さて、同地区の首位チーム、ロサンジェルス・エインジェルズ (LAA) との3連戦がやって来ました。大事なシリーズです。ちなみに記事タイトルは監督の名前から取っています。SEA の監督がマイク・ハーグローブ、LAA の監督がマイク・ソーシアで、どちらもマイクだという、ただそれだけです。
戦評に行く前に、チーム内の移動について書いておきましょう。故障の癒えたエース、フィリックス・ヘルナンデスがついに戻ってきました。ショーン・グリーンと交代で故障者リストから復帰します。また、先日クリーブランド・インディアンズから獲得したジェイソン・デイヴィス投手も昇格し、代わりにオージー左腕、ライアン・ローランド=スミスが(結局上では一度も投げずに)降格しています。降格した両投手はいずれも AAA タコマ・レイニアーズに配属されます。
【第1戦】○ SEA 11−3 LAA
ファンの誰もが待ちわびたヘルナンデスの復帰戦を見事に勝利で飾りました。打線が爆発し、先発全員出塁で大量11得点を奪っています。しかもイチローが大当たりで、5打数5安打です。久しぶりですね。これで5−5は通算6度目となり、これは現役最多の数です。1打点と1盗塁を記録しています。連続盗塁成功記録は44に伸びました。今季だけで言うと、盗塁は5つ目です。
当のヘルナンデスは4回途中3失点、78球でマウンドを降りています。最初は故障の再発かと心配したのですが、最初から球数を制限して投げることになっていたようです。もともと以前から、大事に育成していこうという方針があり、年間200イニング(だったかな?)制限を付けたり、一部の変化球を敢えて使わなかったりしている選手です。次回も90球前後の登板予定となっています。話を試合に戻すと、ヘルナンデスの後を受けたホワイトは8回まで1人もランナーを出さずぴしゃりと抑えてくれました。大差がついていたのもあるのでしょうが、それでも大変立派です。9回はトレードで獲得したばかりのデイヴィスが閉めました。
なお、勝ち投手になったホワイトは、MLB 初勝利を記念し、J. J. プッツにひげそり用のジェルを塗りたくられるという手荒い“お祝い”を受けています。プッツがクローザーの心構えを学んだというエディ・グァルダード(現シンシナティ・レッズ)から、やり過ぎのイタズラ心も同時に学んでいたようです。
【第2戦】× SEA 0−5 LAA
今シーズン、ちょくちょく見せる負けパターンです。打てないときはとことんダメっていうね。SEA が白チャソン、LAA がジョン・ラッキー(いつ見てもおめでたい名前です)という先発で始まったこの試合、ラッキーが6回4安打無失点という好投で完璧に SEA 打線を押さえ込みました。後続のモーズレイとシールズにも無安打無失点に抑えられています。白は7回途中3失点とまあまあだったんですが、無得点ではさすがに勝てません。
イチローは4の2で好調をキープしています。盗塁も1つ決め、記録を45に伸ばしています。記録だからという訳ではないのですが、成功率にこだわるのは大変良いことですね。盗塁は成功すれば得ですし、失敗すれば損ですが、どのくらいの盗塁成功率だと得と言えるのかご存じでしょうか? この損益分岐点は、ノーアウト1塁の場合だと成功率60%くらいの所にあります。大ざっぱに言って、成功率60%に満たないようであれば、盗塁はしない方がいいのです(数値的に言えば、の話ですけどね)。
【第3戦】× SEA 3−7 LAA
こちらの左腕エースと元サイヤング賞投手の投げ合いでしたので、緊迫した展開を想像していました。予想は見事に外れて計23安打が乱れ飛ぶことになりました。それで、この得点になったのは、やはり野球の巧さの差なのかなと思わされます。
相手は12安打が良い形で出ています。1番が出て、2・3番で返す。返しきれない分は下位打線がある程度すくうという。それに対して SEA は残塁の山を築きます。2アウトで得点圏という状況から、5回も凡退しているのです。
イチローは今日も4の2です。いい調子ですね。10試合連続ヒットとなり、また MLB 通算1400本安打を達成しました(2本打っているので1401安打)。NPB オリックス・ブルーウェーブ時代には1278本ほど打っていますので、例年のペースで行けば今季で日米通算2800本が期待されます。おっと、忘れちゃいけない。今季の打率はこれで.320です。
今日はヒットエンドランのサインが出た場面で結果として盗塁失敗を喫してしまい、連続成功記録が途絶えてしまいました。この記録を切るとしたら知将ソーシア監督率いる LAA かなと思っていましたが、その通りになりましたね。残念といえば残念ですが、イチローは、発言の上ではあまり細かな記録は気にかけていないようなことを言っていても、内心ではこだわっているように見えるので(例:日本時代の連続無三振)、逆に良かったのかも知れません。1度失敗しても盗塁成功率が大幅に下がるようなことはないと思いますので、今後も好判断で盗塁を繰り返してほしいですね。
それにしても公式サイト、ちょっとヒドいです。イチローはこの試合で10試合連続ヒットとなって好調をキープしていますが、それを紹介する見出しが「イチローの打撃、
普通に戻る」ですもん。確かに今月の初めの約10試合ほどは不調でしたが、その後はほとんどの試合でマルチヒットを記録しています。この素晴らしい結果を「普通」というのはちょっと感覚が狂いすぎです。もっとも、全ての感覚を狂わせるイチローさんがいちばん悪いんだけどね。
さて、LAA に上手くあしらわれて1勝2敗で終えたこのシリーズ、結果として首位 LAA と3ゲーム差をつけられてしまいました。勝率を5割に戻して、2位です。といっても、3位にはゲーム差なしでオークランドが迫っています。今季最初の踏ん張り所かも知れません。明日からはインターリーグ、日本で言う交流戦もちょくちょく入ってきますね(日本と違って、決まった時期に交流戦「だけ」をやったりはしない。また、年によって対戦するチームと対戦しないチームがあるなどの違いもある。)。割と仲良しな感じのサンディエゴ・パドレスと3連戦を戦います。