成分がしみ出しているオリーブオイルを引いてしまっていいものなのか、と。

     まあ結局は後先考えずに作っちゃったんですけどね。鉄フライパンで作った方が明らかに美味かったです。心配していた焦げ付き、こびりつきも全然発生せず。なかなかさい先が良いです。ただ、とうがらしの影響については、まだ次の料理を作っていないのでわかりません。支障がなければいいな。
    posted by Yosh at 06:00| Comment(9) | TrackBack(0) | 飲み食い三昧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    皇帝と大王のコーヒー

     先日、少しだけ触れた超高級コーヒーのお話です。最近、ニシナ屋さんに入荷された100g で6300円もする「ナポレオン&アレキサンダー」ですが、なんと橋本町のアルテック・ミーで試飲ができます!

     もちろん、200円(他の豆での通常試飲価格)じゃないですけどね。今回の「ナポレオン&アレキサンダー」は試飲価格1350円でした。1杯で1350円だなんて、思わず半笑いになりそうです。が、豆の元の価格が明かされているから誰にでも判断できることですが、実はかなり良心的な価格ですよね。

     正直、今の懐具合から言って、頼むべきではありませんでした。でも、この機会を逃したら一生巡り会うこともないかもしれない、一期一会のコーヒーです。こういうとき、ついうっかり大胆にジャンプしてしまうのが、私の悪い癖です。

     ……。失敗したかもしれません。というのも、わが家で、使い慣れた道具を使って入れてみたくなったからです。そしてわが家でくつろぎながら飲んでみたくなったからです。ヒジョーにヤバいことになってしまいました。我慢しないと。
    posted by Yosh at 05:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 飲み食い三昧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2007年07月19日

    【MLB シアトル】鳥(ボルティモアムクドリモドキ)さん再び

     このシリーズでは、地元セーフコフィールドでボルティモア・オリオールズ (BAL) を迎え撃ちます。BAL の帽子は鳥の絵(絵です。鳥風のマークじゃなくて、鳥の絵です。)が書いてあり、ちょっとかわいいです。街中で普通にかぶっても、意外とお洒落かもしれません。

     それはさておき、BAL は現在テハダとモーラという2人の主軸を欠いて苦しい戦いを強いられています。が、それでもまあまあの先発投手陣と、ノってきたら恐い打線を持っています。こういうチーム相手に取りこぼさないよう気をつけたいところですが、結果はどうだったでしょうか。

    【第1戦】○ SEA 4−2 BAL
     見ていて非常におもしろい接戦でした。ひやっとする場面も何度かありましたが、監督の采配と選手たちの統一された意識がそれに勝り、見事な勝利を収めました。先発は故障明けのホラシオ・ラミレス(前々からホレイショだと思っていたんですが、ホラシオが正解っぽいですね)が7回2失点と好投しています。よく「コントロールの悪い技巧派」という質の悪いタイプの投手と評されるラミレスですが、今日はそのコントロールがなかなか良く、また審判の低めを甘く取る判定や相手の早打ちにも助けられました。何より、3連打で崩れそうになった4回表に、城島がすぐに彼の元に駆け寄り2、3言葉を交わしたら、その後完全に立ち直ったのは感動的ですらありました。

     しかし打線の方はなかなか好投に報いてはくれませんでした。1回裏、イチローがダブルで出塁し、3塁に盗塁を決めると、イバニェスのセカンドゴロで生還し1点。4回裏には低めを多投するバーリスに対し、低めが好きなセクソンがタイムリーとなるシングルで1点。と、地味に得点を重ねますが、なかなかリードを奪えません。しかし、その重苦しい流れを断ち切ったのはここ最近不調だった2人でした。先日のグランドスラムがあったとは言えまだ本調子でない城島が、ランナーを1塁において低めのチェンジアップをねらい打ちし、1・2塁とチャンスを広げます。そして一時は3割を超えていた打率が.270程度まで落ちていたベタンコートが久々に大きな当たりを飛ばします。フェンスの最上段に当たり、惜しくもスタンドに入らなかった打球が2ランダブルとなり、勝ち越しに成功しました。

     これで4−2。あとは勝ちパターンです。球数が少なかったラミレスですが、7回までで交代させました。たぶん、コントロールが少し甘くなっていたのと、故障明けだったこと、それにリリーフ陣への信頼感からだと思います。8回表はグリーン、シェリルに託され、無失点。9回表はもちろん J. J. プッツがマウンドに上がります。ところがプッツは少し制球が定まりません。ヒヤヒヤしながら見ていたのですが、そんな不調の中ですらあっという間に3者凡退にしてしまいました。ラミレス同様、相手の早打ちにも助けられた面があるとは思いますが、クローザー就任2年目にして、早くも顔で勝負できる投手になってきたのかなとも思います。

     イチロー、結局はこの試合にも出場しました。ただし、指名打者としてです。前の記事で書いたように、打撃は復調していました。3の2です。結果だけでなく内容も大変良かったですから、今後も期待できそうです。足の故障の様子ですが、盗塁を1つ決めるなど、一見してプレイに何ら支障がなかったようでした。実際には骨に当たっておらず軽症の部類だったそうです。避け方が上手くて本当に軽症だった面と、持ち前のかっこつけで支障ある部分を隠し通しているのと、両方でしょうね。こういう方面のかっこつけは本当にかっこいいので大歓迎です。

    【第2戦】× SEA 3−8 BAL
     いやーな負け方をしています。個人的には今、チーム状態(選手の調子の平均値みたいなもん)は少し悪いように思うのですが、ここまでそれをチームの好成績に基づく勢いで上手くごまかせていたように思うのですね。しかし、この日はちょっとボロが出てしまった感があります。

     先発はこちらがヘルナンデス、あちらがガスリーです。順当に行けば投手戦になるはずで、実際途中まではそうでした。ただ、ヘルナンデスの調子自体は初回からメロメロで、なかなかボールが良いところに決まりません。高めに入った球を何度も打ち返されて再三ピンチを作ります。しかしこれを時には守備陣がダブルプレイで、時には城島が盗塁刺で、そして時にはヘルナンデス自身が持ち前の球威を使った強引な三振ショーで切り抜けていきます。だましだましといった感もありますが、相手の拙攻もそれを手助けします。その間にヴィドロのダブルで1点、城島のソロでもう1点と、リードを広げてチームも乗っていきました。これでヘルナンデスも復調……となれば良かったのですが、問題はそれでもそこまで復調できなかったところにあります。

     6回表、ついにその不調がごまかしきれなくなります。1・2塁のピンチで7番ジェイ・ギボンズにライトスタンドに飛び込む大きなホームランを打たれて逆転されてしまいました。今季あまり打てていない伏兵にやられてしったのがマズかったですね。結局6回8安打3失点でマウンドを降りています。そして BAL、ここまでちぐはぐな攻撃を繰り返していましたが、逆転をきっかけにノってきます。これがこのチームの恐さかなと思います。

     7回表にゲームが壊れました。きっちり抑えて味方の逆転を待ちたいところだったのですが、2番手オフラハティがまさかの大乱調です。もともと低めのコントロールが良いのが彼の持ち味なのですが、今日はそのいちばんの長所がみじんも見られませんでした。外れた球は見逃され、甘く入ったところは痛打されと、良いところなしです。結局2つの四球と3本のヒットを許し降板すると、後続のローランドスミスがそのランナーを返してしまったこともあり、5失点という結果になりました。これで、8−2。残り3回を残して6点差です。

     こんな時、本当に強いチームならまだわからないところですし、たとえ勝てないにしても大勝ムードの油断をついて詰め寄ることもよくあります。が、現段階の SEA は勢いを殺されると脆いですね。劣勢にめげず黙々と仕事のできる選手は、野手の中ではイチロー、ヴィドロ、それに控え捕手のバークくらいじゃないでしょうか。そのイチローが一矢、ほんの一矢ですが報います。7回裏、ランナー2塁のケースでライト前にシングル。1点を返します。しかし、つい1月前には驚くほどつながっていた打線は、今は逆になかなかつながってくれません。(この言い方は少し贅沢に過ぎるかもしれませんが。今でもチームの得点圏打率は.280そこそこで、リーグ2位です。)結局、淡泊な打席を繰り返し、それ以上の点を奪うことなくゲームは終了しました。特にイバニェスの不振が深刻です。

     イチローは4の1です。チームがダブルプレイを打ちすぎて5打席まわってきませんでした。この日の調子は前日ほどでもないまあまあの様子だったので、1本くらいヒットが出るかなと思っていたら、本当に1本でちょっと笑いました。上に書いた7回裏のシングルです。また3回裏にはしつこくけん制される中、その警戒をかいくぐって見事に盗塁を決めています。送球エラーも誘い一気に3塁まで行き、直後にヴィドロのダブルで生還しています。守備の方では早くもセンターに戻りました。

    【第3戦】○ SEA 6−5 BAL
     相手先発として予定されていたエースのベダードが寝違いか何かで首を痛めたようで、先発がダニエル・カブレラに変更になりました。こちらの方は左腕ジャロッド・ウォシュバーン。序盤は優位に展開します。6回までに連打やホームランなどを絡めて5点を奪います。ジャロッド兄さんの方は2回表にソロホームランで1点、6回表にロバーツのダブルと盗塁、パターソンのショートゴロという流れで1点、計2点を奪われます。が、その程度で、基本的には危なげない好投です。

     ロバーツ、パターソンの1・2番はこのシリーズ絶好調で、中軸が今イチなチーム状況を考えると、彼らを止められるかどうかが勝負のアヤになっていたように思います。まあそこはお互い様で、相手の方もイチロー、ヴィドロの1・2番を抑えられるかどうかが大きかったんですけどね。

     ウォシュバーンの球数が多くなったので、7回からはいつものパターンで継投……と思いきやなぜか続投。最初の打者が左のオーブリー・ハフだから、1人だけ投げるのかなと思ってみていたら、次以降も投げ続けどんどんピンチを広げ、点を取られ始めます。続投が裏目に出て、またマズい守備(記録はヒット)もあって、さらに3点を失い同点とされてしまいます。ここでも、1・2番に出塁を許しており、危うくこのせいで負けるところでした。

     それにしてもこの続投、前日にグリーン、シェリル、リーツマ、プッツといった勝ちパターン投手4人がひとりも投げておらず、また翌日は試合がないのに、解せないです。以前から投手継投に関して、前監督のあまりの勘所のなさを批判していましたが、監督が代わって以降も、状況は改善されていません。ネタバラシをすると、(私もつい最近知ったのですが)どうやら投手起用はラフィエル・チャベス投手コーチに任されているようなのです。その点についてはハーグローブ元監督、文句言ってごめんなさい。

     ただし、リリーフ陣の質はこちらの方が1枚上手です。7回表をシェリル、グリーンでなんとか同点までで食い止めると、そのまま8回表もグリーンが簡単に抑えてしまいます。グリーン、普段はコントロールが悪くて、ときどきヒヤヒヤさせられながらもなぜか抑える不思議なピッチャーですが、今日はそんな危うさすら感じさせない完璧な内容でした。さあ、あとは味方の反撃を待つのみです。どんな形でも良いし、たった1点で良いのです。だってこっちには J. J. が控えているんだもん。

     8回裏、ベタンコートが痛烈なダブルで塁に出ると、1番に戻ってイチロー。ここでライトへ大きなフライを打ち上げ、ランナーを3塁に送ります。あわやホームランかという当たりでしたので、積極的に打ちに行くことと、いわゆるシチュエーショナル(状況を考えた)・バッティングとを両立させた良い仕事です。そうなると絶好調のヴィドロに対し、 BAL ブルペンは敬遠策を取らざるを得ません。しかしこれが裏目に出て、2アウト満塁とチャンスがひろがります。ここでベルトレイが押し出しを奪い、6−5と勝ち越しに成功します。

     そして9回はもちろん J. J. プッツの登場です。この日の J. J. と城島、ある意味男前でした。1点しか差がないのに、高めのファストボールをやたら多投します。手元が狂って中よりに入ったらホームランボールになるような、恐い球をびゅんびゅん投げていきます。最大で99マイル(158キロくらい)は出ていたかな。BAL 打線はプッツの球威に完全に負け、きのうのヒーロー、代打ギボンズをレフトフライ、このシリーズで良い活躍をしたゴメスをショートフライとあっさり切って取ります。これで2アウトランナーなし。

     そしてアメリカンリーグ出塁率1位のブライアン・ロバーツを迎えます。先ほどから再三触れている、勝負のアヤとなる打者です。ここでプッツは急にやり方を変えます。最後は一転して、スプリッターを引っかけさせセカンドゴロに打ち取ります。あんなに急に攻め方を変えられたら、そうそう打てるものではないですね。3者凡退でゲームセット。今季28セーブ目を挙げています。最初の2人の打者に対しては無茶すると思っていたのですが、3人を打ち取るために大きく考えてやっていたのでしょう。さすがです。ここで出塁を許していたら、もしかしてという感じはありました。J. J. のナイスピッチはもちろんですが、城島もナイスリードでした。

     イチローは5の2でした。バッティング内容が良く、凡退した打席でも次への期待が持てそうな打球を飛ばしています。打率は.352です。ちなみに近頃、イチローの守備を見ていて恐いです。けっこうギリギリで打球に追いつくことが多いんですよね。実は長いシーズンを戦うために、追いつける球についてはわざと全力で走らないようにしているからなんだそうです。そこまで計算できることと、その計算がまず狂わないことは、すごいを通り越して恐ろしいですね。ただ、それが頭でわかっていても外見上は少し危うく見えるので、観戦中はひやっとしますけど。



     さあ、天使の背中の羽が見えてきました。これで首位ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) とのゲーム差が1.5です。今季最接近ですね。3位オークランド・アスレティックス (OAK) とは9.5ゲーム差をつけています。ワイルドカード争いでも酋長の頭についている羽根飾りが見えてきました。クリーブランド・インディアンズとのゲーム差が1に縮まっています。ただし、夏場に強いニューヨーク・ヤンキーズと、スター揃いのミネソタ・トゥインズが6ゲーム差で迫ってきています。MLB は試合数が多いので、日本のプロ野球と比べてゲーム差の感覚が違うことに注意しなければいけません。6ゲームって意外とひっくり返っちゃうので、恐いです。

     今後の日程ですが、1日ほど移動日が入って、カナダに旅立ちます。トロント・ブルージェイズと3連戦を戦います。その後、移動日なしでぐっと南下してテキサスに行き、テキサス・レインジャーズ相手に2日目のダブルヘッダーを含む4連戦が予定されています。さらに移動日なしで地元セーフコ・フィールドに戻り、OAK との3連戦、LAA との4連戦という非常に大事なシリーズがまっています。よりによってこんなタフなゲームを、こんなハードな日程でやらなければなりませんが、ここを2勝1敗ペースで乗り切れれば、一時は夢かと思われていた地区優勝もぐっと現実的になってきます。今季2度目の踏ん張りどころでしょう。

    2007年07月17日

    母子殺害事件裁判の記事への反響

     きのう、母子殺害事件の裁判に関する記事を書いたせいか、アクセス数が普段より少し跳ね上がりました。普段だとトップページそのものへのアクセスが多く、各記事ページの数字は少なめなんですが、今回は珍しくトップページと同じくらいのアクセス数を記事ページが稼いじゃいました。少し日にちが経ったとはいえ、やはり多くの人の関心を引くテーマなのでしょう。

     とはいえ、実際に見に来た人の数(いわゆるユニークアクセスと呼ばれるヤツで、繰り返しの来訪者を数えなかった場合のこと)はページアクセス数の半数でしたけどね。これは、トップページからコメントを読むためにそうした人が多かったのかもしれませんし、何度かコメントを書くために記事ページにやって来たが、結局書かなかった人が多かったからかもしれません。

     一見さんでも、中身が反論でも、遠慮なくコメントしていただいてけっこうですよ。
    posted by Yosh at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 当ブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2007年07月16日

    【MLB シアトル】虎狩りうまくいったかな?

     ミッドサマー・クラシックが終わり、シーズンもいよいよ後半戦です。後半戦からのローテーションはヘルナンデス→ウォシュバーン→バティスタ→ウィーバー→ラミレスという順番で回すようです。最初5番手は未定だったのですが、ラミレスが故障から回復したことから決まりました。

     ただ、しばらく後にダブルヘッダーが予定されていて、その日のために先発が6人必要です。その6人目はフィエラベンドになりますが、いったんマイナーに落としたら10日は上げられないというルールがありますから、その関係でフィエラベンドがいったん AAA タコマ・レイニアーズに落ちました。ひとまずの代わりはジェイク・ウッズです。つかの間の昇格になりますけどね。ただし、この後誰かひとりをいったん落とさなければなりません。落としてもクビを切らなくていい選手はグリーン、モロー、オフラハティ、ローランドスミスの4人しかいないと思います。いずれも、戦力として欠かせないので非常に痛いです。ただ、もしかしたらこの段階でエリスンのクビを切って、その後はアダム・ジョーンズが昇格して来るというシナリオになっているかもしれません。

     さて、一時はダメかと思っていたわれらがシアトルですが、結果として監督が補強されるという願ってもいないてこ入れがあり、まだまだポストシーズンへの期待が持てます。そこに立ち塞がるのはデトロイト・タイガーズ (DET) です。強力な先発投手陣と打撃陣を兼ね備えた嫌なチームですが、ワイルドカード争いのライバルでもあります。しっかり叩いておきたいところです。

    【第1戦】○ SEA 3−2 DET
     後半戦の初戦から何とも不思議な試合になりましたが、勝ちは勝ちです。先発のヘルナンデスはこの日、コントロールが甘く、10安打を喫してしまいます。しかし、再三作るピンチにも、ねばり強く投げて大量点を奪われません。初回と3回に1点ずつ失いますが、それだけです。結局、7回途中まで投げて、2失点の好投となりました。

     それはまあ、良いんです。時にはあることですから。もっともっと不思議なことが打撃陣に起きています。いや、打撃陣全体と言うよりも特定個人、つまりエイドリアン・ベルトレイに起きました。彼の周りに3つも珍プレイが起きたのです。

     まずは4回裏のベルトレイの打席。ノーアウトランナーなしです。1ボール2ストライクからベルトレイはハーフスイング。この投球がワイルドピッチになって3塁側に転がっていったのですが、審判はハーフスイングということでカウントのコールをしません。本来、こういうケースでは一瞬でコールをしなければなりません。なぜなら、その結果によって、プレイが続く場合と続かない場合があり、それが選手にすぐに伝わらなければならないからです。このケースでは、もしストライクなら振り逃げのチャンスが生まれますから、キャッチャーはすぐに球を追わなければなりません。ボールなら、ランナーもいないですし、逸れた球は放っておいて構いません。

     やむを得ずベルトレイ自身が1塁塁審にコールを求めたところ、スイングを取られました。三振です。ということは、振り逃げの権利があります。その間、キャッチャーの“パッジ”ことイヴァン・ロドリゲスはボールを追ったものかどうか少し躊躇していました。おかげで、1塁に向かったベルトレイはゆうゆうセーフとなりました。この時はリーランド監督が飛び出してきて審判にプレイの説明を求めていたようです。振り逃げ自体も珍しいですが、こういうことまで起きるのはさらにまれだと思います。私も初めて見ました。

     塁に出たベルトレイ、1アウト後に今度は盗塁を試みます。パッジの送球が大きく逸れ、外野に転がります。それもそのはず、打席のベタンコートが身を乗り出すようにスイングしていたからです。ベルトレイは3塁に到達しました。確かにちょっと守備妨害っぽい感じはありましたので、パッジはかなり強い調子で塁審に抗議します。が、よほどしつこかったのもあり、認められないどころか退場処分となりました。(故意かどうかわかりませんが、抗議中に審判に触れてしまったのが理由のようです。)それでも興奮が収まらないらしく、監督に止められつつもかなり長い間何かを叫んでいたようですけどね。哀れパッジ……。

     そして極めつけは5回裏、ベルトレイの決勝打です。先発のミラーを打ちあぐねていたシアトル打線、四球などを絡めてようやく2アウト満塁のチャンスを作りました。ここで打席にはベルトレイ。期待に応えて見事にライト前のシングルを放ちます。一気に2点を奪い、これで同点……なんですが、ここからがちょっと変です。

     ホームへの送球の間、ベルトレイは2塁進塁を狙います。送球はキャッチャーからショートのカルロス・ギーエンへ。タグ(タッチのこと)が間に合わなかったのですが、ベルトレイのスライディングはベースを乗り越えてしまいます。改めてギーエンはタグを試みますが、ベルトレイはそれを巧みに避けてさらに3塁方向に逃げます。結局ベルトレイは3塁に到達しました。このプレイの間に、3塁に残っていたランナー、セクソンがホームイン。結局これがこの試合の決勝点となってしまいました。ちなみにその後、実はベルトレイが2塁に触れていないことに気づいた DET 内野陣が、2塁にボールを送ってアウト(いわゆるアピールアウト)にするというおまけまでついています。

     その後は両チームとも打線が沈黙します。ヘルナンデスの後を受けたグリーン、シェリル、リーツマ、プッツの4人が合わせて1安打無失点で抑え、見事な勝利を収めました。オールスターでは打たれたプッツですが、この日はいつも通り抑えてくれました。まあ長谷川滋利さん(元 SEA 投手)によると、オールスターでは飛ぶボールが使われているそうですし、そんなに心配はしていなかったですけどね。

     イチローは4の0です。打ち損じばかりという印象でした。

    【第2戦】× SEA 3−6 DET
     一発にしてやられました。先発のウォシュバーンは調子自体は良さそうだったんですが、3回にシェフィールドからグランドスラム(満塁ホームラン)を浴びます。このチームの3〜5番、シェフィールド、オルドニェス、カルロス・ギーエンは全員が3割以上で、また毎年ホームランも20本以上打てる力のある選手ですから、本当に恐いですね。ウォシュバーンのコントロールも多少狂っているように見えたので、それも原因かもしれません。

     こちらの打線は9安打を放ちますが、得点は3でした。相手先発はボンダーマンで、さすがにオールスターの最終候補に残った選手だけあります。そのボンダーマンから奪った3点も、ホセ・ギーエンのソロなど、1点ずつしか取れていません。リリーフはそんなに強力とも思えないので、早く先発を引きずり下ろせれば……と思ったのですが、8・9回をリリーフ陣に抑えられてしまいました。9回裏に、2アウト2・3塁という最後にして最大のチャンスがありましたが、代打ブルサードが三振に倒れてゲームセットです。相手の良さだけでなく、こちらの打線もやや湿り気味というか、一部の調子の良い選手だけが打っている印象ですね。特にイバニェス、城島の2人が心配です。

     イチローは契約延長が決まった最初の試合ということで、ちょっと観客の見る目が違っていたかと思いますが、4の1で彼らを喜ばせるには至りませんでした。前日の試合と引っかけて、「今日起こったもっとも変わったことは、イチローがあまり打てなかったことだ。」なんて記事が公式サイトに載っています。

    【第3戦】○ SEA 6−4 DET
     バティスタ先生とケニー・ロジャースの投げ合いで始まりました。先生も6月辺りから別人になってきましたね。6回1失点の熱投でした。特に6回表に2アウト1・3塁のピンチでパッジを三振に取ったシーンには痺れました。一方のベテラン左腕ロジャースも5回まで2点は取られるものの、異様なほど球数が少ないまま快調に飛ばします。

     大きく試合が動いたのは6回裏でした。ロジャースが突然崩れ、ノーアウト満塁の大チャンス。ここで打席に立つのはここ最近不調の城島です。ですが、この打席はちょっと雰囲気が違いました。初球こそ見逃したものの、ファールで粘り続け、あるいは上手くボール球を見逃します。カットの仕方にしてもボール球の見逃し方にしても、どこかやってくれそうな感じがあったんですよね。この打席はいける、2点くらいは取れると確信して見ていました。そしたら8球目、期待以上の結果を出してくれました。低めの球を痛烈に捉え、グランドスラムを放ちます! レフトスタンドの電光掲示板に "SUGOI IPPATSU" (すごい一発)の文字が躍りました。得点も6−1と大きく引き離します。

     そうなると後は自慢のリリーフ陣が出てきます。今季、6回終了時点でリードしていた試合では39勝2敗なんだそうです。さらに8回以降のリードだと42試合すべて勝っているのだとか。楽勝だよね……って、あれれ? グリーンとリーツマで3点取られちゃったんですけどー。

     というわけで得点は6−4、8回2アウトからプッツのお世話になる羽目になりました。ま、8回は1球、9回は3者連続三振で簡単に終わらせちゃいましたけどね。これで26セーブ目です。去年から合算だと28試合連続セーブ成功で、これは先代クローザーのエディ・グァルダードを抜いて球団新記録となります。

     イチローは4の0です。やっぱり近頃ちょっとタイミングが合っていないような気がします。

    【第4戦】× SEA 7−11 DET
     先発ウィーバーですが、今回は背中にファスナーのある偽物ではなく、本物だったようです。5回10安打7失点と、いつもの調子でした。その後はモロー、オフラハティ、ローランドスミス、ウッズとつなぎましたが、ちまちまと点を取られ続け計11失点。こりゃ勝てませんね。

     打つ方は10安打7得点ですから良かったんですが、それでも最終回にやっと3点取るなど、実質的に負け確定のゲームでしたね。モローが最近出る度に点を取られているのが心配です。球の勢いがそんなに変わったとも思えないし、コントロールの悪さは以前からなので、相手に研究されてきているのかなと見ています。最初の試練ですが、見事乗り越えてほしいものです。来年には先発にまわってもらわないといけませんからね。今のうちにしっかりと経験を積んでほしいものです。

     イチローは2の1でした。5回に途中交代しています。ヴァーランダーに死球をぶつけられ、右ひざを打撲したようです。今後の出場は様子を見次第とのことですが、多少足を引きずっていたようなので、1日〜数日ほど欠場するかもしれません。長引かないことを祈っています。成績の方ですが、このシリーズでは14の2と押さえ込まれ、打率は.350に下がっています。ただ、オルドニェスも同じく2安打でお付き合いし、打率を.358に下げています。この日のバッティングは良く、復調の傾向が見えていたので、無事試合に出られると良いんですが。



     ではアメリカンリーグ西地区の順位を見ましょう。変動はありません。相変わらずロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) が首位、そして3ゲーム差で2位の SEA、それからオークランド・アスレティックス (OAK) がそこから8.5ゲーム差の3位、最下位がテキサス・レインジャーズ (TEX) で4.5ゲーム差です。ワイルドカード争いはクリーブランド・インディアンズ (CLE) に2ゲーム差をつけられ2位です。このシリーズを何とか2勝2敗で踏ん張ったのが効いています。

     次のシリーズはボルティモア・オリオールズ (BAL) との3連戦をセーフコ・フィールドで戦います。良い選手がたくさんいながら、どうもかみ合っていない印象のあるチームですが、相手先発はバレス、ガスリー、ベダードとチーム内での防御率上位3人が投げてきますから、油断はできません。2勝1敗ペースくらいにはしておきたいところですが、果たしてどうなるでしょうか。緊張しつつ見守っていきたいと思います。

    心理学から見た光市母子殺害事件の裁判

     先日行われた光市母子殺害事件の裁判には、いろんな意味で国民的関心が寄せられました。かなり多くの人たちが心を痛め、また怒りを感じたことと思います。ほんの少し前と比べ、インターネットの進歩により細かな情報がたくさん入るようになり、いろいろとこの件について、あるいはこの件を通じてたくさんのことを学んだ方も多いと思います。

     加害者、そして弁護側の陳述について、もちろん私も思うところはあります。が、今回は倫理観や社会正義、国民感情、思想等の観点からは何も触れないことにします。そういった価値判断や、背景情報はあえて一切無視して、科学的(心理学的)観点のみで分析していこうと思います。特に、日本福祉大学教授の加藤幸雄氏が述べた加害者の犯罪心理鑑定については、少し詳しく見ていきます。

     まず、事件については Wikipedia に項目があるのでそちらを参照してください。この事件について、日本福祉大学の加藤幸雄教授(臨床心理学・社会心理学)が犯罪心理鑑定を担当しました。

     ……って、あれ? 何その「犯罪心理鑑定」って? 精神鑑定と違うの?

     実は初耳です。調べてみたところ、精神鑑定と似て異なる、情状鑑定というものがありますが、それのことでしょうか? 精神鑑定は精神科医が担当し、犯行当時に精神疾患等で責任能力があったかどうかを判定します。情状鑑定というのは、臨床心理学者が担当し、生い立ちから犯行に至るまでの経緯をひもといていき、そこに情状酌量の余地があるかどうかを判定していくもののようです。これのことかなぁ? まあとりあえず前提として押さえておきたいのが、これが精神鑑定ではないということです。責任能力を判定する権限も責務も加藤教授にはありません。だから、報道でも責任能力についての言及がなかったはずです。

     さて、この犯罪心理鑑定について、2つの切り口から批判します。私の結論としては、「こんな愚にもつかない鑑定は時間の無駄であり、証拠として一切採用する必要はない」です。

    (1) 鑑定員により紡ぎ出された「ストーリー」の問題

     加藤氏は 「私なら、(早い段階で自分に鑑定が求められていれば)世間に“性暴力ストーリー”と取らせず、“母胎回帰ストーリー”と示せた」という趣旨の言葉を述べています。(ただしこれは本人の発言そのままではなく、マスコミがまとめ直した言い方です。だからといって本論の趣旨は揺るぎませんが。)もう少し厳密には、「調査結果を精査していれば母胎回帰のストーリーが見えてきたはず。なぜきちんと吟味しなかったのか」と述べています。要は、「加害者は性暴力を奮いたかったのではなく、母親に甘えたかったのだ」と言いたいようなのです。つまりここでのストーリーというのは、要は「犯行に至るまでの心情」とかそんな感じの意味ですね。この「ストーリー」という言葉、実は非常に大きな意味を持ちます。

     臨床心理学には大きく3つの学派があります。精神分析学、人間性心理学、そして行動療法です。この中で、対象の「過去」や「ストーリー」に着目するのは精神分析学だけです。加藤教授も、この精神分析学の立場で鑑定したものと思われます。

     ところがこの精神分析学という学問、事実を見いだすのが非常に苦手なのです。精神医療の現場では「病気が治りさえすれば事実なんて別にいいじゃん」という考え方の心理士も多く見られるくらいです。精神分析学も細かな学派に分かれますが、その小学派によって言うことがバラバラでも「それはそれで構わない」とすら考えられています。そういった態度に対して、こんな皮肉も聞かれます。「同じ患者について診たとしても、フロイト派はそれを性衝動の抑圧と解釈し、ユング派はコンプレックスと解釈し、アドラー派は劣等感と解釈する。」と。病人であれ犯罪者であれ、事実となるストーリーはひとつのはずなのに、なぜこんな風に複数のストーリーが発生しうるのでしょうか?

     それは、精神分析学の手法から導き出される「ストーリー」というのは、事実とは無関係の作られたもの――フィクションだからです。フィクションだとすれば、いくらでもストーリーを作ることは可能です。この話について丁寧に説明がされているウェブページを紹介しましょう。(精神科医の風野春樹さんによる「サイコドクターあばれ旅」というサイト内の文章です。本論の趣旨を深く理解するという点からはもってこいです。)なお、この文章が事件とは何の関わりもなく書かれていることにも気をつけてください。つまり、別に検察側に肩入れして書かれた文章ではないということです。

     以上から、加藤氏の鑑定結果が事実とは無関係のフィクションであるということがわかりました。みなさん、こんな鑑定に意味があると思いますか? もし仮にこの裁判でこの証拠が採用されたとするならば、日本心理学会、日本心理臨床学会、日本臨床心理士学会など、関連学会は強く抗議すべきでしょう。科学的事実を元に社会貢献ができない学会なんて世の中に要りません。

     と同時に。精神分析学の専門家ですら、このように紡ぎ出されたストーリーがフィクションであることは十分に認識しています。仮に加藤教授がそれを知らないとしたら、素人?である私ですら知っている常識を知らないトンデモ教授と言うことになります。もし知っている上でこんな発言をしたとするなら、ある種の偽証です。いずれにせよ、裁判から排除すべき人物であることは間違いありません。

    (2) 人の記憶は常に歪み続ける

     今度は認知心理学の観点から、人間の記憶の性質を元に語りましょう。これは心理鑑定だけでなく、弁護側の主張全体に言えることでもあります。したがって、加藤教授が見いだしたという“母胎回帰ストーリー”だけでなく、加害者や弁護側がこの差し戻し審で突然言い出した突拍子もない証言の両方を分析の対象とします。被害者遺族の本村さんが「聞くに堪えない」と表現したその証言の数々、仮に本当だとすれば、裁判の趨勢は変わってしまうかもしれませんからね。これの真偽は重要です。

     大きく報道された通り「被害者に母親を見いだし、甘えたかった」「ドラえもんを信じている」「蘇生の儀式」などの言葉の数々、多くの方が唖然とし、怒りを感じたことと思います。弁護団や鑑定士主導でこれらの証言が「引き出された」とにらむ人も多くいるようですね。

     まあしかし、実は誰が主導かなんてのはどうでも良いんですよ。というのも、記者会見で弁護団は語るに落ちているんですから。
    「ねつ造された事実のもとで記憶を埋没させられたものを彼は一生懸命、記憶を甦らせることができる事実を法廷で語ってくれた」(弁護団)
     じゃあ弁護団の言うとおり、仮に警察なり検察なりが、証言を強要するなどして記憶を埋没させたとしましょうか。だとすれば、そこから記憶を事実通りに修正するなんて不可能なんです。だって、人間の記憶はビデオテープのように正確なものじゃなく、時が経つにつれどんどん「わかりやすく」「自分の都合の良いように」変化していく性質があるんですから。

     これは本当に単純な例ですが、記憶を取り扱ったこんな実験があります。
    image.gif
    この妙な図形を記憶しておいてもらい、日にちを置いて思い出してもらいました。ほとんどの人が「バーベル型」か「めがね型」の図形を“思い出した”のです。変で覚えにくい図形を、わかりやすい形に記憶の方が歪めてしまったわけです。日常経験でもよくありませんか? 昔の写真やノートなんかを引っ張り出してきたら、案外思っていたのと違っている点が多いっていうこと。しかも、こんな風に客観的証拠を見せられても違和感を感じることすらありますよね。

     しかも、これらの記憶の歪みは、誘導によって容易に起こされることがよく知られています。ちょうど、(1) で触れた「精神分析学は事実を見いだすのではなく、フィクションのストーリーを作り出す」という批判の論拠のひとつにもなっている知見なんですけどね。“有能な”弁護士や心理学者なら、記憶はねつ造し放題でしょう。

     つまり、いったん“ねつ造”された記憶はもう元には戻りません。逆に、新たなねつ造で上書きされてしまうことならあり得るわけです。つまり、物的証拠もないのに、このタイミングで突然出てきた新たな証言は、どういう形であれ当時を正確に思いだしたものにはなり得ない――絶対に事実ではないのです。こういった認知心理学の知見と記者会見で弁護側が言っていたこと(上に引用した文です)とを踏まえると、弁護側の証言はすべてねつ造で、一切無視していいという結論になりますね。(ねつ造だという事実さえわかれば、ねつ造の首謀者が誰なのかなんてどうでもいいでしょ?)この私の言い方はあまりに過激で極端すぎると感じる人もいらっしゃるかもしれません。ただ、そんな方でも、弁護側の方法論が事実を追求するのに適切なやり方ではないこと自体は納得していただけると思います。

     よく思うのですが、司法の世界は人間の記憶の性質に関してあまりに無知すぎませんか? 穿った見方をするなら、無知なふりをしないと現在の司法は成り立たないのかもしれませんけどね。

     そして、これも心理学の基礎事項。加藤教授がこのことを知らないにしても、知っていて無視しているにしても、いずれにせよ大きな問題と言えましょう。裁判の場に立つ能力というか資質がないと思います。

     そして最後に。心理学者・学会のみなさん、もうちょっとちゃんと声を上げるべきじゃないですか? 繰り返しますが、ロクに社会貢献もできないような学者は給料ドロボーですよ。「心理学は役に立つ学問である」という認識を世間に持っていただくためにも、もう少し積極的になる必要があるんじゃないですかね。
    posted by Yosh at 00:51| Comment(15) | TrackBack(1) | つまみ食い心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2007年07月15日

    【ゲーム紹介】hive

     久々にボードゲームを紹介しましょう。今回は2人対戦型のボードなきボードゲーム "hive" です。「巣」って意味の言葉ですね。プレイヤーは白と黒に別れて、それぞれの色の6角形のコマを持ちます。コマには虫の絵が描かれていて(女王蜂、アリ、かぶと虫、バッタ、クモ)動かし方が決まっています。要は将棋みたいな感じで、女王蜂を詰みにすれば勝ちです。

     自分の手番にできることはコマをおく、コマを動かすのどちらかだけという単純なルールですね。ただしコマを動かす際に、コマの固まり(これのことを "hive"、つまり「巣」と呼ぶのです)を2つに分割するような動き方はできません。そんなもろもろの制約の中、相手の女王蜂の周囲をすべて囲んだら勝ちとなります。

     なかなか中毒性が高いゲームで、オススメですよ。本家のボードゲームも良いですが、今オンラインでのプレイが盛り上がっているようです。こちらでは対人対戦はもちろんですが、対コンピュータ対戦もできますので、興味のある方は気軽に試してみてはいかがですか? 残念ながら英語サイトなので一見ちょっと取っつきづらいかもしれませんが、ルールを詳しく知りたいという方は教えますので、メイル等でご連絡ください。

    【NPB】黒田博樹、通算100勝

     広島東洋の黒田博樹が通算100勝に到達しました。大変素晴らしい投手で以前からファンだったのですが、逆に「えっ? まだ100勝?」と思ってしまいました。でもよく考えたらここまで来るのに意外と苦労しているんですよね。

     私は黒田投手に非常に高い期待をしているので、100勝でおめでとうとは言いたくありません。今後も高いレベルのパフォーマンスを見せてほしいですし、その結果200勝を勝ち取ってもらいたいものです。

     ……うちに来てくれないかな。今だったら先発2番手なんだけどな。

    【MLB シアトル】大家、マイナー契約

     シアトルは元トロント・ブルージェイズの先発投手、大家友和を獲得しました。ただしマイナー契約で、AAA タコマ・レイニアーズからスタートすることになります。

     今季の大家はまずトロント・ブルージェイズの先発投手として2勝5敗と期待に応えられず、6月にチームを放出されました。その後、セントルイス・カーディナルスとマイナー契約を結びましたが、一定期間内にメイジャー昇格がなかった場合には自由契約となるという条項が盛り込まれていたらしく、やはり放出されました。今回シアトルとの契約にそのような条項が含まれているかどうかはわかりません。

     チームの思惑を推察するに、「上手くいけば5人目の先発投手になるかもしれない。とりあえず、安く獲得できるんだからしておけ。」といったところじゃないでしょうか。今、タコマも先発不足なんで、今季だけでもいてくれれば、チーム作りの一環として助かるんですけどね。マイナーでそこそこよく投げているカンピーヨやレイアといった先発投手を上に上げられる余地ができるので。

     個人的な気持ちから言うと、現段階ではあまり期待していません。彼のことはあまり詳しく知りませんが、今のところポストシーズンの先発を任せられるようなポテンシャルを持っているようには見えないんですよね。でも、そんな冷ややかな気持ちのファンを見返してくれたら、それはそれでうれしいです。

    2007年07月14日

    台風 vs. コーヒー

     えーと、台風です。広島について言うと、今日の夕方辺りにやってきて、夜中に吹き荒れて、朝には去っていくという予報でした。(世間一般で言う)3連休の初日の土曜日としては、とても迷惑な通り方です。

     天気のことを嘆いていても仕方がないので、計画もそちらに合わせて立てなければいけません。コーヒー豆がなくなったので土曜日に(つまり今日)買いに行こうと思っていたのですが、仕事が終わってからじゃ、広島は暴風域内だなぁ……と思ってお昼休みに買いに行きました。どうせ台風だから、街中に出てきている人が少なくてちょうどいいし。さすがに本通りも空いてるねぇ。

     というわけで、こんにちはニシナ屋さん。あれ? 意外とお客さん多いぞ?? どうやら、私と同じように早い時間に買い物を済ませようと考えた人が多かったのでしょう。思った以上にお客さんがいらっしゃっていた模様です。

     今回はマンデリン・グレード1をフレンチローストで300g と、トラジャのカロシアアラビカという豆をフルシティローストで100g ほど購入しました。どっちもインドネシアの豆ですね。マンデリンはすでに水出しに仕込んでいますので、明日のできあがりが楽しみです。カロシアアラビカの方はドリップで飲もうと思っています。

     ちなみに水出しコーヒーを作るにはこれがオススメ。ちょっと大きめのスーパーにも売っています。


     あと今回は買いませんでしたが、とんでもない豆が入荷されていました。名前は「ナポレオン&アレキサンダー」。もう名前だけでもお腹いっぱいなゴージャスさです。が、それで終わりじゃありません。値札を見て卒倒しそうになりました。100g で6,300円です。もう酔狂としか言いようがないですが、逆に物の試しというか、話のネタに一度買って飲んでみたい気もします。

     ああ、ちなみに台風ですが、避けて行っちゃいました。こんなことなら遊びに行く予定でも立てておけば良かったです。
    posted by Yosh at 20:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 飲み食い三昧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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