まず、研究というのはどういう形で発表されるかと言いますと、大学院生や教員などの研究者の場合は学術雑誌への論文投稿です。それから大学生の場合はもちろん卒業論文、あるいは手習い的な実験ならレポートという形です。つまり、いずれも文章の形にして出すわけですが、そうすると当然それを審査する人というのがいるわけです。で、それこそ単位を取るためのレポートから専門性の高い論文まで、必ず合否というものがあります。つまり、ダメなものは書いても意味がないということですね。
そして、採否の基準は何も論文としての出来の良さばかりではありません。いくら画期的な論文であっても、人の道に外れたようなものは決して採用されたりはしません。仮にそういうヒドいものを採用していたとすれば、その学会なり大学なりは、何らかの形で(たとえば被害者が裁判を起こす、人権団体からの抗議など)強く糾弾され、研究を持続することができなくなるでしょう。したがって、心理学の実験というのは基本的に安全なものです。もし大学等からの実験参加の要請があったら、時間等が許せばぜひ快く参加してあげてくださいね。
ただし、世の中には心理学を騙った反社会的団体も存在する可能性があります。あるいは、悪意はさほどなくても認識が甘い個人や団体などもあるかも知れません。そういう、参加が安全か危険かの簡単な見極め方も書いておきます。
1. 事前の説明がしっかりしているか
まず、何の説明もなく実験参加要請だけ行うような実験者は認識不足もしくは悪意があります。「簡単なアンケートに答えて」だけの説明などもダメです。実験心理学の場合、データは複数人の生データを統計処理して、匿名として(というかそもそも個人の生データを単独で載せることなどあり得ない)掲載します。が、その説明がないというのはいけませんね。あと、どのくらいの時間がかかるのか、などの説明もほしいところです。深いプライバシーに関わるようなことを聞かれる可能性はあまりないと思いますが、もし聞かれたらその真意(どのようにデータを使うのか)があらかじめ説明されているかどうかもチェックしておきたいところです。
2. 実験に不快感や不安がある場合、途中であっても実験を降りることができるかどうか
これに No が出るような実験はプラン自体がダメです。
3. 実験同意書の準備があるかどうか
実験に同意するかどうかはあなたが決めることです。それを口約束にしないようにしましょう。これは実験者側が用意するのが筋ですので、その準備をしていないような人は研究者として認識不足に思います。
4. 事前の質問に答えてくれるかどうか
まあ相手の不備というのも多少あるかも知れません。上記の条件が満たされていない場合は、聞き直してみましょう。聞く内容は上の項目が参考になると思います。